『花が咲いたよ』
花が咲いたよ
私の胸に
それは小さな、小さな花
それでもかわいい花
時々怒ったりすねたりもするけれど
ささやかに人を愛して夢見る花
楽しいな
うれしいな
空に風に 光に水に愛されて
私は春の歌を歌おう
花が枯れたよ
誰も水をくれなくなった
光が見えなくなった
風は私をなでなくなった
私はかさかさに朽ち果てたので
もはや涙すら出なくなった
枯れた花に誰も関心をもたなくなった
花は散ったよ
動けない花は 力のない花は
抵抗ができなかったよ
強い風の吹き荒れる間に首がもげたよ
荒らされて踏み散らされたよ
もう私は歌えない
歌う事を忘れた花は
砂粒をなめるだけ
花は死んだよ
でもね
死ぬ前に太陽が帰ってきたよ
風がやってきたよ
雨が慰めたよ
土が花の遺体を抱いて包んであげたよ
花は眠りについたよ
すべてが朽ちて種だけが残ったよ
種はコロコロ転がって
一つの花を咲かせたよ
みんなこんにちは
そう言った私の声は空しく響く
私はひとりぼっち
寂しいな
そうだ
私には歌があるじゃない
昔歌った春の歌を思い出したよ
聴く者は誰もいなかったけど私は歌った
絶対誰かが聴いてくれると思ってね
やぁ
初めまして
泣いてるの?
うん だってうれしいから
僕ら、二人だけだね
私は、ずっと一人だったのよ
私の他には誰もいなかったの
そう 大変だったね 辛かったね
いいの 0と1ってね、近いようでぜんぜん違うの
だから私は幸せ
これ以上何も望まない
一緒に歌いましょ
春の歌を
私が教えてあげる
私の胸にもう一度かわいい花が咲いたよ
一度死んだけど種ができて
それが私の愛を生んだよ
そしてまたそれが死んで種をつくり
増えて沢山の花が咲いたよ
もう私の胸の花は枯れないよ
何も恐れなくていいって分かったから
枯れても死なないよ
死んでもまた生きるよ
永遠に
あなた泣いてるの?
泣いてもいいよ
でも気の済むまで泣いたらね
私と一緒に春の歌を歌おう
知らないって?
私が教えてあげる
うれしいな
楽しいな
決して強がりでも世間知らずなわけでもない
私の、こころからの言葉
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