第54話 濃縮還元100%で政治がわかる案里氏の選挙

 『税金泥棒!』という罵声が全国から聞こえてきます。


 誰って、広島で話題のアノ夫婦です。本来ならば、K川前東京高検検事長の定年延長と賭け麻雀で国会で“引っ張りだこ”だった河井克行前法相と、人相がどんどん悪くなる奥様の河井案里参院議員ですよ。案里議員が当選した2019年の参院選で夫婦で公職選挙法の買収容疑が報じられています。もちろんお二人は容疑を否定していますが、地元の首長らが現金の受け取りを認めて辞職したり、逮捕された元秘書の供述の報道を見る限り、私の中の疑念は晴れません。

 で、冒頭の発言ですが「買収疑惑」が囁かれて以降、克行議員は大臣辞任。案里議員には所属する自民党本部から1億5千万円もの法外な選挙資金が流れていたことが発覚。それ以降、国会から長いこと雲隠れを決め込んでいた。党の指示か、本人たちの意思か分かりませんが、明らかな「職務放棄」状態でした。案里議員については「睡眠障害」との話もありました。思い出しますね、URへの口利き疑惑でTPP(環太平洋パートナーシップ協定)担当大臣の要職を放り投げて病院に“雲隠れ”の術を決めた甘利明議員の“言い訳”も「睡眠障害」でした。

 河井夫妻ですが、2019年暮れから国会の長期欠席が続いていましたが歳費や期末手当(ボーナス)は満額受け取っています(国会や党で決めた歳費削減分は除く)。もちろん、月々百万円の悪名高いアノ文書交通通信滞在費も。常識的に考えれば、「公職選挙法」違反容疑っていうのは国会議員の“資格”を問われているわけで、個人的には、報酬等についても容疑が晴れるまでは「全額差し押さえ」が適当、と思うんですよね。議員活動の職務も十分遂行しているとは思えませんし…。何でもかんでも「推定無罪」は通用しないと思っています。結果的に無罪なら、差し押さえた分は利息を付けて支給すればいいんですよ、無罪ならね。


 しかもこの疑惑、いろんな政治のドロドロが“濃縮還元100%ジュース”並みに凝縮されています。

 もとはと言えば、疑惑の発端は2019年の参院選挙。広島選挙区で2議席独占を狙った自民党が、岸田派の現職・溝手顕正氏とともに、菅官房長官が推し、安倍総理を支えたいわゆる「お友達」議員の河井克行氏の妻で新人の案里氏を擁立したことにあります。一方、現職の溝手氏は過去に安倍総理を『(議員として)終わった人』と発言したことがあり、総理が苦々しく思っていたとの指摘もされ対立の構図が浮かび上がりました。

 二点目は、前述した党からの選挙資金。溝手氏側には一般的な1,500万円。対する案里氏側には前例のない1億5,000万円が投入された事実も表面化します。

 三点目は選挙戦。案里氏サイドには、現職の閣僚が続々送り込まれた上、人気の小泉進次郎議員も複数回、応援に駆けつけました。「2議席独占」の美辞麗句の下で岸田対安倍・菅の代理戦争の様相を呈した広島選挙区は結局、野党が推す森本真治氏がトップで、河井案里氏が2位当選を果たし、現職の溝手氏は2万5千票余の差で落選となりました。


 総理の「お友達優遇」、「根深い私怨」のパワーで先勝した形の案里議員ですが、今回のスキャンダル発覚には敗れた溝手サイドの自民党広島県連や県、市の議員等、関係者からのリークがあったのか、なかったのか。

更に更に、「総理の守護神」と言われ検察庁のナンバー2だったK川氏の辞任が捜査にどう影響するのか…。新しい検事長は「総理の新守護神」なのか、それとも…。教科書よりも勉強になるドロドロと政界の人物相関図。そういう視線で俯瞰すると、推理小説よりミステリー色の濃い政治から目が離せそうもありませんね。

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