今日から私が魔法使いの弟子!?

sai

第1話


「ごめ〜ん、文月さん!これはもおねが〜い!」


「ごめんなさい、わたしも今日までの仕事終わってないんです。」


「おねがい!今日どうしても早く帰らなくちゃいけない用事があるの。じゃ、よろしくね!」


ちょっ、まだやるっていってないんですけど!

はぁ。今日も残業決定だ。


就職してからは毎日のように残業。毎日コンビニで適当にお弁当を買って帰るような生活が続いてる。

大学生のころはそれなりにオシャレもしていたが、乱れた生活のおかげで体重も変わり、お肌も荒れ、自分のお手入れをする時間もないのだ。

地元の大学を卒業し就職を機に上京して3年。

今は都内で事務の仕事についている。

早くに父が亡くなり母子家庭で育ったが、去年病気の母が亡くなってからは地元にも帰っていない。



職場の同僚、花守咲はいつもなんだかんだ理由をつけて私に仕事を押し付けていく。


彼女は可愛い系で、お化粧ばっちり、女の子らしい感じだ。

上司ウケも良くて職場の女性の中心的位置にいる。


入社当時から地味でさえない私はきらきら女子グループには入れなかった。

きらきらグループは毎日お食事会やらお買い物が忙しらしい。


手伝って♡と押し付けられた仕事を断れなかったからか、徐々に押しつけ回数が増え、残業も増え、今に至る。



「はぁ、やっと終わった〜!」


やっとのことで押しつけられた仕事を終わらせて家に帰れる。いつものようにコンビニ弁当も買ったし、家まであともう少しだ。

1日中ヒールで仕事して足は浮腫んでるしクタクタ。



帰ってご飯食べたら今日は寝ちゃおうかなぁ。

そんなことを考えながら角をを曲がろうとした瞬間


「うわぁ!!!」


「きゃあっ!」


仕事で疲れていてぼーっと歩いていたからか、反対から出てきた人を避けられず足がもつれて盛大にひっくり返る。


「いったぁ・・・」


「ご、ごめんなさい!!」


・・・うわ、すごく整った顔。

中性的な可愛い系イケメンだわ。アイドルにでもなれるんじゃないかしら。


「あっ! どうしよう、血が、、、」


男の子に言われて気がついたが道路についた手のひらと足から結構な血が滲んでいた。


「大丈夫です!私もフラフラ歩いてたのが悪かったので!」


こんなキラキラ男子に手間かけるのは申し訳ないわ。

サッと立ち上がとしたが、足を捻ったのか痛くて立ち上がれない。


「いたっ!」


「ごめんなさい!ごめんなさい!!失礼します!」


男の子はそう言うと、私を横抱きに抱えた。


文月みどり(25)。初めてのお姫様抱っこだ。


「ええぇぇぇ!?

重いんで!本当に大丈夫なんで!!おろしてください!」


「手当てするんで!すぐ近くなんで!!!」


男の子は焦っているからなのか全然聞いてくれず、私を横抱きにしたまま走りだす。


えぇ!?

これ、どこ行くの!?

ほんとに大丈夫なの!!?


そんなことを考えていると少し走ったところにある落ち着いた雰囲気の一軒家に着き、その門を開き中に入っていく。


バタンッ!


「弓波さん!!助けてー!!!」


そう言って男の子が開けた扉の先には綺麗な銀髪に真っ白な肌青い瞳の男性と、暗い赤髪の体格の良い犬のような耳の生えた男性が、、、って耳!!?


「み、み、み、耳が!!耳が〜〜〜!!!!」



「「「あっ・・・。」」」



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