第9話

次の日…朝早くからルシファー様の従者がみえた…。


「本日、ビーズ様達にお話したいことがあるそうです。宜しければ屋敷にご招待したいそうですが…」


「是非!行かせていただきます!」


ビーズが従者の言葉を遮って返事を返すと…


「ご主人様に伝えておきます。では12時に迎えの馬車をご用意致しますので…」


「何から何までありがとうございます!ルシファー様にも宜しくお伝え下さい」


従者は頭を下げると来た道を戻って行った。


「お母様!ルシファー様はなんて?」


モスがたまらず上機嫌な母親に擦り寄ると


「ふふふ…お屋敷にご招待されたわ!何か話があるそうよ!」


なにかしらぁ~ビーズは年甲斐もなくウキウキしていると…


「私達は?私達は行けないの?」


「私達に話があるって言ってたわ!だからお前達も大丈夫でしょ!」


「リリアナはどうするの?」


「あの子はご招待なんて受けてないわ!留守番よ!」


「「そうよねぇ~」」


「ルシファー様に合うんだからうんと綺麗な格好をしましょう!リリアナー!リリアナー!」


「はい…ビーズ様」


リリアナが急いでビーズの元に向かうと…


「今日の朝は頼んでいた痩せる料理をお願いね」


「「えっ?」」


「何それ!そんな料理が出来たの?」


「私も食べるわ!」


「直ぐに三人分用意して頂戴!」


「はい」


リリアナは急いで準備に戻って行った…。



三人でどんな料理が出てくるのかと待っていると…リリアナが料理を運んできた。


「こちら…痩せる実で作ったマフィンです」


トレーの上にはマフィンとヨーグルト、スープとコーヒーが乗せられていた。

マフィンの中には赤い実が散りばめられている。


「このマフィンが痩せられる料理なの?」


「この赤い実が痩せられるそうです…でも…あんまり食べすぎるのは良くないみたいですので…」


「そんな事言って自分より細くなられるのが困るんでしょ!」


モスはマフィンを掴むと行儀悪くガブッと口にはこぶ。


「あら…美味しいわ!実が甘酸っぱくて、甘いマフィンによく合うわ!」


そう言ってもう一つ手に取ると…


「姉さんずるいわ!私も!」


ビルデもマフィンを豪快に口にはこぶ。


「本当ね!美味しいわ!これで痩せられるなら最高ね!」


またマフィンを一つ手に取る…。


「モス様もビルデ様も食べ過ぎたら…」


痩せられるわけがないと止めようとすると…


「うるさいわね!痩せられる料理を食べ過ぎて太るなんて事あるわけないでしょ!」


「そうよねぇ~これでもし太ったら…リリアナの料理が悪いんだわ!」


「そ、そんな…」


「二人共そのくらいにしておきなさい!本当に太りでもしたらどうするの?」


ビーズもマフィンを口に運ぶと…


「あら…本当に美味しいわ」


三人は用意したマフィンを全部食べてしまった…。


「私達はこの後出かけて来るわ、あなたは家の事を全部しておきなさい」


「はい…ビーズ様」


リリアナは空のマフィンの器を持って下がって行った…。



キッチンに戻ると…


「どうしよう…まさか用意したマフィン全部食べちゃうなんて…あんだけ食べたら…絶対に太るよね…」


はぁ…とため息をついていると…


リードとナッツがテーブルに登ってリリアナの様子を見ていた。


「あっ…リード、ナッツ、ごめんね…お前達にも余ったらあげようと思ってたのに…一個もないんだ…」


リードとナッツはむしろ嬉しそうに動いていた。


「いいなぁ…二人はいつも仲良しで…」


リリアナが羨ましそうに二匹を撫でる…


「私も…そういう相手が欲しいなぁ…」


リリアナの呟きを聞いた二匹は…


(俺が相手になってやる!)


(いえ!私がなりますよ!)


いきなり喧嘩を始めた二匹を可笑しそうに笑って見ていた。

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