もうひとつの夜

 少しばかりざわついていた午後の学校だったが、目立った事件もなく放課後を迎えた。


 倫礼は机の中から荷物を取り出して、適当にバッグにつめ、椅子から勢いよく立ち上がる。


「よし、今日は……」


 帰り支度をしている他のクラスメイトの間を縫って、斜め前のマゼンダ色の髪を探そうとしたが、もうどこにもいなかった。


「あぁ、るなすくん、無事に帰ったんだ」


 昨日フラフラしながら帰宅している彼を思い浮かべて、一人で帰れたのならよかったと、倫礼はホッとして、少しだけ微笑んだ。バッグを肩に背負って、足早に教室のドアに向かう。


「私も家に帰って、落ち着いて考えてみよう。何とかして、月くんが普通の生活を送れるようにできることはしよう」


 解決の糸口はまだ見つからないが、諦めという文字は倫礼にはない。他の生徒が行き交う廊下を、ブラウンの髪を揺らしながら、さっそうと歩き出した。


 だが、行く手を阻むように、十字路の廊下の左右から女子生徒が数人立ちはだかった。上から目線、高飛車な少女の声が呼び止める。


「花水木さん、ちょっといいかしら?」

「はい?」


 話をしたこともない少女たちが両腕を組んで挑むように立っていた。


「漆橋くんと安芸くんをふたりとも膝に乗せたそうじゃない?」


 昼休みの知礼の心配事が現実となってしまった。倫礼のどこかずれている瞳は真剣そのものになり、黙ったまま彼女たちをじっと見つめた。


「…………」


 他の生徒たちはこそこそと話をしたり、そうっと横を通り過ぎるだけで、誰も関わりたくないと言っているようだった。真ん中に立っていた少女が、バカにしたように笑う。


「あなたって娼婦なの? それとも売女ばいたなの?」

「あはははっ!」


 増長するように、両脇に控えていた、信念のない少女たちの笑い声が上がった。倫礼の視線ははずされることなく、切るように少女たちをにらみつけた。


 唇は動かず、だんまり。倫礼は思う。確かに自分は他人優先だ。自己主張することなどほとんどない。しかし、譲れないものは譲れないのだ。


 怒っては相手の思うツボ。彼女はパッととびきりの笑顔に変わって、人差し指を顔の横で立てた。


「……あぁっ! そんな食べ方がありましたか! 豆腐にバターというめぐり合わせ。斬新で魅惑的な味覚」


 娼婦を豆腐。

 売女をバター。


 心を込めて、倫礼は頭を勢いよくぺこりと下げた。ブラウンの長い髪がザバッと縦の線を描く。


「教えていただいてありがとうございます!」


 人は同じレベルでしか出会えない。人を傷つけない笑いの取り方を知らない少女たち。


 彼女たちは毒気を抜かれたような顔になり、ついで軽蔑の眼差しを送った。


「何それ?」

「私たちの話が通じないなんて、頭おかしいんじゃない」

「行きましょう」


 上履きの横の列が視界から消え去り、安物のシャンプーやらリップやらの不快な匂いが遠ざかり、顔を上げた倫礼はバッグを肩にかけ直す。


「…………」


 どうでもいいのである、今の倫礼にとってはあんな人間など。とにかく月を救う手立てを探すだ。


 廊下を歩き出そうとすると、背後から春風のような穏やかで柔さかな青年の声がかかった。


「ふふっ。キミは頭がいいんだね」


 自分のすぐ横に並んだ背の高い人の顔を見上げた。凛々しい眉に、聡明な瑠璃紺色の瞳。漆黒の長い髪。


「あぁ、孔明くん。どう言うこと?」

「わざと聞き間違えたふりをして、追い払った」


 今のように笑いに持っていかなかったら、少女たちに顔面パンチを次々に食らわしていただろう。決して倫礼は大人しい人間ではない。どちらかというとバイオレンス仕様だ。


 喉がはりつくように熱くなり、視界がにじむ。彼女の独り言みたいな必死の訴えが、孔明にしか聞こえない距離で降り注ぐ。


「自分勝手という嫉妬心はいらない。一番大変な人は誰? 普通の生活が普通に送れない。それはどれほど大変なことなんだろう? 私が守りたいのは自分じゃなくて……自分じゃなくて……っ!」


 ひとつしゃくり上げて、すぐに堪えた。自分が泣いても何の解決にもならない。いや一番泣きたいのは月だろう。


 興味本位で月に近づいているのなら、罠でも仕掛けて遠ざけようと、孔明は思っていたが、倫礼に触れることもなく、ただ優しく声をかけた。


「だから、彼はキミを選んだのかも――」


 倫礼は泣くことも忘れて、不思議そうに顔を突き出した。


「……どういうこと?」


 孔明から容赦ない言葉がやってくる。


「恋愛鈍感かも〜?」

「え……?」


 ぽかんとした倫礼を置いて廊下を通り過ぎる生徒たちがふたりを見ていたが、彼女が理解することもなく、湿った風が窓から入り込み何度も吹き抜けていきそうになった。冷静な孔明が合理的に提案する。


「今日、彼の部屋に行ってみようか。何か原因がわかるかも」

「あぁ、その手があったか!」


 倫礼は学校中に響き渡る大声を上げた。一人違う制服を着ている孔明とともに歩き出した、女子生徒を廊下の影からこっそり見ている、どこかとぼけている黄色の瞳があった。


「先輩にモテ期到来です! 眠り王子と神主王子の両方をゲットしそうな勢いです! 事件です! このまま結末までうかがわせていただきましょう!」


 今日も倫礼と帰る約束をしていたのに、すっぽかされてしまった知礼はふたりのあとをそうっと追いかけ始めた。


    *


 校庭を歩き出してから、倫礼は重大なことに気づいて、彼女の影が地面の上でぴょんと飛び上がった。


「あっ! そういえば、家知らない」


 順番がめちゃくちゃ、理論がない女子生徒の隣で、孔明が首を可愛くかしげて、漆黒の長い髪がさらさらと肩から落ちた。


「ボクがわかるかも〜?」

「いつ教わったの? 昼休みずっと寝てたのに……」


 今日転校してきたのだ。ふたりが話した内容はすぐそばで聞いていた。倫礼は疑問に思った。孔明の脳裏にすうっと丸い光が浮かび上がる。それは遠く離れた場所で輝いている。


「彼の魂の居場所ならわかるよ」

「魂の居場所?」


 転校生の不思議な一面。部活動をしている生徒たちの掛け声がやけに遠くに思えた。孔明は答えず、夏の湿った空気に、春の穏やかでさわやかな風を微笑むことで引き入れる。


「少しでも早く助けよう?」

「そうだ」


 隣を歩き出した倫礼。孔明の瑠璃紺色の瞳は何かに挑むように真剣そのものだった。


(彼がこれ以上罪を重ねないうちに……)


 校則という規律で守られている平和な高校生活。校門を出たと同時に無法地帯という家庭環境の荒波に、倫礼と孔明は飲まれてゆくのだった。


    *


 漆橋という表札が出ている門の、インターホンをさっきから何度も押していたが、玄関のドアが開くことはなかった。住宅地の一軒家で、他の家とそれほど見た目も変わらず普通の建物。


 夕飯の匂いがあちこちの家から漂ってくる。真正面の家は部屋の明かりはついているが、人の気配がしない。倫礼は背後にある道路に視線をやって、通り過ぎてゆく自転車を見送る。


「いないのかな?」

「ううん、いる」


 孔明が門の取っ手に手をかけ、向こう側へ押した。するとすうっと中へ入ってゆく。


「開いてる」


 倫礼はびっくりした。自分も孔明も、月と話をするようになったのは昨日今日。家を訪ねるのでさえ、気が引けるというのに。


「えっ!? 孔明くん、勝手に……」


 ワイシャツから出た腕を思わず捕まえようとしたが、それを素早くぐり抜けて、孔明のスニーカーは月の家の玄関へと続く石畳の上を歩き出した。


「家に人はいても、ボクたちに対応するのは月しかいない。おそらくね」

「え……?」


 何だかおかしな話で、倫礼が固まっている隙に、孔明は玄関のドアまでも遠慮なしに開けて、彼女に手招きした。


「お邪魔します」


 ひとまず断ってから、スリッパもはかずに家に上がる。離れたところで食器がぶつかる音がする。聞こえているはずなのに、誰も出てこない。


「……人の気配はするのに、どうして出てこないんだろう?」


 倫礼は首を傾げながら、孔明のあとに続く。彼は迷わず、玄関を入ってすぐのところにあった階段を登り出した。


 二階の廊下にたどり着く前に、孔明は後ろからついてきた倫礼に振り返って、立てた人差し指を唇の前に当てた。


「しー」

「どうして?」


 倫礼は階段の途中で聞き返したが、


「寝てるから」


 孔明の言葉はおかしい限りだった。友達の家に来たのに、本人を起こさない。それなのに忍び込んでいる。


 しかし、あのいつも突っ伏しているマゼンダ色の髪が動かない印象の強さに意識を奪われて、倫礼は簡単に納得した。


「あぁ、そうか」

「そこで待ってて」

「うん……」


 倫礼を残して、孔明は靴下でそうっと廊下を奥へ歩いてゆく。


 よく見ると、二階にはドアがふたつあった。月はどっちかの部屋にいるのだろう。居場所を知っているはずの孔明は、ドアノブに手をかけて引こうとしたが、


「……開かない」


 彼の脳裏の中で、今日聞いた月の話がパズルピースのように完成図を作り始めた。孔明は引き返してきて、手前のドアを指差す。


「こっちの部屋みたい」

「あぁ、うん」


 トントンと軽くノックをして、穏やかで柔らかな声が問いかけたが、


「月、入るよ〜」


 返事は返ってこなかった。


「…………」


 それでも迷うことなく、孔明はドアを中へ押し入れた。そうして、ふたりの前に異様な部屋の風景が広がる。


「え……? 本がいっぱいだ」


 部屋の壁は全て本棚で、天井まで埋め尽くされた本の群れ。


「生物学……?」


 倫礼は近くに寄って、タイトルを見つめるが、知らない専門書の背表紙が立ち並ぶ。その合間に埋もれるようなベッドの上で、マゼンダ色の長い髪はもそもそと起き上がった。


「おや〜? ふたりとも不法侵入ですか〜?」

「あれ〜? 勉強会を一緒にするって約束したの忘れちゃったの?」


 孔明の話はさっきと違っていて、倫礼は視線をあちこちさ迷わせた。


(いつ約束したんだろう? 昼休みは眠ってて、そのあと話してるの見てないけど……)


 ヴァイオレットの瞳と瑠璃紺色の瞳はベッドと床の間で真摯に交わる。何も言わず、動かず。


「…………」

「…………」


 だが、それはほんの一、二秒のことで、月はニコニコの笑みになった。


「どのような冗談ですか〜?」

「あれ〜? ボク本気だったんだけどなぁ〜」


 押し問答が続きそうだったが、月はベッドから制服を着たままの足を床へ落とした。


「構いませんよ〜」

「倫ちゃんも」


 孔明に手招きされて、倫礼は今のやり取りに疑問を持っていたが、従ったほうがいいのだと、心のどこかでそう思った。


「あぁ……そうだね」


 しめ切っていたカーテンを月が開けている間に、孔明はバッグの中から、教科書とルーズリーフをローテーブルの上に乗せながら、


「じゃあ、数学。このページの一問目から五問目まで解こう」

「数学、数学……」


 倫礼は慌てて同じものを取り出す。月はバッグの中に手を入れて、指先の感触だけで、それぞれ一番左側にあるノートと教科書をテーブルに置いた。


 三人でなぜか勉強会が始まり、倫礼は問題文を読んで、どの数式を使うか吟味して解き始めた。


 一問目の途中で、月の凜とした儚げな声が眠そうに響く。


「終わりましたから僕は寝ます〜」


 シャープペンをテーブルの上に置いて、転がるようにベッドに入り込むマゼンダ色の長い髪を横目で見ながら、倫礼は驚いた顔をした。


「えぇっ!? もう終わったの? 早いなぁ」

「月、ノート見せて〜?」


 孔明が声をかけたが、もうすでに眠り王子は寝息しか返してこなかった。


「……ZZZ」


 月に気を取られている倫礼の前で、友達のノートを写すという行動を装って、孔明は月の女性的で柔らかい線でノートに書かれた数字を目で追う。


(数式はなし。答えはあってる)


 倫礼の座席の場所を前年から全て答えてくる。三年前の日付が簡単に出てくる。それは、孔明の頭の中ではこう消化された。


(一度見聞きしたものは、全て覚えてる可能性が高い)


 さすがの倫礼も違和感を覚えて、シャープペンを握ったままの手で頬杖をつく。


(どうして、寝てばかりいるのに勉強できるんだろう?)


 眠り王子はいつも教師を撃退する。学園の七不思議といってもいいほどだ。それも、孔明の頭の中では答えがもう出ていた。


(授業中眠っていても、当てられたところが答えられるのは、教科書の先の部分を覚えてる。そして、授業の進むスピードがどのくらいの速さか計算してる。だから、時計さえ見れば、当てられた時どこだかわかるから答えられる)


 記憶力が尋常ではなく、自身の中に入ってきた情報をデジタルに切り分け、組み替える能力に長けている。それが眠り王子の魔法のひとつだった。


 本ばかりに囲まれた部屋で、一日の大半を眠り続ける月。


(彼は頭がとてもいい人間だ)


 孔明の脳裏でまたひとつパズルのピースがはまり、彼は急に陽気に鼻歌をうたい出した。


「んん〜♪」


 月のノートを写す振りをして、透明な袋から紙を一枚取り出し、


「あっ! ルーズリーフがクローゼットの中に入っちゃった」


 問題を解いていた倫礼はシャープペンを走らせるのを止めた。


「え……?」


 顔を上げると、孔明がクローゼットの近くにしゃがんで、漆黒の髪を床に落としながら、中をのぞき込んでいた。


「よいしょ! あれ〜? 奥に入っちゃったのかな?」


 手伝うものでもなく、倫礼は孔明の大きな背中の後ろで、落ち着きなく体を横に揺らす。


「開けるしかないね」

「月、クローゼット開けるよ」


 眠り王子はもうすでに熟睡しており、返事は返ってこなかった。孔明はスッと立ち上がって、両開きの扉を引き開けると、異様な光景が広がった。


(そう……)


 落ちてもいないルーズリーフを拾った振りをして、脇に隠し持っていたものを手に持ち替え、ローテーブルに戻ってきた。


 約束通り五問解いて、倫礼と孔明は勉強道具をバッグにしまい、微動打にしないマゼンダ色の長い髪に声をかけ、


「月、帰るよ〜」

「また明日ね」


 静かにドアを閉めて、階段を降りてゆく。家の中は炒め物の香ばしい匂いが広がっていた。それでも、お茶も出てこない。誰も顔を出すこともない。


 倫礼と孔明は靴を履いて、あとは玄関のドアを出ていくだけ。人の気配がするのに、人がいないみたいな奇妙な家から。


 孔明は髪の毛をくるくると手に巻きつけて、今度は靴箱の前にかがみこんでいた。


「ん〜?」

「何してるの?」


 奇怪な行動で、倫礼は問いかけたが、好青年の声はこう言ってきた。


「携帯電話落としたから……」


 カタンと落下した派手な音がするはずで、倫礼は自分がそれを聞き逃すなどおかしいと思い、首をかしげた。


「ん? そんな音した?」


 彼女を背にして、瑠璃紺色の瞳は下駄箱の下に広がっていた異様な光景を、冷静にただ脳裏に記憶した。


(そう……)


 玄関のドアを閉めて石畳を戻って、門もきちんと元にした。平和な夕暮れの街並みが広がる、住宅街の細道。


 だが、倫礼にとっては、月の家は異界にでも入り込んだような、空間だった。あえていうなら、パラレルワールド。それが一番ぴったりくる。ある時点で世界が分岐して、並行して存在する別世界。何かが狂っている。


(何だか不思議な時間だったなぁ)


 あと髪引かれながら歩き出すと、前にいた孔明がふと振り返った。


「おかしいね」


 倫礼はぶつかりそうになりながら、慌てて立ち止まる。


「ん?」

「彼は一体いつ本を読むんだろう?」


 今頃それがおかしいと気づいた。部屋の異様な雰囲気の原因はこれだったのかもしれない。


「あぁ、そうだ。夜はしっかり寝てて、昼間もほとんど寝てるのに、本当にいつ読むんだろう?」


 陽はだいぶ西に傾いて、ふたりの影は長くなり、しばらく動かず、それっきり言葉は途切れた。チリンチリンと自転車のベルの音が脇を何度か通り抜けてゆく。


 大きな矛盾点。あの本だらけの部屋で何が起きているのか。


 月が眠っているだろう部屋の窓を見上げ、倫礼はしばらく考えていたが、答えは出てこなかった。家に帰って、紙に書いて、落ち着いて思案しないと、彼女には難しい。


「じゃあ、あし――」

「倫ちゃん、待って」


 孔明に呼び止められて、倫礼の靴は彼を追い越す途中で立ち止まった。


「どうしたの?」


 聡明な瑠璃紺色の瞳はかがみこんで、春風みたいな柔らかな声が言う。


「黒、もしくはそれに近い色の私服に着替えて、七時にここにもう一度来れるかな?」

「来れるけど、どうしたの?」

「月の夢の解析だよ」

「わかった」


 倫礼はしっかりうなずいたが、孔明から即行ツッコミがやって来た。


「倫ちゃん、その返事は失敗しちゃうかも?」


 孔明は思う。この目の前の女子高生がもし、自分の妻だったとしたら、夫として今の言葉は見逃せないと。


「え……?」


 倫礼は思う。この目の前の男子高生がもし、自分の夫だったとしたら、妻として今の言葉の意味は理解しかねると。


 倫礼を残して去ってゆく、孔明は手を顔の横で振って。


「それじゃ、またね」

「うん。どういうこと? 返事が失敗してる?」


 帰る道が反対方向の彼女は、孔明の漆黒の長い髪が夕闇に混じってゆくのを、真昼の灼熱が冷めてゆくアスファルトの上に立ち尽くして、しばらく黙ったまま見送っていた。


   *


 ふたりの姿はいつしか路上から消え去り、車のライトが往来を繰り返し、子供たちの影はなくなり、仕事帰りの大人たちが街灯の白い明かりの下に浮かび上がり始めた。


 そうして、黒のワンピースミニに着替えた倫礼が戻ってきた。電柱の陰から、月の家の明かりをぼうっと眺めていたが、


「倫ちゃん?」


 夜道から黒い着物みたいな服が現れた。スポットライトのような街灯の下に来ると、凛々しい眉と聡明な瑠璃紺色の瞳が浮かび上がった。


「あぁ、孔明くん」


 約束は守られた。だが、重要なことはこの先であった。孔明の黒のモード系ファッションはかがみこんで、


「よく聞いて」

「うん」

「これから、人を尾行するから、見つからないように気をつけて」


 穏やかではない話。うなずいたのはいいものの、倫礼は意味がわからず、視線をさまよわせた。


「尾行する? 誰を?」


 月の夢の解析をするはずなのに、誰かを追う。結びつかずに聞き返したが、孔明は春風みたいに軽やかで好青年の笑みを見せた。


「それは秘密。いい?」

「わかった」


 そうして、夕方と同じツッコミが、孔明から倫礼にやって来るのである。


「倫ちゃん、また失敗してるかも?」

「え……?」


 まぶたを激しくパチパチしている倫礼の斜め後ろで、月の家のドアが開き、門から人が道路へ出てきた。


「来た」


 だいぶ陽も暮れた夕闇。それでも、あの鮮やかなマゼンダ色の髪ならば、綺麗な色を放つだろう。


 しかし、家から出て来た人物は闇に紛れそうだった。月について調べるはずなのに、別の人。


(誰だろう? 女の人? 月くんのお母さんかな?)


 姿は見ていないが、夕食を用意する音は聞こえていた。月の母親を尾行する。首を傾げている倫礼に、孔明は一言声をかけて、黒のモード系ファッションを夜風にひるがえす。


「行こう」

「うん!」


 少し遅れ気味に倫礼のスニーカーは歩き出した。


 急がず遅れず、神経を使う尾行。だが、ターゲットは振り返ることもなく、細い道から出て、大通りの明るい街灯と車のライトの川の流れに照らし出された。


 ローヒールのパンプスにタイトスカート。袖が短めのシャツ。どこにでもいそうな女性だった。


 しばらく行くと、駅から帰宅する人の流れと逆走して、構内へ入ってゆく。


(電車に乗る……)


 倫礼は人ごみに埋もれそうになりながら、孔明とともに見失わないようにあとをつける。改札を数人分遅れて、乗車カードをかざしてホームを目指す。


 ちょうど来た電車に乗り込んだのを確認して、ふたりはふたつ離れたドアから乗り込んだ。


 ラッシュと反対方面の電車で人があまり乗っておらず、孔明が背を向けて、倫礼が時々横からうかがうが続く。


 ドア近くの手すりにつかまって、携帯電話を取り出し、何かを見ている女。こっちには気づいていないようで、一度も見ることなく、減速して駅に停車した電車のドアから、白地に青のストライプのシャツを着た女が離れてゆく。


(降りた)


 閉まりかけたドアから、倫礼と孔明は素早く降りて、駅のホームを相手を見失わないように歩いてゆく。改札を出て、右へと歩いて行くのを追いかける。


 高速道路がねじれたように頭上を走る地上の道。騒音がひどく、ザワザワと音の波が押し寄せては、遠くで車のクラクションが大きく飛び跳ねる。


 まっすぐ歩いて行くかのように思えた相手は道からはずれ、コンビニの自動ドアに吸い込まれていった。


(中に入った)


 店内は明るい上に狭く、尾行には向かない。倫礼と孔明は建物の近くへ寄って、ターゲッティングしている相手が出てくるのをただただ待つ。五分もしないうちに、ビニール袋を下げて、自動ドアから出てきた。


(お弁当と飲み物かな?)


 茶色と白の二種類の袋。まるでこれから出勤するみたいな行動だった。倫礼と孔明は再び歩き出す。


 ふたりのスニーカーは人がまばらになった夜道を進んでいたが、大きな建物の門の前でふと立ち止まった。


(モーント生理学研究所?)


 正面玄関はもうすでに施錠されていて、相手は裏口へと回り込もうとしている。


 どこかの会社の敷地内。倫礼が戸惑っていると、孔明は平然と入っていった。約束をしている以上、離れるわけにもいかず、倫礼は慌ててあとを追う。


 相手が角を曲がり、見失いそうになったが、建物の壁に身を潜めて、首だけを出す。扉の前に女は立ち止まった。暗証番号を入力するわけでもなく、ただ目のあたりに光る線が走った気がした。


虹彩こうさい認証……」

「何それ?」


 倫礼が聞いている間にも、施錠されていた自動ドアは開き、女が中へ消えていった。


「簡単に言うと、目で個人を識別する方法だよ」

「まだ追いかけるの?」

「そう」

「でも入れないよね?」


 倫礼がのぞき込むのも気にせず、孔明は二本指を立てて、口の前に持ってきた。


急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう!」


 ふっと息を吹きかけると、まるで時が止まったように、まわりの音が消え去った。水の中に潜っているような濁った空間に、カチャンとロックが外れた音が世界の隅々にまで響くように聞こえた。


 自動ドアが普通に開いて、高校生ふたりの黒服は中に潜入成功。科学技術も真っ青な展開。


「孔明くん、何者?」

「魔導師……かも?」


 非現実的な名前が出てきて、倫礼は前を歩いていく漆黒の髪をまじまじと見つめた。


「何で疑問形なの?」

「はっきり聞いてないから。ただ、小さい頃から幽霊が見えて、神さまと話ができて、今みたいな魔法のようなものが使えた」


 研究所内に人がいないのか、異様に静かな廊下を歩いてゆく。


「だけど活かせる機会がなくて、毎日神社の掃除だけに使ってた」


 廊下を左へ曲がり、研究室の並ぶ通路に、孔明の好青年で春風みたいな柔らかな声がやけにはっきりと響く。


「でもね。あるニュースを見て、ボクの能力を使うことはこれだって思ったんだ」


 漆黒の長い髪を持つ青年の日常は、幽霊と魔法でできている。それが当たり前。普通というものは、十人いたら十個あるのだ。倫礼は素直にすぐに納得した。


「そうなんだ」


 自分たちの靴音だけが高く遠く響いていたが、やがてひとつのドアの前で立ち止まった。倫礼は表札の文字を読む。


藍花あいば 蓮香れんか?」


 印象的な名前。ロックのかかったドアを魔法で孔明が開けようとすると、倫礼が普通の声の大きさで話そうとしたが、


「どっかで聞いたことがあるなぁ〜。あ――」


 孔明の大きな手で口をふさがれ、


「しーっ!」


 倫礼は首を激しく縦に振るというジェスチャーで、了承したことを伝えると、


「ふんふん!」


 記憶の引き出しから、蓮香がテレビのニュースに出ていた人物だと探し当てた。


(難病を治したとかいう人だ。でも、何で、ここに孔明くんが用事があるんだろう?)


 部屋の中の明かりは全開。きちんと整理された机の上には、試験管やビーカー。ガラス棒などが置いてある。両脇は本ばかりで、全て専門書。奥へ進んでゆくと、PCのモニター画面の裏側が見えた。


 その向こうに、長い黒髪をバレッタで後ろでひとつにまとめている女が座っていた。ブルーライトが映るレンズの細い縁のメガネ。


 こっちに気づいて、顔をふと上げ、


「誰?」


 はっきりとした女性の声は少し驚いていた。忍び込んだのだ、相手からすれば当然の言動だった。


 しかし、孔明の背中からのぞき見た倫礼もびっくりした。仕事を中断した女がメガネをはずした顔に。


 つきのように美しく、ニコニコはしていないが、あの眠り王子がいるのかと思ったほどだった。


(やっぱりるなすくんのお母さん? そっくりだ。でも待って、名前違ったよね? どういうこと?)


 混乱している倫礼を置いて、孔明の氷河期のような冷たい声が響く。


「ボクのことは知ってるはずだけど……」


 ふたりの間で矛盾が起きている。倫礼は孔明の凛々しい眉を横からのぞき見た。


「え……?」


 一触即発。毅然きぜんとした態度で、蓮香は言う。


「警備員呼ぶわよ」

「いいよ」


 聡明な瑠璃紺色の瞳はまっすぐ見つめたまま、強がりでもなくはったりでもなかった。


 蓮香は短縮ダイヤルを押して、コール音を聞き続けるが、どこまでも呼び出しているだけ。


「……出ない。おかしいわね」

「今この世界で動けるのは、ボクたち三人だけ」


 倫礼はこの建物へ入ってくる時を思い出した。他の音が消えて、中に入っても誰一人として会わない。たとえ、勤務時間が過ぎていたとしても、誰も残っていないのは不自然だった。


 見ず知らずの青年が自分を訪ねてくる。尋常ではない。蓮香は化学とは真逆と言っていいほどの言葉を口にした。


「時間を止めたの?」

「そう」


 持っていた受話器を元へ戻し、蓮香はあきれた顔をした。


「甘く見てたみたいだわね」


 そうして、話は本題へと移り、この殺人事件のトリックみたいな真相へと迫った。


「キミのニュースをテレビで見た」


 この目の前に、堂々と座っている女は、数日前の夕方のニュースでフラッシュを浴びていたその人本人だった。孔明の話はスピリチュアルの領域へ入ってゆく。


「患者が家族の元へ帰ったけど、その肉体には魂が入ってなかった」

「魂がなかった?」


 多少信じている人間なら、おかしい話である。横に並んだ倫礼に、孔明は瑠璃紺色の瞳を向ける。


「魂の有無が肉体の生死には直接関係しない。時々ある、魂の入っていない肉体はね」

「中身は空っぽ……」


 動く肉塊。本人は考えて自分で言動を決めているつもりなのに、天の操り人形。そんな不可思議な現象が世の中にはある。


「それと違うことも起きる」

「違うこと?」


 倫礼の問いかけには答えず、孔明は二十三歳の女に視線を戻した。


「キミの家のクローゼットの中に、女物の服が入ってた」


 どこかで聞いたことがあるような話が出てきて、倫礼のブラウンの長い髪は右へ左へ傾く。


「クローゼット? あれ? ルーズリーフが入って……」

「キミの家の下駄箱の下に、サイズが大きめの女物のパンプスが置いてあった」

「下駄箱の下? あれ? 携帯落としたって……」


 夕方の異世界みたいな空間。暑いはずなのに、寒気がする家のじっとりとのしかかるような空気。倫礼にもやっと理解ができて、人差し指を顔の横に突き立てた。


「もしかして……!」

「藍花 蓮香が漆橋 月なんだ――」

「似てたんじゃなくて、本人だった!」


 紺のタイトスカート。青いストライプの袖が短めのシャツ。ベージュピンクのパンプス。バレッタでまとめた黒髪。この女が、いつも教室で見てきた、マゼンダ色の髪を持つ男子高校生。


「この肉体にはふたつの魂が入ってる――」


 人が変わったようになる。それは主導権を握っている魂が違っているのだ。ある意味そのままなのだ。


「どうしてこんなことになったかは、月が見てる夢が関係してる。そうでしょ?」

「そうよ」


 蓮香はうなずくと、かつらを取り、鮮やかなピンク――マゼンダ色の長い髪が姿を現した。月本人だが、表情がまったく違う。やはり別の人格だ。


「夢が関係してる?」


 倫礼が孔明についてきた当初の目的。蓮香は両肘を机について、遠い目をする。


「あれは、月が五歳の頃の記憶なの」

「開かない部屋があったのはそのせい?」


 夕方の月の家。二階へ上がった時の、孔明の変な行動の真意は悲劇だった。


「そうよ。弟が使うはずの部屋だったの。ある夏の暑い日、公園でひとつ年下の弟と月はボール遊びをしていた。ボールは道路へと転がり、それを追いかけていった弟が車でひかれた。自分の腕の中で冷たくなってゆく弟を、彼はただ見ているしかできなかった……」


 今は女言葉を話して、どこまでも平静な蓮香を前にして、倫礼は昼休みに膝枕をした時の、月の凜とした儚げな声がふと蘇った。


 ――君は暖かい。


 話はしなかったが、冷たくなってゆく感覚も、夢として繰り返し見る過去の記憶の中にあったのかもしれない。想像していたよりも、複雑で怪奇だった。


「月はその時に、精神分裂を起こして、二重人格となって私が生まれたってわけ」


 蓮香は回転椅子から立ち上がって、そばにあった応接セットのソファーに座りなおした。


「彼が十四歳の四月から、ここの研究所で夜に働くことになったの」


 倫礼の中で、月の声が鮮やかに蘇る。


 ――三年前の四月三日からです。


 背もたれに大きく肘を乗せて、額に手を当てて、蓮香はため息交じりに言葉を紡ぐ。


「自身と同じように家族を亡くして悲しむ人が出ないように、それが月の望みだった」


 全ての線がつながって、倫礼は専門書の群れを信じられない目で見つめた。


「生物学の本……。それって、まさか!」

「遺伝子操作で、死期の迫っている人間のレプリカを誕生させて成長させ、家族の元に送り返すようになったの」


 不治の病の克服など嘘だったのだ。明るいニュースの裏側に気づいて、倫礼は思わず両手で口をふさいだ。


「じゃあ、本物はみんな死んで……」


 うなずかないことが、肯定の意味だった。マゼンダ色の長い髪は気だるくかき上げられて、テーブルの上に放り投げてあったタバコの箱を取り上げた。


「善意でしたことよ」


 だが、孔明はすぐにそれを蓮香の手から奪った。


「違う」

「どうして?」


 イライラを解消するものが持って行かれて、蓮香は鋭い視線を、聡明な瑠璃紺色の瞳に投げつけた。


「肉体という物質は作れたとしても、完全なる人間は人には作れない。神の領域だ」

「作れたわよ。家族だって喜んで――」


 珍しく厳しい口調で、孔明はさえぎった。


「魂が入ってない」

「…………」


 空っぽの宝箱を渡したのと一緒だ。言葉をなくした蓮香に構わず、どこまでも冷たい孔明の声が容赦なく降り注ぐ。


「魂は心。それは人には作れない。その人たちが死んだあと、誰もそこにはいなかったになるんだ。それは本当の幸せなのかな?」

「…………」


 人生は死んだら終わりではない。その先も続いてゆく。蓮香は空っぽの試験管をただ見つめていた。研究者の起こした罪の重さは計り知れず、倫礼はポツリつぶやく。


「偽物の幸せ……」


 神主見習い魔導師は、霊界のルールを語り出した。


「地上へ勝手に降りることは、どんな理由があっても許されていない。ひとつの肉体にふたつの魂はいらない。もともとこの肉体は月のものだ。君が去るべきだ。これ以上残っていても、君は罪を重ねるだけだ」


 さっきまで落ち着いていた蓮香のヴァイオレットの瞳が陰る。


「戻ったらどうなるの?」


 この女は少女ではない。二十三歳の大人だ。現実を受け入れるべきだ。


「自動的に地獄に行く」

「罪を重ねた他の人たちと一緒に……」


 漆黒の長い髪は否定して、横へ大きく揺れる。


「違う。十五年前に、地獄の制度は大きく変わって、一人一畳の大きさの部屋に入れられて、罪を償うまで決して出ることはできない。人の力では開かないシステムになってる」


 甘い話はない。自分が犯した罪に他の人は関係ない。弱い自分と一人で戦うしかない。誰も助けてくれない。自身で落ちたのだから、己ではい上がるしかない。


「一人きり……」


 蓮香の視界はぼやけ始めた。それでも、魔導師の話は止むことはなく、容赦なく事実を突きつける。


「声も念――想いさえも外に通さない特殊な作りなんだ。だから、誰も助けに来ない」

「…………」


 助けて欲しいという願いさえ、神でさえも聞き取れない。孔明の脳裏に前面から数字が迫ってきて読み取る。


「キミが地獄から出てくるには、今のところ千五十年はかかる」


 生きた人生よりもはるかな時の長さ。


「そんなの一人きりで……。罪は償えるのかしら?」


 善悪がきちんと判断できない人間らしく、蓮香は弱気なことを言った。


 少し考えれば、罪の重さはわかる。


 まずは月の人生の邪魔をしている。


 レプリカを本物だと思っている家族とその親類が落胆する気持ち。テレビのニュースを見て、同じ病気を患っている患者や家族のぬか喜び。膨大な数の人間の心を裏切っているのだ。


 迷い続けている蓮香。彼女を見ている孔明の心の目には、無情にも彼女が地獄に入っている年数が加算されてゆくのが映っていた。


 黒のワンピースミニを着ていた倫礼は、蓮香に一歩近寄って、真剣な顔を向ける。


「償おうと思わなければ、できないんだと思います。何年かかっても」


 人と違って、神は見ている年数の単位が違う。億年もしくは、さらに先を見ている。罪が重なろうが、見捨てずに、人が改心して地獄から出てくるのを何億年以上も気長に待っている。何度同じ過ちを繰り返しても、できるようになるまで待っている。


 戻ってきた時には、文句も何も言わず、笑顔で出迎えるのだ。


「……そうね。するしかないわね」


 マゼンダ色の長い髪をかき上げて、蓮香は力なくうなずいた。孔明の脳裏の数字が激変する。


「たったそれだけで未来は変わる。キミが地獄から出てくるには、今五百八十年まで短くなった」

「こんな簡単なことで?」


 蓮香は組んでいた足を思わずといた。


「小さなことが大きなことにつながるんだよ」

「でも、どうやって、戻ればいいのかしら?」


 肉体に入ったまま。降りてこれても、出てはいけない。そこが不便なところだ。


 そうして、神主見習い魔導師の本領発揮である。孔明は呼吸を整えて、胸の前でパンと手を合わせ鳴らした。


 床に青白い魔法陣が光る紋章のように浮かび上がった。ごうごうと業火のような雷光が生きているように丸い尾を引く。


「ボクが神さまとの橋渡し役になるよ。その円の中に立って」


 言われるまま蓮香が入ると、マゼンダ色の髪の縁を青白い光が煙のように立ち上ってゆく。孔明は組んだ手を口元へ当て、低い声で祝詞を唱え始める。


高天原たかあまはらおわ八百万やおよろずの神……」


 魔導師の長い呪文が続いてゆく。魔法陣の青白い光は、二匹の龍が空へ昇ってゆくように、螺旋を描きながら蓮香の体を包み込んだ。そうして、孔明は神の名を口にする。


「……六審神ろくばんしんさま、この御霊みたまを天へ戻したまえ!」


 曇り空から一筋の光が差し込むように、あたりが金色の光に包まれ、鎧兜を着た六柱の神が降臨した。


 光の渦の中で、蓮香の姿は見えなかったが、ほんの少しだけ破いた布のように光が消えて、さっきまでの不安ではなく、穏やかな笑みの蓮香の唇が微かに動いた。


「ありがとう……」


 それを最後に、彼女も神も青白い光も消え去った――――

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