殺しの依頼


パイナップルを鳩に詰めて

空に飛ばしたらそれが合図だから準備しておけ

お前は言った

「ああ………」

何も考えるな

そう心の中にそう警告を発した

「わかった」

何がわかったのか自分でも説明不可能だった

パイナップルを鳩にだぞ?

お前は念を押した

間違えるなよ

鳩をパイナップルではない

おれは条件反射でこくんと頷いた

深く考えないから今日まで生き残れたんだ

「必ず射殺してやるから安心しろ」

そしておれたちは離れ離れ

ある日、鳩が飛ぶ

何も無い空を

そして対象者の頭が吹っ飛ぶ

床に散乱するさっきまでそいつの頭部だったもの

清掃業者が眉間に皺を寄せてそれを拭き取る

「ちっ、これで今日も残業が確定だ、恋人に一体なんて説明すればいい」

今日は恋人の誕生日だった

だがそれは画面の中にいて体温を持たない


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