第34話

リリアナがいつもの様に朝起きて着替えて用意をしていると…


トントンとノックが聞こえる。


「はーい」


リリアナが扉を開けると…


「おはよう!リリアナ!」


そこには青髪の美少年が立っていた…。


「おはよう!ファイ!」


リリアナが笑顔で挨拶を返すと


ファイが嬉しそうにリリアナの手を握る…


「よかった…リリアナが魔族の国に来てくれて!これからはずっと一緒にいれるね!」


ファイがニコニコとご機嫌に笑うと


「ファイ…ありがとう、ブラッドと一緒に私の事を心配してくれて…」


ファイをギュッと抱きしめる。


「リ、リリアナ…」


ファイが固まっていると…


「ゴホン!」


「あっ!」


ファイがリリアナをそっと離すと…


「リリアナ…こちらハク様だよ。今日からリリアナの面倒を見てくれる方だよ」


ファイに紹介されハクがリリアナを見下ろすと…


「ルシファー様の命で仕方なくあなたの面倒を見ます。手を煩わせないで下さい…」


ハクが冷たく突き放すと…


「はい。ハク様未熟者ですがよろしいお願いします」


リリアナは気にする様子もなく頭を下げた。


「…では仕事場を案内します…ついて来なさい」


ハクがくるっと向きを変えて歩き出した…


ハクの長い足が優雅に廊下を歩くと…リリアナは小走りに付いていく…


その様子にハクが気がつくと…少し速さを抑えた…。


リリアナは歩きが遅くなった事に気がつくと…


クスクス…


可笑しそうに笑う…


ハクがピタッと止まると…


「何を笑っている…」


低い声でリリアナを睨む


「い、いえ…魔族の人って…みんなこうなのかと思って…」


リリアナが微笑むと


「こうとは?」


「みんな…優しいです…」


バリンッ!


リリアナの側の窓に急にヒビが入る。


「きゃ!」


「これでもですか…?」


ハクがリリアナを見つめると…


「この窓ハク様が?」


リリアナが驚いてハクを見つめると…


「ええ…そうです…あなたなど簡単に…」


「凄い!どうやったんですか?やっぱり魔法?」


ハク様の言葉を遮って窓に駆け寄ると…


「あっ…でも窓は危ないですね…後でガラスを替えておきますね!」


「くっくっく…」


ファイが後ろで顔を隠して笑っていると…


「ファイ?何か?」


「い、いえ…さぁリリアナ行くよ」


ファイが笑いながらリリアナを促すと…ハクは面白くなさそうに、またゆっくりと歩き出した…。

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