試着


おれはパンツの試着をすることにした

パンツの試着をすることにしたのは簡単だった

脳が頭の中に入っているので

そこでパンツの試着をするか、と思えば成功だった

「意外と簡単なんだなパンツの試着をすることにすることは」

店内でフルチンで立ち尽くした

「お客様パンツの試着はご遠慮、頂けますか?」

店員が話しかけて来た

何が面白いのかくすくす笑っていた

もしかしたら宝くじでも当たったのかもしれない

半分くれ、もしくは

おれは一呼吸、置いて言った

「おれは残りの人生の全てをパンツの試着に費やすつもりだ」

半端ではない決意

「そんなことして何の意味があるんですか?」

質問は無視した

おれはおれの答えたい内容にだけ応じれば良い

自分に見合ったパンツを探す

それは虹の向こうにきっとあるはずだ

おれは狂っていない

牛丼屋で紅生姜を風水学に基づいた方向に設置すれば

きっと隠されている真実に手が届くだろう


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