家出JCがJKに恋する話
日本百合愛好家之助
第1話 夏休み初日
走った。必死に走った。アイツに追い付かれないように。気づけば私は、どこかすらわからない道に佇んでいた。
どこだろう。不安だ。怖い。けどそんなことはどうでもいい。やっとアイツから逃げ出すことができたのだ。私は安堵で力が抜け、座り込んでしまった。
父は傲慢で偏屈な学歴主義者だった。
常に私や姉、母に暴力を振るってきたし暴言を吐いた。所謂DV男だ。
そんな父は学業に関しては殊更うるさく、常に勉強をすることを強要しては満点でないと‘’お仕置き”をされた。『なぜできないんだ!』と私と姉は何度も何度も殴られた。
私達は父のDVから少しでも逃れるために、死に物狂いで勉強した。そんな姉だが高校受験が終わってすぐに、家を出ていってしまった。私が中学1年の時だ。
そこからが私にとって本当の地獄だった。姉がいなくなった分、父からの風当たりが強くなり監視がますます厳しくなった。ついには学校以外に外出することすら禁止され、常に勉強詰め。
そんな環境に耐えきれなくなった私は中学三年の夏休みにはいってすぐの今日、ついに家から逃げ出してしまった。
頭から離れない。家を飛び出した時の母の私を非難するような目が。母を残して一人で逃げたことに後悔がないわけじゃない。けど、私は自分の身を守ることで精一杯だったのだ。
これからどうしようか?行く宛なんてどこにもない。出ていった姉の行方なんて知らないし、頼れる友達もいない。幸い財布だけは持ってきていたから、野宿すれば2週間くらいなら余裕で生活することができると思う。
けどその先は?私は中学生。バイトするにしても絶対に面接が通るわけない。第一、世間体を気にするアイツが私を探さないはずがない。見つかってしまえばあの生活に逆戻り、いや、むしろさらに辛い生活を強いられることになるだろう。
そんなの耐えられない。逃げなきゃ。アイツに見つからないところに。
そこまで思い至って私は立ち上がった。ここにいても仕方がない。今は…18:00か。とりあえず何も食べずに家を出てきてお腹がすいてきたな。コンビニにでも行こうか。
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