第13話

ブラッドは書類を出して手続きを終わらせて戻ってくると…


「ルシファー様…」


ルシファーに耳打ちをする…


「では…彼女達と家に向かおうか?」


ニッコリと笑うと立ち上がった…。



ビーズ達を連れて彼女達の家に向かうと…


(リリアナ!リリアナ!起きて!アイツらが戻ってくるよ!)


ナッツが寝ているリリアナを起こそうとするが…ネズミの体ではリリアナを起こすことが出来ない…馬車はビーズ達の家に着く…。


ビーズ達は寝ているリリアナに気が付かずに家の中に入ると持っていくものをルシファー様の従者達に指示しだした…。


ブラッドとファイはリリアナに気がつくと彼女らにバレないようにそっと近づく…。


「リリアナ…なんて可哀想に…」


ブラッドは寝ているリリアナの髪にそっと触れると…


「ん…」


リリアナが目を覚ました。


ボーッとした顔で目の前の男性を見ると…


「あ…ブラッド…また来てくれたの…」


寝ぼけたまま人のブラッドの頭を抱きしめ髪の毛を撫でる…。


「リリアナ!なっ!何を…」


ブラッドは思わず大きな声を出すと…

リリアナがブラッドの顔をマジマジと見る…じわじわと顔が赤くなると…。


「す、すみません!知り合いの子に似ていたもので…」


リリアナはバッと立ち上がると…頭を下げて家の中へと逃げて行った。


「ブラッド…ずるい…」


ファイが動かないブラッドに文句を言うと…ブラッドは顔を手のひらで押さえる…。


変に思いブラッドの顔を覗くと…ブラッドの顔が真っ赤に染まっていた…。


「ぶっ!ブラッド何その顔!」


ファイが腹を抱えて笑うと


「う、うるさい!」


ブラッドは気まずそうに家の中に戻って行った…。



部屋に戻ったリリアナはベッドに潜り込み足をバタバタと悶えている。


「恥ずかしい~!ブラッドと間違えて…男性に抱きつくなんて…」


驚いた男性の顔を思い出すと…


「でも…匂いも…目も髪も…ブラッドにそっくりだった…」


抱きしめた時に感じた感触を思い出そうとしていると…


ガンガンガン!


扉を乱暴に叩かれ…返事も無しにビーズ達が入ってきた…。


「リリアナ!ここにいたのね…」


「あっ…ビーズ様…モス様もビルデ様もお帰りなさいませ」


リリアナが立ち上がると


「お茶をご用意致しましょうか?」


帰ってくるとすぐにお茶の用意をさせられるので、今日もその事かと聞くと…


「いいえ…あなたはここからしばらくは出ないで頂戴!」


「えっ?」


「そして…今この時から私達は赤の他人よ、書類もあるわ」


どういう事だと、次の言葉を待っていると…


「私達は今日正式にプロポーズされたの、それで今日からその旦那様のお屋敷で暮らす事になったわ」


「プロポーズ…」


「ええ…だからもうこのボロ屋敷には用はないわ…借金と共にあなたに返してあげる」


ビーズがニッコリと笑う…。


「借金…借金ってなんですか?」


「だって…私達働いてないでしょ?あなたのお父様の残してくれたちっぽけなお金だけじゃ暮らしてなんて行けないわ…」


「えっ?お父様のお金?」


リリアナには初耳だった…


「ええ…亡くなる時に貰ったのよあなたを頼むって…だからあなたを置いておいてあげたんじゃない」


ふふふと可笑しそうに笑っている。


「もうそのお金もないから…あなたの面倒を見る必要も無いわね…だからあなたのお父様の名義で借りてたお金はあなたが返すべきだわ」


「酷い…」


リリアナはガクッと膝を着く…。


「大丈夫!あなたなら直ぐに返せるわ!ちょっと夜に男性の相手でもすればおばさんになる前に返せるわよ」


きゃはは!とモス達が笑っている…


リリアナはビーズが喋る言葉を呆然と聞いていた…。


「じゃあ私達はもう行くわね」


ビーズ達はくるっと向きを変えると足取り軽やかに出ていった…。


リリアナは今まで溜め込んできた悲しみを爆発させ…その場に泣き崩れた…。

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