いじめられてる子がいたので魔族の国に連れてって幸せにしたいと思います

第11話

ビーズ達は停止した馬車から降りると、目の前の屋敷に目を奪われる…。

ビーズ達が住む家も普通の庶民達に比べれば大きい方だか…ルシファー様の屋敷は軽く倍以上ある…。

「…素晴らしいお屋敷ですわね…」

ビーズが、言葉を絞り出すと…。

「ありがとうございます…」

「お庭も素敵だわ！」

「本当ね！後でみんなで歩きたいわね！」

チラッと従者に流し目をするが…サッと躱される。

「…庭園はまだ急ごしらえでして…」

「えっ？」

「あっ…いえ。庭園はちょっとまだ入る事が出来ませんで…申し訳ございません」

「まぁ…そうなの、残念だわ…」

「まさか…庭にまで目を向けるとは…ご主人様に言っておかねば…」

従者がボソッと声に出すと…

「はい？何か言いまして？」

ビーズが従者をみると…

「いえ…、ルシファー様がお待ちです。どうぞ中へ…」

従者が重厚な扉を開けると…中は見た事もない装飾品できらびやかに輝いていた…。

「素敵…」

「こんな所に住んでみたいわぁ…」

「本当ね～」

三人は周りをキョロキョロと眺めていると…

「なら…住んでみるかい？」

その声を聞いた途端に体の芯が熱くなる。

「ルシファー様！」

ビーズが声をオクターブ上げて駆け寄った。

「この度はお招きありがとうございます…それと…先程の言葉は…」

チラッと上目遣いでルシファー様をみると

「言葉通りだよ…よかったらここに住んでみるかい？」

ビーズはぱぁーと顔を輝かせると…

「喜んでお受け致します…」

「なら早い方がいい…食事を取りながらその話を進めようか…よかったら荷物は私の従者に運ばせるよ」

そう言って後ろに佇む背の高くガタイのいい男性を見せる…。

「まぁ…何から何までありがとうございます！」

「運んで欲しいものは彼に言っておけばいいからね…」

「ビルデ…さっきの従者もお綺麗で素敵だったけど…あちらの方もカッコイイわね！」

「姉さんも思った!?背が高くて…あの冷たい目が素敵…男らしい逞しい体だわ…」

ビルデが背の高い従者を舐めまわすように見つめると

バリン！

飾ってあった花瓶が急に弾け飛ぶ。

「か、花瓶が…割れた？」

「吹き飛んだ様に見えたわ…」

「申し訳ございません。お怪我はありませんか？」

青髪の従者が慌てて声をかけてくるので大丈夫だといい、三人はルシファー様と部屋へと移動した…。

「ちょっと！何してんの！」

青髪の少年が背の高い男性を睨むと…

「気味の悪い顔で見てくるからつい…」

「全く…ちょっとずらさなかったらあの女が吹き飛んでたよ！」

「…だからずらしただろ…」

「約束したでしょ！傷はつけないって！」

「気をつける…」

男性は悪びれる様子もなく答えると…

「あとさ…リリアナの事で話がある…」

男性がピクっと反応すると…

「なんだ？」

先程とは違い食い気味にすると

「リリアナ…髪が切られてた…」

「なんだって…」

男性の顔がみるみると憤怒で歪んでいくと…真っ黒い姿に変わる…

「ブラッド…姿が戻ってるよ…」

「そんな事はどうでもいい！リリアナはなんで髪を切られたんだ！」

「わかんないけど…あれは自分で切ったんじゃないと思う…長さもバラバラだった…」

その時の様子を思い出し…青髪がユラユラと揺れ出すと…真っ青な炎に包まれる。

「僕だって…馬車の中で何度アイツらを殺してやろうかと…」

ファイが魔族の姿になると…

「でも…リリアナとの約束だからね…我慢したんだ…ルシファー様もいるんだしブラッドもちゃんと我慢してよね！」

そう言うと青髪の少年の姿に戻っていた。

「わかってる…リリアナを助けたら…もういいよな…」

男性の姿に戻り冷たい目を向けると…

「そうだね…リリアナと離しちゃえば…もうわからないでしょ…」

ファイがニッコリと笑うと、二人はアイツらの後を追った…。