お別れの時


グミあげるよ

ゴマグミ

風味がね

とっても豊かなんだよ

そんな風にすっとぼけたふりして

あげるよ

ゴマグミ

おれは口にしたことないけど

その予定も無いけど

おいしいよ

多分ね

お前はゴリラに輸血されて

かろうじて生き延びているようなそんな奴だった

死んだ方がましとは皆、思っているだけで口にしなかった

真実は無価値ですNE

永久に寿司屋でトナカイを注文するべきだった

ぶち殺すぞ

誰かがそう叫んで

おれは妊娠をして

取り敢えず視界に映った皿を全部、叩き割った

誰の了解も得ずに

それが正解だという強い確信があった

真っ赤な夕日を背景にして

おれの小指にはもぐらが絡まっていて

そいつをぎゅっと絞ると

新鮮なもぐら汁がこれでもかというほど滴り落ちた

おれとお前のお別れの時が近付いていた

さよならを言うつもりなんてさらさら無いけど


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る