第40話 勲章もの
いやぁ、長らく投稿していなかったのを投稿再開出来たのでスッキリしてます。みなさんにはお待たせしてしまって大変申し訳ないのですが……。
取り敢えず、今日二話目でございます。明日も二話投稿しますので〜
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「も……もう……無理れす………」
「っと……はい、お疲れ様」
倒れ込む御門ちゃんを寸でのところで支える。土埃で汚れた服を魔法で綺麗にしつつ、聞こえてはいないだろうが労った。
見ての通り、満身創痍の御門ちゃんはよく戦った。正直格上に挑むのって途方もなく大変だとは思うのだが、余程俺のご褒美を目当てにしてたか、随分と頑張ってくれたようだ。
戦闘でも問題なく無詠唱で発動したし、剣の筋も悪くない。結局俺に一撃入れることは叶わなかったが、俺相手でなければ確実に一撃は当てることが出来ていただろう。
どんな攻撃にもすぐに対応でき、集中力を一切切らさない俺だからこそ、避け続けられた。出来るとしたら、それは俺よりも強い人だけだ。
「さて……飛鳥さん」
「あ、は〜い!」
周囲に張っていた魔法を解き、俺は丁度休憩をしていた飛鳥ちゃんを呼ぶ。彼女は俺の元まで来ると、すぐに意図を悟って、御門ちゃんを俺から受け取る。
「魔力が切れるまで俺と戦ったから、疲れたみたいだ。休ませてあげてくれ」
「はい、分かりました……あの、気を失った紫希ちゃんに、変なことはしてませんよね?」
ふむ。変なこと、というのがどんな事なのか敢えて聞きはしないが……。
「胸が腕に当たったこと以外なら、変なことはしてないよ」
「そこを澄まし顔で言われても、ちょっと……」
「まぁ、これは不可抗力だから。故意にやったわけでもないのに隠す必要は無いからね。隠した方がやましくなるだろう?」
「それはそうですけど……慣れてるんですね、本当に」
こちとら女性との付き合いは長い。真の意味でお付き合いというのはしたこと無いが、少なくとも誤解を避ける方法や、嫌われにくい対応というのはある程度心得ているつもりだ。
もちろん、好かれるように愛想を良くするのも。
「女性慣れしていると、不安かな?」
「不安だったら、紫希ちゃんのことを言ってませんよ」
フフ、と笑う姿は、やはりお淑やかだ。参った、という思いは、後頭部をかくという動作に現れていた。
「……御門さんは初心だからね。男慣れさせる相手としては、俺は最適ってことか」
「私はちょっと見てみたい気もしますよ。紫希ちゃんの女の子の表情」
その言い方は、まるで飛鳥ちゃんが紫希ちゃんをそういう目で見ているかのような発言だったが……確信もないので聞き流した。
女の子の表情、というのが果たしてどういうものなのか。幾つか候補はあったが、それも聞き返さないでおく。
「じゃあ御門さんのことお願いね。訓練は終了だから、君も午後に備えてもう一休みしておいで」
「ありがとうございます。そうやって何も言わずに気遣うところ、トウヤさんから善意を感じとれて、好きですよ」
「それはそれは、こちらこそありがとう」
冗談交じりに言われたその言葉を、俺も冗談交じりに返しておく。
御門ちゃんをお姫様抱っこして連れていく飛鳥ちゃんの後ろ姿をみながら、ふぅ、と一息。
こうやっていると、深く気を使わなくていい野村君との訓練がどれほど楽な事か。きっと門真君達も、大して気を使わなくてもいいのだろう。
それ故に、女の子との訓練って大変だ。色んな意味で。
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