スウィート・シスター・ライフ! ~甘すぎる僕のお姉ちゃん~

ひなた華月

第一章 お姉ちゃんと僕

Prologue 甘すぎる僕のお姉ちゃんとの出会い

「初めまして、きみがりくくんだね?」


 玄関でそう呟いた女の人は、お辞儀した頭をゆっくりと戻して僕にそう言った。


 ぼくは何も答えることができなかったけれど、隣にいた父さんが、そんなぼくの態度を咎めることはなかった。


 そして、女の人は靴を脱いで、重たそうに持っていたキャリーバックと共に、僕の家へと足を踏み入れる。


 すると、ニコニコと満面の笑みを浮かべながら、ぼくに近づいてくる女の人。


 栗色くりいろの長い髪が揺れるたびに、キラキラと光が舞っているようだった。


 その間も、女の人は丸い瞳でぼくをじっと見つめていた。


 中学校の制服を着た彼女の姿は、まだ小学五年生だったぼくには、とても大人に見えた。



 にこっ、と微笑みかけてくる唇も。

 スカートから覗くすらりとした足も。



 とても美しくて、綺麗だった。



 自然と早くなる胸の鼓動が、ぼくの身体を振動させる。


りくくん……」


 もう一度、甘い声でぼくの名前を呼ぶ。


 そして、ぼくと同じ視線になるように屈んで、こう告げた。



「今日から、私のことはお姉ちゃんって呼んでね」



 そう言って、女の人はぼくの頭を優しく撫でる。


 とても優しくて、温かい女の人の手。


 ぼくは恥ずかしくて視線を逸らしてしまう。


 きっと、ぼくはこの日のことを、一生忘れることはないと思った。



〇 〇 〇


 これが、ぼくの新しいお姉ちゃん。

 紗愛さらお姉ちゃんとの初めての出会いだった。


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