第43話
「お前…この料理はどうやって作った?お前のオリジナルか?」
シュカはリリアナ前に立ち見下ろしながら聞くと…
「この料理は…私の家にいた料理人さんに習いました…その人から教わった料理です…」
「料理人…!?」
シュカの顔色が変わる…
「あの…美味しくなかったですか?私の家ではあのスープが一番人気で料理人さんの得意料理だったんです」
シュカが何か考え込みながら、リリアナをみつめる…。
「その人はどうしたんだ?まだいるのか?」
シュカの思わぬ質問にリリアナは悲しげな表情をみせる…。
「私の家…お父様とお母様が昔に亡くなって…その料理人さんはブルーノさんって言うんですが…ブルーノさんはその頃からずっと家に仕えててくれていました…お父様達が亡くなって他の働いていた人達が家を出るなか…ずっと居てくれました」
シュカが料理人の名前に反応する…
「ブルーノ…」
「ブルーノさんから料理を教えて貰う時間が楽しみで…」
「それで?その人は?」
「私が…13歳の時に亡くなりました…」
「そうか…」
シュカが残念そうな顔をすると…
「ブルーノさんの料理って本当に全部美味しくて!上手で!シュカさんも習いたかったんですか?」
「いや…まぁそうだな…確かにあのスープ…美味かった…」
「ブルーノさんは亡くなってしまいましたが…確か…ブルーノさんに弟さんがいましたよ?もしかしたらその人ならブルーノさんみたく料理人になってるかも…」
「えっ?弟…?」
「ええ…名前…なんだったかな…よく話してくれたのに…確か…」
「レッド…」
「えっ?あっ!そうです!レッドさん!ブルーノさんが青でレッドさんが赤!それで青さん赤さんって呼ばれてたって…なんでシュカさんが知ってるんですか?」
「青兄…」
シュカの瞳からポロっと雫が落ちる…
「シュカさん?」
「青兄…いやブルーノさんは…弟の事なんて言ってたんだ…?」
シュカさんがポロポロ泣きながら聞いてくる…リリアナは真剣な顔で向き合うと…
「自慢の弟だったって…そう言ってましたよレッドさん…」
「うっ…ぅぅぅ…青にぃぃ…」
シュカは大きな体を小さく震わせ泣き崩れた…
ひと泣きして、シュカが落ち着くと…シュカさんがブルーノさんとの事を話してくれる…。
「俺はな…人の血が少し混ざってるんだ…」
シュカの一大決心の告白に…
「へー…見えませんね!」
リリアナが軽く答える…。
「はっ?混ざってるんだぞ?嫌じゃないのか?」
「えっ?混ざってるとなんか不味いんですか?病気を引き起こすとか?」
「いや…もういいや…とりあえずこの事は秘密だぞ!知ってるのはルシファー様だけだからな!」
「はい!」
「それでな母親が青兄とは一緒で…よく面倒を見てくれていたんだ…俺が母親を殺したのによ…」
リリアナは黙ってシュカの話を聞く…
「俺を産んだら直ぐに母親は死んじまった…まだそんなに大きくなかった青兄は必死で俺を育ててくれたんだ…だが…成長するにつれて俺の体はどんどん大きくなって…周りからは恐れられていた…俺も薄々普通じゃないんだって感じていたんだが…青兄は変わらず面倒見てくれたよ」
「ブルーノさんらしいです…」
リリアナが優しく微笑んだ…。
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