218_心ない塊

僕らが集まった場所に一つの塊ができました

珍しいものだからみんなは写真を撮りました

僕はあいつらと違うからすぐ立ち去りました

人の心を持っていない彼らを僕は貶しました


ただ彼らを貶すための基準は僕の心なのです

まるで自分の心を否定しているみたいでした


沸々と湧き上がる不安に押しつぶされた僕は

ふと塊がなんであるかを考えようとしました

きっと前は心を持っていたのかもしれません

だからこそ塊になったのだろうと思いました




塊はもう無く青いシートだけ残っていました

珍しさは消えて誰一人撮っていませんでした

もう彼らには人の心が戻っているようでした

人の心を持っていた僕はどこかに行きました


どこかに行った僕の心は戻らないみたいです

これで否定する心がなくなった気がしました


沸々と湧き上がる欲求に抗えなくなった僕は

ふと塊がなんであるかを考えようとしました

きっと心があれば防げていたかもしれません

だからこそ自分は塊であるべきと思いました



飛び込んだと同時に何かふわっとしたものが

青いシートと何かがかさぶった気がしました

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