第17話 天部長、壊れる

「怖い!? 怖すぎる!? 簡単な文章やテンプレートなら、すぐにできてしまう自分の才能が怖すぎる!」

 天は、自分の才能に酔っていた。

「それだけ文字数を書いて経験してきたってことでしょう。努力が報われているのよ。」

 麗は、天を労った。

「ドラえも〇、アンパンマ〇など、いつも同じような内容で続いていますからね。共通点は、子供向けです。」

 大蛇は、別にいいと思っている。

「絶対無敵のカロヤカさんの秘密は、妖精さんと小人さん使いだったんですね。これでカロヤカさんの強さの謎が分かりました。ニコッ。」

 笑は、妖精さんと小人さんを労う。

「妖精さんと小人さんがいる限り! 私は眠っているだけでも絶対無敵なのだ! ルンルルン~。」

 カロヤカさんは、軽やかなステップを鼻歌交じりにする。

「ま、負けた!? これも最近のドラマが全てコケているから、30歳女教師なんて、面白いのか? まず、ごくせ〇と被る。次にドクター〇と同じようなモノ。ドラマ化されるのは偽装不〇。それを選んでドラマにして地上波で一般大衆に放送するんだから、選んだ大人側に問題があると。子供や家族が見るようなタイトルじゃないね。選んだ大人は、不倫したいのか、離婚したいのか。」

 苺は、イマドキの世の中は、イマドキの大人が作ってしまったと思う。

「みなさん! 今日の和菓子は、不味くて痛い、たわしコロッケですよ! もちろんお茶もありますよ! エヘッ。」

「コンコン。」

 本物の幽霊おみっちゃんとコンコンも天の影響で壊れてきた。

「たわしコロッケって、食べれるの? ゴホン、本題に戻ろう。安易にできてしまった「カロヤカさん」を書き続けるか、どうするか。問題は、世の中ね。芸能人が本を書けば、ファンが買う。ネット小説投稿サイトで不正をすればランキングが上がるので編集者の目に留まる。編集者のくせに全作品を読まないから、一般素人には光が当たらない。さらに選ばれる作品が面白くない。なぜ選んだ? コネか?と疑われちゃう。はあ・・・。」

 幽子は、疲れていた。

「さあ! 創作スタート!」

「どうしよう?」

「どうしようったら、どうしよう?」

「コンテストみても、30歳コン、双子コン、甘えるコン。まあ、コンコンコンで、なんとか参加してもらおうとしているのだろうが、需要と、5万字でOKとか、薄いな。なぜ10万字じゃないんだろう?」

「開くコンテストではなく、売りたい人が決まっているコンテストなのか?」

「既定路線ってやつ。」

「何か、まったく別のものを新しく書くか? それとも「カロヤカさん」「旧暦忍者」を10万字まで書き進めるか?」

「今後の方向性だな。」

「芸能人でもないし、出版業界にコネもない。」

「ということは、自己満足の世界か。」

「悲しいな。」

「テンプレートをやってても悲しいな。」

「でも、ドラえも〇やアンパンマ〇の陣営は、単純な毎回繰り返しでお金儲けができてウハウハなのよね。」

「そうなると、難しいオリジナルな物語でなくてもよい。」

「描くのは、女子高生じゃなくて、子供! そう、もっと低年齢層向けなのか!?」

「子供が目からビームを出す?」

「それ、なんか違う。」

「子供が大人になって、大人が子供になったら、名探偵コナ〇じゃん!?」

「パクるか?」

「名探偵コナ〇も、水をかぶって男と女が入れ替わる、らんま2分の〇のパクリ。」

「もっと言えば、メルモちゃ〇の赤いキャンディーと青いキャンディーのパクリ。」

「そう考えると、パクリではなく、良い所を全てパクってしまえばいいのだ。」

「逆転の発想ですね。」

「ただパクって認めなければいい。それが業界の常識だ。」

「確かに、売れれば正義の業界ですもんね。」

「やはり別人が同じことを創作する。まず、あり得ない。」

「パクったんだろうな。」

「つまり、そういうこと。」

「「世界はパクリでできている。」」

「ありそうなラノベのタイトルだ。」

「これをタイトルにすると、全ての作品のパクリが可能である。」

「普通に考えれば、「カロヤカさん」珍しく良い話だし書き続ければ良いだけの話。」

「なのに、そこで悩んでしまうのは、心が病んでいる証拠だね。」

「カロヤカさんを、実は子供にしてしまうか?」

「それとも妖精さんと小人さんを子供にしてしまうか?」

「純粋なのは、子供の間だけ。」

「女も中学生とかで男を知ると、体で男を選ぶからな。」

「処女以外。」

「ダメだ。話が18禁。」

 カロヤカにお任せあれ。

「ガーン! テーマや題材で検索してみた。決め方なんて、今まで自分がやってきた方法と同じで検索1ページ目から参考にならなかった。」

「みんな、考えることは同じということね。」

「ごくせ〇は、金八先〇のパクリ。」

「水戸黄〇は、大岡越〇のパクリ。遠山の金さ〇もパクリ。決めゼリフが3作ともあるところもパクリ。」

「決めゼリフがある段階で、全てテンプレート型でできてしまうパクリ。」

「先生モノ、時代劇モノとジャンルが同じならパクリなのか?」

「ジャンルが同じは、パクリではない。」

「ファイナルファンタジーは、ドラクエのパクリなのか? さらに進撃の巨〇もパクリなのか?」

「同じロールプレイングゲームの異世界ストーリーというジャンルは同じだが、ほぼ内容も同じか、本家の描かれていない一部分みたいなものだが、世間一般では、二次創作はパクリではない。」

「ああ~、二次創作を作って「オリジナルです。」でいいのか。「名前を変えました。」「クリスタルを出しました。」「巨人を出しました。」「ゴムゴムの実を出しました。」で、オリジナルの完成か?」

「確かにジャンル被りはどうしようもない。それで被りと言われたら、何もできない。」

「ほえ~。ここまで考えると、全てにパクリはない! それが結論だ。」

「パチパチパチパチ!」

「何でも使って売れればいいのだ! 売れてお金がもうかればいいのだ! 売れれば正義になる! それが業界の常識だ!」

「例えば、海賊モノのワンピー〇、現在、海賊モノなのに時代劇をやっている。結局、海賊世界だけの限界を認めたということ。世界チェンジはするが、内容は、どこの世界に行っても同じ。どちらかというと初期の仲間を集めている頃は楽しかった。」

「そうね。最近は、名探偵コナ〇やドラコンボー〇みたいに、ただスポンサーの威光で長いストーリーになってしまっての世界チェンジのような。」

「テレビシリーズもジャン〇に近すぎて、末期のドラゴンボー〇のようにパンチ1発で30分みたいな。痛々しい。面白くない。」

「で、どうしよう?」

「結局、シチュエーション・ギャップか。」

「大枠は、現代に異世界が来る。逆に異世界が現代に来る。」

「なんだか高橋留美〇大先生っぽい。」

「ああ~、大先生でもスランプって、あるんだ。」

「これで現実世界で死んで、異世界に言ったら異世界転生か。」

「なんで、ラノベと最近の深夜アニメは、そんな始まり方の作品ばかりなんだ?」

「プロも、みんな、2匹目のどじょう狙いか。」

「責任とれない。失敗したくない。だから、同じような作品ばかりで、つまらないので見なくなる。」

「町工場とか、サラリーマンとかの、大企業と戦う下克上モノばかりも同じだ。」

「ウケたから続く。続くと、どこかで、一般大衆は飽きて、ハズレを引いたドラマは視聴率低迷、打ち切り。」

「例えると、大河ドラマですね。不幸だ。」

「朝ドラは、今のところ良い。しかし、海ちゃ〇までは暗黒期。」

「大河ドラマに再び光は当たるのか?」

「まあ、織田信長をやってコケたら終わりだけど、織田信長をやれば成功する可能性が高いと。」

「切り札がある訳ですね。大河ドラマには。」

「長くなったので、次回にしよう。」

 カロヤカにお任せあれ。

 つづく。

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