第37話

結局リリアナがじゃがいもの皮むきに取り掛かり、半分くらい剥かれてからガルムもじゃがいもに取りかかった。


「お前、結構使えるな…」


じゃがいもの皮むきの様子をチラッと覗き見しながらガルムがボソッとリリアナを褒めると…


「えっ?」


リリアナの手が止まる。


「あっ!褒めた途端に止まるなよ!」


ガルムが注意すると…嬉しそうに…


「すみません!急ぎますね!」


リリアナはさらにスピードをあげてあっという間にじゃがいもの皮むきを終えた…。


「次はこの野菜を切って炒めるぞ…」


ガルムがルーダに野菜を渡すと…


「こっちおいで…」


ルーダがにたっとリリアナに笑いかける…


「おい!ルーダこいつ結構使えるし、金を稼ぐまでは駄目だからな!」


「ちっ…わかってるよ!じゃおいで~」


ルーダはリリアナの手を掴むと引き寄せ手の甲にチュッとキスをしながら舌で舐める…


ビクッ!


リリアナが手を引こうとするがガッチリと捕まれビクともしない…


「美味っ!」


ルーダはびっくりした顔でリリアナを見ると…


「いいな!お前!」


「えっと…ルーダ…先輩、手を…」


離して欲しいと目で訴えると…


「その先輩ってやだなぁ…俺はルーダさんでいいぞ」


「はい…ルーダさん…それで…手を…」


グッグッと引くが一向に離してくれない


「ああ…悪いな、じゃ野菜を切ってくぞ…包丁はあるのか?」


「はい、ガルム先輩が貸してくださいました」


「よし!じゃお前が同じ大きさに野菜を切って鍋に入れていけ、俺が炒めるから」


ようやく手を離されると…ホッとして野菜に手を伸ばす。


ルーダさんが鍋を用意している間にどんどん野菜を切っていくと…


「おっ!結構上手いな」


いつの間にか真後ろにルーダさんが立っていた…


リリアナが驚いて自分の指を少し切ってしまうと…


「あっ…」


じわっと赤い血が出てしまった…。


リリアナが指を洗いに行こうとすると…ガッ!っと腕を掴まれる…


「痛っ!」


強い力で引き寄せられ、切れた指をいきなり舐められる…


「ル、ルーダさん?」


ルーダはリリアナを無視してリリアナの指をしゃぶっていると…


「何をしている…」


冷たい声が食堂に響いた…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る