神還師 ~魑魅魍魎が見える報道記者と、それを副業にするJK親子とゴスロリ女~

秀中道夫

作者まえがき 

私の知り合いに榊守さかきまもるという男がいた。


というフレーズで書き始めた小説「神還師【かみかえし】」は約10年考えて、掲載に5年の時間をかけて書き上げた内容だった。幾多の制作放棄や本業多忙極めて等の理由から更新に時間が掛かり続けては、だらだらと5年かけてストックを出し切ったり溜め込んだりしながら書き続けていた。はたから見ればかなり遅めの執筆であろう。それこそ「才能のない人間の所業」と思う者もいるかもしれない。そして今回、そんな5年前から描いた作品を再度比較的短期間でまた小説にアップロードしようと考えた。


だがこの5年という歳月の間に取り巻く環境は大きく変わっていた。


それはこの神還師かみかえしでも同様で、この作品の舞台は先に断っておくと2010年が舞台だ。そして今後、まだ書き上げていないこの作品の未来は、あの3・11の大震災を経験する事になる。少し事実を話しておくと、この物語に出てくる主要人物であり私の知り合いである榊守は、震災後に東北3県をキー局の取材団の一人として取材中、そこで見た何かはわからない強烈なインパクトを受けたことで、一度精神に支障をきたすまで沈んだ時があった。その状況は約1年程度で戻ったが、事件記者として報道部署に戻ることはなかった。その後も榊と神楽かぐらたち神還師の活動は一応続いていたが、それもいずれ話すことになる『ある事』が原因で分解することもあった。そこまで進むにはさらに長い時間が掛かるのでここまでとしよう。

まだ震災の恐怖に怯える前の2010年、まだ世界は少し落ち着いた東里市でこの物語は始まろうとしている。


※今作品は『小説家になろう』にて掲載された同小説のリビルド版です。一部の文章表現の修正他、一部のストーリー・構成を修正してお届けしています。

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