トラップタワー&転送トラップお徳用
「今日も始まりました異世界テレパシーショッピング! ご紹介しますは私、ナナ=ビンテージと……ちょっと」
「ドクターどいて」
ビ!
「クーヘン君、今本番中」
「だから来たんじゃないかクーヘンだよー!」
「クーヘン君、君は、今までどこに行ってたの? 心配したんだよ」
「そゆのいいから。それより今回の商品これ? でっかい塔だね」
「えーー……そうなんだ。こちら、この外見、博識な方ならピンと来るかもしれないこちらが今回ご紹介する商品、トラップタワーとなります」
「トラップ? 罠? 何閉じこもるの?」
「惜しいですクーヘン君、こちらのトラップタワーは海外ではモブタワーと呼ばれるもので、これを用いるとですね、何と、全自動で、何の苦労もなく、経験値を無限に稼ぐことができるのです!」
「経験値?」
「そうです。スキル、ステータスに続く基本概念、レベル、即ち沢山殺せば殺すほど能力が上がるのがセオリーです。ですが、実際これが面倒なんです」
「そりゃね。最初はエレクトしたけど、三人目あたりからマンネリだしね」
「そうなんです。一気にレベルを上げようにも強敵は珍しく、かといって雑魚ばかりを延々と殺し続ける、苦行でしかありません。そこからコーポレーションはあなたを解放します!」
「な、何だってー!」
「そのために必要なものがもう一つ、こちらになります」
「何これガラクタ? コインにドアノブに鍵にヌイグルミ? わかった抱き合わせ販売でゴミ押し付ける気なんだ」
「違うよクーヘン君、これら一つ一つがこちらのトラップタワーへ送り込むための罠、転送装置となっているんです」
「それてってつまり?」
「ここからは実演と参りましょう。映像、切り替わりますか?」
「変わったよー。街中?」
「そうです。事前に一つ、セットしておきました。この中央にある乳母車ですね。このような人通りの多い場所に設置するのがコツです。多ければ多いほど罠にかかる人数も増えますからね」
「あ、なんかジジィが気がついた。周り見て、声かけて、中覗き込んで、手入れて、あ、消えちゃった」
「そうです。魔術を用いた転送トラップ、最新隠蔽術で素人目には絶対に見破れませんし、発動してしまえばもう終わり。そちらの様子を、映像切り替わりましてトラップタワー内部です」
「あ、ジジィ、落下中」
「はいトラップ内容はシンプルに落下式、更に飛行能力を有する場合に備えて電撃砲を予備で設置、加えて内外の壁や天井は防御結界を展開、脱出も侵入も破壊も困難な作りとなっています」
グチャ。
「おー死んだ。でもこのままじゃ下で死体が溜まってっちゃうんじゃない?」
「そこはご安心を、ご覧ください」
「わーー落ちで潰れたジジィが溶けてくー」
「このように、死体は分解してタワーの補強材料に、魂や魔力は転送や結界などの再利用、そうして永遠に雑魚狩りを続け、経験値を自動で供給し続けるのです!」
「やったね。だけど仕組みはわかったけど、本当にこれで経験値が入るの? タワーや作った人じゃ? てか無駄になるんじゃ?」
「そこはご安心を、確かにタワーの建築や転送装置の設定、設置、軌道のための初期魔力などはこちらでご用意します。ですが、最終的にタワー軌道のスイッチを押すのはお客様自身、つまり殺すのはお客様あなたなのです!」
「すごいや! これでいくらでも虐殺できるね!」
「こちらのトラップタワー&転送トラップお徳用、設置が早ければ早いほど他との差を広げられます。レベルさえ上がってしまえば先行投資などすぐ回収できます。爆上がりなレベルでチートな生活を、あなたの手に、今すぐ手に入れてください!」
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