ゆるゆる道場のおはなし会シリーズ1「ケアマネジメント」
@Mochiyama_Mochitaro
ケアマネジメントを職業としている方への「まえがき」
ちょっとばかばかしいと思われるかもしれませんが、冒頭で「殿様かつら」のお話をしたいと思います。「殿様かつら」というのは、お笑い番組の中で芸人さんがよくかぶっているお殿様のマゲを結ったかつらのことです。もしも、国の方針で、「ケアマネジャーは仕事をするときに『殿様かつら』をかぶって仕事をしなければ報酬を減算する」と決まったとしたら、あなたならどうしますか? そんなことあるわけがないと思われるかもしれませんが、ちょっと想像力を膨らませて、もう少しお付き合いください。来月から「殿様かつら」をかぶらないとケアマネジメントの報酬が減らされるのです。独立開業している事業主ケアマネジャーだったら、反発して「そんなものかぶらないぞ!」と宣言できるでしょうか? 減算が続けば事業所は倒産するけれどそれでも構わないと腹をくくれるでしょうか? それとも、それでは元も子もなくなるのでやむを得ず「殿様かつら」を購入するでしょうか? 大きな事業所に勤めているケアマネジャーの方ならばどうでしょう? 事業所の方針、法人の方針で「殿様かつら」の導入が決まったら、その業務命令に従いますか? それともおかしいじゃないかと言って抗議しますか? ケアマネジャーの基礎資格者を養成する学校の教員の方々や大学の教員の方々はどうでしょう? 現場のケアマネジャーの味方になってそのような介護報酬改定に反対してくれるでしょうか?
そもそも、そんな仮定の話を考えること自体が無駄だからもう止めたいと思われた方、はい、もっともです。でも、次のお話も聞いてから止めるかどうかを考えてください。もしも、どこかの権威ある研究機関が、ケアマネジャーが「殿様かつら」をかぶって仕事をした場合とかぶらずに仕事をした場合を比較する大がかりな実証実験を行って、データ解析の結果「殿様かつら」をかぶって仕事をした方が介護サービスの利用者の満足度が高くなり、要介護度も改善するという結果が科学的に証明された、だから国としてこれを導入するのだと理由付けされたらどうでしょうか? あるいは、製造ノウハウを持つメーカーがこれを商機ととらえて相次いで参入し、国やコンピューターソフトの会社に働きかけ、高性能の通信端末機能と人工知能を搭載した新商品を開発したらどうでしょう? 戸別訪問時の記録作成を大幅に省力化できますとか、主治医や各事業所担当者とその場で音声や画像のやりとりができて連携が高まります、サービス担当者会議の時間と費用を大幅に節約することができます、などと大々的に売り出すようになったらどうでしょう? やっぱり「そんなばかな!」と思われるでしょうか? あるいは、みなさんのなかには、大手の介護事業所のロゴの入った「殿様かつら」をかぶって、おそろいの制服を着たケアマネジャーが町中を行き来する姿をつい想像してしまったという方はいらっしゃるでしょうか? 養成校や大学の教員の方々はどうでしょう? 専門誌に「殿様かつらを活用した新たなケアマネジメントの展開と可能性」などと特集が組まれる様子をつい想像してしまったという方はいらっしゃるでしょうか? あるいは、いくつかの条件を満たした高性能の「殿様かつら」を導入し活用している一定規模以上の事業所には介護報酬に加算を新設すべきだと要求する専門職能団体の姿を想像してしまったという方はいらっしゃるでしょうか? もしかしたら、成長産業への投資で株価が上昇した、GDPが押し上げられたと賑々しく報道された数ヶ月後に政治家や官僚が収賄罪で逮捕された、でもそのまた数ヶ月後に不起訴となったなんていう新聞記事まで想像してしまったという方はいらっしゃるでしょうか?
ここまで「殿様かつら」のお話をしてきました。そんなもの、どんな理由を並べられてもかぶらないと思われた方、世の中がそういう流れになったら逆らえないかもと思われた方、いずれの方も、きっと「今」はまだ自分は「殿様かつら」をかぶっていないと考えているのではないでしょうか? 果たしてそれは本当にそうでしょうか? 自分では気づいていないだけで、いつのまにか、目には見えない透明な「殿様かつら」をすでに頭の上に載せていないでしょうか? ただ、そのような恥ずかしいことになっているとは気づいていない、もしくははっきりと気づきたくないだけで・・・・・・。
自分ではかぶった覚えのない「殿様かつら」が頭の上に載っていると気がついたとき、わたしたちはどうすればよいでしょう? この問いの答えが気になってしようがなくなったら、次のページから先を最後まで読んでください。
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