第22話
ブラッド達はビーズ達の裁きを終えてリリアナの元へと向かった…。
部屋に入るとリリアナがベッドの上でギョクと気持ちよさそうに眠っている…。
ブラッドはベッドに腰掛けると、リリアナの髪をそっとすくう…。
(よかった…髪が戻って…ルシファー様に感謝だな…)
リリアナの髪にキスを落とすと、ふわぁとリリアナの匂いが鼻をくすぐる…。
ブラッドは初めてリリアナにあった時の事を思い出していた…。
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「ブラッド、今日からファイとギョクと交代しながらある女の子を見守ってやって欲しい…」
いきなり呼び出されて、ルシファー様からわけがわからない命をくだされる…。
「ルシファー様…それはどういう事でしょう」
「正体を見破られること無く…ただ見守ればいい…ただし手を貸したりはしなくていい…」
「それは…本当に見てるだけ…という事ですか?」
「ああ…命に関わる時やその子が助けを求めた時だけは手を貸す事を許す」
(変な命令だ…)
今までされた事のない命令に困惑するが…魔王様の言うことだ…逆らう気もない、ブラッドは頭を下げて了承すると…
「その子は人間の女の子でリリアナと言う。ではファイ達を連れて行ってくれ…」
そう言って手をかざすと、驚くブラッドを他所にルシファーはブラッドをリリアナの元へと送った…。
ブラッドの目の前には、1軒の家が見える…そこには外で洗濯物を干している少女がいた。
「リリアナー!」
「はーい!」
名前を呼ばれて返事をする少女を見る…。
「あれがリリアナか…ルシファー様は何を考えているんだ?人間なんぞを守れなどと…」
ブラッドは目立たぬ様に犬に姿を変えると闇からファイとギョクを呼び出す。
「ルシファー様からの命令だ…あそこの人間を俺達で見守って欲しいそうだ…」
「えー!なんで人間なんかを?」
「なにそれ!つまんない!」
ファイもギョクもやる気がしないと不貞腐れる。
「まぁ…交代でいいそうだ三日に1回、しかも見てるだけでいいらしいから」
「ますますわかんない!見てるだけでどうしろっていうのさ!」
「あの娘が死にそうな時と助けを求めた時のみ対応する…」
訳の分からない命令をブラッド達は渋々引くうけていた…。
リリアナという子の一日は地味だった…。
毎日同じ時間に起きると飯を作る、その後は洗濯だ。樽の中に水を張り足でふみつけながら楽しそうに洗っている…。
その姿は踊りを踊っているようだった…。
洗濯物を洗い終わると今度はそれを干していく、大量の洗濯物を干し終わる頃には昼飯の準備だ…人間というのは休むことなく動き回っている…。
そう思っていたが…どうやら違うようだ…あの家に住む他の人間は一切動かない…リリアナに命令をしているだけだった…
しかしリリアナは嫌な顔一つせずに働いていた…
昼の後は少し自分の時間がある様で、本を読んだり編み物をしたり昼寝をしたりと呼び出されるまでは好きにしていた…この時間は俺達にとっても休憩時間だ…木陰に身を潜めて昼寝をする…そして夕方になるとまた飯の準備…なんの刺激もない退屈な日が終わった…。
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