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妖精さんと出会ったことでわくわくする冒険心をいつも以上に膨らませていた岬は、毎日探索している家の近くの森の中をいつもよりもずっと、奥に、奥に向かって歩いて冒険をしていた。
(いつも泣いてばかりいる、臆病な性格をした岬にそんな大胆な行動ができたのは、妖精さんが一緒にいてくれたからだった)
そのせいで岬はやがて森を抜けて、その反対側にある見知らぬ土地にまでやってきていた。
途中に見たこともない川があったりしたので、もう随分と歩いて移動をしたはずだった。
(帰り道がわからなくなる可能性もあったのだけど妖精さんが『大丈夫ですよ。帰り道は私がしっかりと覚えておきますから』と言ってくれたので、岬は安心して森の中を歩き続けていた)
「ここは私の家のお花畑なのよ! 勝手に入ってもらっては困る!」とむっと怒った顔をした女の子はその両手を腰に当てて仁王立ちをして岬を見ながらそう言った。
「あ、えっと、ご、ごめんなさい。君の家のお花畑だなんて知らなかったから、……」と怯えた顔をして岬は女の子にそう言った。
確かによく見るとその綺麗なお花畑は自然とそうなった、としてはあまりにも綺麗に咲きすぎていた。(いろんな色をした花がきちんと並んで咲いているのも不自然だった)
誰かがこのお花畑を管理して育てている、と考えたほうがようさそうな風景だった。
……妖精さん、どうしよう? と小さな声で岬は言った。
『ふふ。さあ、どうしましょう』と岬の耳の後ろあたりにさっきからずっと隠れている妖精さんが、面白そうな声で岬に向かってそう言った。
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