大好きが口癖の僕の彼女は小悪魔です
明日
図書室
『龍ちゃん、だーいすき』
僕の彼女は龍ちゃんだーいすきが口癖だ。カップルならこれくらい普通なのかも知れないが生まれて始めて付き合った僕、滝澤龍生には少し刺激が強すぎる。なので大好きなんて言われたら赤面必至の事態に陥ってしまう。
『あれー?照れてるの〜?』
そんなイジリチャンスを僕の彼女が見逃すはずもなく図書委員のために来た図書室の受付の隣り合う席を近づけてきた。
『ねー顔見してよ』
僕が反対方向を見てるのをいいことに僕の耳元で彼女はそう囁いた。
『ヒェッッッ!』
僕はおよそ人間が出してはならないような声を出しながら椅子を遠ざけた。
『ひど〜い。私が必死になって愛を囁いてるのに龍ちゃん逃げるなんて』
『必死って……山崎さん絶対にからかってるでしょ!』
僕が少し強めな口調でツッコムと今度は山崎さんがそっぽ向いてしまった。まさか強く言い過ぎたか?ここはしっかりと謝らなければ破局……って言う可能性も
『あの。山崎さんごめんなさい。少し強く言い過ぎました』
僕は出来る限りの誠心誠意を込め謝罪をしたが山崎さんは相変わらずそっぽを向いている。さっきまであんなに笑っていたのに女の子の心は変わりやすいって言うしもう僕にも冷めたのかもしれない
『名前』
僕がネガティヴ思考を巡らせているとそれを遮るように山田さんは言った。
『名前で呼び合おうって言ったじゃん』
山田さんは肩を震わせながら言った。あーこの前の帰り言ってたやつか、でもあれは僕は恥ずかしいからやだって言ったんだけど。
『はやく』
急かすような少し冷たいようなトーンで山崎さんは言った。
『朱音さん、こっち向いてください』
僕が精一杯の勇気を振り絞り、そう言うと朱音さんがニコニコの笑顔を向けながら振り返った。え?ニコニコ?
『何で?朱音さん泣いてたんじゃないの?』
『泣いてるなんて誰も一言も言ってないよ。龍ちゃんが恥ずかしがりながら朱音って言ってるのが可愛くてついつい顔がにやけちゃうだよね』
『やっぱりからかってるじゃない!』
『でも朱音って呼んでくれて嬉しかったよ』
朱音さんは再びニコニコの笑顔を向けながら言った。
『もー!知らない!』
またこんな赤面を見せたらからかわれる。僕はそう思いそっぽを向いた。
『え〜、許してよ〜』
僕の彼女の朱音さんは小悪魔です。
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