第387話 広い暗闇とは何か

広い暗闇とは何か。抜け出すのが難しい暗闇。


狭い暗闇とは何か。すぐに抜け出せる暗闇。


広い暗闇の入り口にいるとは何か。広い暗闇なのにすぐに抜け出せる場所にいるけれど、そこから移動するほど暗闇から抜け出すのが難しくなること。


狭い暗闇を外から見ているとは何か。暗闇にあるすべての出入り口が見えていて、だれが入ってだれが出てこないかもわかること。


広い暗闇を外から見ているとは何か。ひとつの出入り口から向こうはすべて暗闇で、他の出入り口は無く、自分が入るかどうか選ぶしかないということ。


暗闇にあるすべての出入り口が見えているとは何か。自分より小さく、手に持って表と裏を交互に見ることができるということ。


ひとつの出入り口から向こうはすべて暗闇だとは何か。無限の高さと幅がありそうな、見たことも無い壁だということ。


広い暗闇を見たことは無いけれど、狭い暗闇なら見たことがあるとは何か。暗闇は狭いものだと思い込んでいて、初めて広い暗闇を見たときは、それも暗闇の仲間だとは気づかないということ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る