第29話 甘すぎる僕のお姉ちゃんとの談話
「へぇ~、それで
「なっ、なんですか……。
「そんなことないよ~。
「べっ、別に
「なんで僕!?」
突然話を振られて、思わず叫んでしまう。
さっきから全く僕は会話に入っていなかったというのに、急に呼ばれても対処できない。
「……っていうか、姉さん。少しいいかな?」
「ん~? なあに?
ぱっちりとした目を僕に向けながら首を傾げる姉さんに対して、僕は告げる。
「姉さん……なんで僕たちの部室にいるのさ……」
そう、今は放課後であり、ここは人形演劇部の部室である。
だというのに、僕の姉さんは、さも当たり前のようにゆっくりと寛いでいた。
「だって、
相も変わらず、理由が理由になっていなかった。
『まぁ、いいじゃねーか兄弟。
「そうだよ~、私は
はあい、と手をあげながらブルースさんの意見を肯定する姉さん。
一方、
部長にお茶汲みをさせるのはどうかと思ったが、まだ茶葉の保管場所も知らなかったので、今日だけは
この調子だと、汐先輩に色々と任せてしまうことになってしまう。
なので、明日からは交代制にしようと固く誓った僕だった。
あと、
何気に凄い能力だ。
しかし
と、少し考えてしまったけれど、思い出してみれば、
できれば、こうなった姉さんを見せるのは少人数にしておきたい。
「別にばれたって心配ないと思うけどね。
ぼそっと、頬杖をつきながら
「そう!
「お願いだから、そんな布教活動しないで!」
僕はこの部室にいる全員に聞こえるくらいの盛大なため息をついた。
そんな僕を見て、
「むしろ、いい方向に考えなさいよ。ここに
「まぁ……そういう考えでいいの、かな?」
『いいんじゃねーの? 賑やかなほうが、オレ様は好きだぜ』
「わーい、ありがとね、ワンちゃん♪」
『ワンちゃんって言うな! オレ様はブルース様だって何回も言ってんだろ!』
姉さんは、ブルースさんにも律儀に礼を告げたが、そのブルースさんは名前で呼ばれないことに少々不満を抱いていたようだった。
だが、この前は形式的な挨拶だったけれど、今は生徒会長としての顔を出していないからなのか、少しだけフランクな口調で対話していた。
その後、
ここにいる全員が、この和やかな雰囲気を満喫している。
このまま、僕たちは時間が過ぎるのをゆっくりと感じて――。
「いや、部活動!!」
僕は一人立ち上がって、盛大に声をあげた。
3人が3人とも「?」と首をかしげているところに、僕は容赦なく突っ込みをいれる!
「!?!?」
僕の声に一番に反応したのが
「僕たち、これから部活動をしなくちゃいけないんですよ! このままのんびり過ごしてたらまずいですって!」
そう告げると、
そして、かああっ、と熱くなった顔を隠すように、ブルースさんを前に付きだして話し始める。
『「すみません、昔の部室に戻ったみたいで嬉しかったから、お菓子もいっぱい用意しちゃいました」だとよ』
なるほど、道理で
それは、きっと
だったら尚更、僕たちが頑張らないと。
「そうね、発表会だっけ? もう1ヶ月後にはあるんでしょ?」
入部する前から、人形演劇部の事情を知っていた
万が一の可能性として、
根が真面目な
『おしっ、んじゃあ、古株のオレ様が色々と指導してやるぜ。いいか、兄弟? 嬢ちゃん?』
やる気スイッチが入ったのか、ブルースさんの声もいつもより貫禄があるような感じがする。
「まぁ、それが妥当よね。宜しく、ブルース」
「宜しくお願いします、ブルースさん」
「は~い、それじゃあ、
姉さんも、満面の笑みでそう言って、僕たちの家にあった段ボール箱からパペット人形を吟味していた。
まるでおもちゃ箱を漁っているような様子に、新鮮味を覚える僕。
こんな姉さんの一面を見れたのも、僕がこの部活に入部したからだ。
新しいことをすれば、新しい発見が見つかる。
そんな当たり前のことでも、なんだか楽しい気分になってしまう自分がいた。
……ただ、どうしても僕は、突っ込まなくてはいけない場面だったので、彼女に告げた。
「姉さん……、いつの間に部室に家の荷物持ってきたの?」
「ん~?」
姉さんは笑顔でいるだけで、なにも答えなかった。
よし、
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