森の混沌


ふかふかのシャケが

産卵のために地元へと帰って来た

おれたちの地元へと

「よいこらせっと」

満員のJRの車内でため息をつく

イクラを腹一杯に詰めていた

そしておれはクマ

何が言いたいのかと言うと実は何も言いたくはないんだな

主張なんて無い

ただなんて言うか遺伝子が求めているわけだよ

シャケを

ふかふかのシャケを

少し興奮して来た

シャケの旨味それを頭の中で想像すると錯乱の一歩手前にまで陥ってしまう

仕方ないよな

何しろシャケは旨すぎる

「以上だろ、あの旨さは」

辺りに人間がいないことを確認すると口にした

人間以外はあまりそういったことを気にしないので良かった

おれは別に残酷なことがしたいわけではない

だがシャケは麻薬抗いがたい吸引力がそこにある

今日はドラクエの最新作でもやるか

冬は巣穴の中に篭りっぱなし

暇潰しのゲーム

だがコントローラーがクマの手には非常に持ちにくいのだ

クマ目線が無い

クマ専用コントローラーの開発を大至急、HORIに望む


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る