第24話

 また学校、というより役場というのは手続き社会。ちょっと隣に顔を出すのも面倒な許可がいる。

 ドーリーも普段は多少の規則はなぁなぁで許すし、弓の練習中などで話が合った人に「ちょっと見てくれませんか?よろしければご指導でも」とでも言われれば「見るくらいなら」と付いていくタイプの男。

 だが、今回は組合のメンツもかかわると釘を刺されているので、下手なことをして学校に文句を言われたくはない。


「そんなメンドクサイ交渉してまでやる義理はないよ。そもそも何教えればいいかがわからんしな」

「まぁ、そうですね」

 二人としては波風立てずそつなく講習を終わらせて、禿げた教頭から「良かった良かった」と言われながら報酬貰って終わりたいのだ。

 女学生の大会への情熱、そう言った青春物に熱をあげる、そしてそれに仕事を疎かにし自分の生活を捨ててまで協力できるほど人はできてないし生活に余裕もない。

 しかしそういう訳にはいかないから世の中辛い物。



「先生!」

 そんな話をしながら定食を食べ終えた二人を呼び止める声。

 昨日の片割れ、赤毛の後輩の方だ。

「僕のことかい?」

「二人ともです。二人。魔法の先生に弓の先生」

「僕はまぁ講習をしているのでわかりますけど、ドーリーさんは断ったでしょう」

「学校の許可を取ってきました!!正式に依頼が行くとおもいます!!ですからよろしくお願いします!!」

 後輩は明るい声でそう言った。

「えぇ」

 これはドーリーの声。

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