ワールドワイド
陰茎が穴を求めていた
おれにはその気持ちが痛いほどわかった
おれは陰茎ではないが
陰茎に感情移入することは可能だった
下着の中でねじ曲がったまま既に膨張を始めていた
「早くここから出してくれよっ」
おれは困った
自由を求めて旅立とうとする者を止めることは野暮だと思えたからだ
空を見上げた
雲の切れ目から光が射し込みその隙間へ挿入しろと急かすのだ
「なるべく早急に頼むぜっ」
いよいよおれの頭がおかしくなったのかもしれない
ふう
溜息の後の真実との対面
雲の隙間に挿入するためにはまず上半身と下半身をそこまで持って行かなくてはならない
幸い眼下にもぐらさんの住みかがあったのでそこに突っ込ませて頂くことにした
陰茎に駄目出しされた
「………ここではいけないと言うの?」
弱々しく尋ねた
陰茎は凄まじい剣幕でおれを怒鳴り始めた
「駄目に決まってるでしょ! ここはもぐらさんの住処でしょ!」
おれはしょんぼりした
分別の付いているのはおれの陰茎の方だったのだ
周りの迷惑も顧みずに自らの欲棒を優先させることなどあってはならないのだった
まさか股間から生えている陰茎に叱られる日が来るだなんて思ってもみなかった
母さん………
世界は広いです
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