第48話
「一体なんの騒ぎですか?」
冷たい冷気と共に…背筋が凍りつくような冷たい声が響くと…
「ハク様だ…」
「なんでハク様が食堂なんかに…」
魔族達がコソコソと話をしていると…
「小娘!お前か?騒ぎの原因は?」
ハクがリリアナを睨みつけると…
「す、すみませんでした」
リリアナがペコッと頭を下げる。
「シュカ…こいつはどうだった?使えないようならたたき出してもいいが…」
ハクが笑いながらシュカに聞くと…
「恐れながらハク様、この子…リリアナはとっても使える奴でした!出来ならずっとここで手伝いをしてもらいたいです!」
「…なんだと?」
ハクがガルム達を見ると…
「俺も同じ気持ちです…こいつの料理をもっと一緒に作りたいです…」
「「俺達も…」」
シシオとルーダも頷くと…
「ふんっ!」
ハクは顔を歪めると身を翻し食堂を出ていってしまった…。
ガルム達はハク様が見えなくなると…ドサッと腰を落とす…。
「せ、先輩!大丈夫ですか?」
リリアナが三人に駆け寄ると…
「こ、怖かった…」
「氷漬けにされるかと思った…」
「皮を剥がれるかと…」
三人がカタカタ震えていると…リリアナが手を掴む…
「一緒に働く事を許して下さって…ありがとうございます、私皆さんと料理…作りたいです」
リリアナが素直な気持ちを伝えると…三人をじっと見つめる…。
三人は
「「「おお…」」」
頬を赤らめ嬉しそうに頷いた…リリアナの手を握り返そうとすると…パッと温もりが離れていく…。
「あれ?」
リリアナはシュカの元に向かうと…
「シュカさんもありがとうございます!頑張ってお仕事覚えますからよろしくお願いします!」
ペコッと頭を下げた。
「今日からお前も調理部の一員だ、困ったらブラッド様だけでなく俺達も頼れよ」
「はい!」
リリアナは自分の場所が出来たような…不思議感じに胸の奥が温かくなった…。
「よし!じゃあ夕飯の準備だ!今日はリリアナが仲間になった記念だ、リリアナ何が作りたい?」
シュカが優しい顔で聞くと…
「じゃあ…パンとビーフシチューはどうでしょう?」
「「「えっ?パン?」」」
「そんなんでいいのか?」
意外なメニューに三人とシュカが聞き返すと…
「パンは手作りなんですよ…ふわふわに焼き上げて…シチューはお肉たっぷり野菜がゴロゴロの赤いトロトロシチューです」
リリアナが笑うと…
「なんか…聞くだけで美味そうだ…」
「いっぱい作っとこうぜ!」
「ジュルル…」
三人の反応にクスッと笑うと…
「ブラッドとの思い出の料理なんです…」
リリアナの嬉しそうな様子に三人は複雑な思いでいた…。
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