第13話・数百メートルの、恋人たち
「雨上がりの夏祭りってのも乙なもんねぇ……」
「……うん、そうだね」
「でも何これ?まぁ、時間も頃合いだし、まばらになるのはわかるけど……ちょっと雨が降った途端にあれだけいた人たちみんな帰っちゃって。露店だってさっさと店じまいしちゃって。どんだけやる気ないのよ我らが地元民。どんだけイベント熱が低いのよ我がうるわしの故郷。……て、あっ!!アンズ飴!!あちゃ~今年は食べ損ねたわね」
「……うん、ホントね」
「ううう……ってか乾いてない浴衣って結構冷えるわね。パンツもまだ……あ、アレな感じだし、ホック壊されたからブラだってしてないし……ねぇ、啓次。全部アンタのせいなんだからそのカーディガン、凍える姉に進呈しなさいよ」
「……うん、そうそう」
「……ほ~ら、どうよ啓次ぃ?ノーブラなお姉ちゃんが抱き着いちゃうぞぉ(ムニムニ)」
「……うん、その通りだ」
「……乳首がこすれて、すっごくイタ気持ちいいんだけど……なんだか、私、ムラムラしてきちゃった。……ねぇ、その辺の茂みでさっきの続き、してみない?(耳元でボソリ)」
「……うん、すごいすごい」
「……なかなか泣かない中井さんは東京特許許可局局員」
「……うん、いいかもね」
「…………」
「……うん、うん、それはひどい」
「……(イライラッ)!!」
「……うん、うん、そうだそう……」
「姉クラッチ!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「なんなのよさっきからその生返事!?」
「いたいいたいいたい!!」
「同棲中の彼女の面倒くさいお喋りをちゃんと聞いてあげてるフリしながらスマホいじってる彼氏気取りかっ!?彼女との他愛ないやり取りよりも『やってみた』系動画巡りが大事かっ!?」
「ごめんごめんごめん!!とゆーか、なんで浴衣を寸分も気崩さずにそんな教科書通りのキャメルクラッチ極められるんだよぉぉ!?」
「生意気な弟をこ・ら・し・め・て・みたぁぁぁぁ!!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
別段、啓次は沙希の話を聞き流しながらネットを巡回していたわけではない。
むしろ巡っていたのは、ほんの少し前の記憶。
―― 私、ちょっとアメリカ行ってくるわ ――
そんな突然の宣言から畳みかけるように紡がれた沙希の言葉。
啓次はこうして神社からの帰路につきながら、ずっと頭の中で
まだ臨床実験中ではあるが、アメリカで沙希のように眼球に問題を抱えた者の視力を回復させる研究が進められている。
そこは沙希の通う体育大学も出資を行っている、スポーツ専門の財団法人だった。
心、体、競技を問わず、何らかの障害を抱えてしまったが故に輝かしい未来への道を閉ざされてしまったアスリートたちに希望の光を……という理念がその法人設立の根幹にあり、国際オリンピック委員会から感謝状を贈られたことも一度や二度ではない。
退院した直後、沙希は監督を通じ、大学側から渡米をしてそこで治療を受けてみないかと提案された。
元々、日本を飛び出して世界に剣道をもっと広めたいという明確な進路を定めていた沙希。
姉妹校の提携を結んでいるアメリカの大学への留学も視野に入れていたのだが、なにせ遠い。
進路は大事。
剣道も大事。
しかし、何よりも彼女の行動規範の中心は啓次だった。
いつまでも頼りない弟分を一人残して日本を離れることが、心配で心配でたまらなかった。
沙希も大学二年生。
そろそろ将来のことも本気で考えなくてはと思いつつ、やっぱり啓次のことを放ってはおけない……いや、それは建前か。
もっと素直に言ってしまえば、沙希自身が、今までも、これからも、そしていつまでも大好きな幼馴染の男の子の近くにいたかったというのが偽らざる本音であったという。
まさか、あの結城沙希がそのような青臭く、桃色に染まった乙女心をこじらせて留学を渋っていたことなど知る由もない周囲は、まだまだ己の剣を磨くのに夢中な時期で、時がくれば彼女なら自ずから未来に目を向けていくのだろうと楽観していた。
……一連の騒動は、そんな矢先に起こってしまったのだった。
「…………」
「ま~た、一人で抱えこんでる」
芸術的に美しいキャメルクラッチの拘束から解かれても難しい顔をしている啓次。
その眉間のシワをチョンと指でつつきながら沙希は小さく苦笑いをこぼした。
啓次を悩ます懊悩が一体なんであるか?すべて理解しながら。
「アンタにそんな顔させた本人が言うのもなんだけれど、あんまり難しく考えないで、啓次?少しでもこの目に回復の可能性があるならそれに賭けてみる……啓次だって賛成してくれるでしょ?」
「……うん、もちろん」
頷くも、啓次は厳しい表情を崩さない。
「もちろんだよ、サキ姉。サキ姉の目が治るっていうなら僕が反対するわけがない。むしろ幾らでも背中を押す、他の誰よりもアメリカ行きを推すよ。……だけどね……やっぱり……」
「……遠い、わよね」
尻すぼみになった啓次の言葉を継ぎながら、沙希の声もまた小さくなる。
その声量の小ささは啓次と沙希、日本とアメリカ、国と国、遥か大洋を越えてもまだ遠い場所まで既に二人の距離が離されてしまっているかのように弱々しく響いた。
「……いつから」
「準備はほとんど済んでるから、もう明日か遅くても三日以内には発てる」
「いつまで?」
「あっちの大学に正式に編入するのは九月。単位はそのまま継承して二年弱通えば卒業資格をもらえるから最低でもそれくらい。剣道の指導者としての生活と並行しつつ目の治療や実験にあたる……そんな二年間ね」
「二年……長いね……」
「きっとあっという間よ」
「……長いよ」
「私とアンタの付き合いが何年になると思ってんの?十五、六年だっけ?ほら、振り返ればあっという間の十何年だったでしょ?それに比べたら二年なんて……」
「長いんだよ……サキ姉……」
「……啓次」
今更、ダダはこねない。
行かないでくれ、だなんて引き止めるわけもない。
自分でも言っていたことだが、沙希の視力が戻るのならば、その望みが遠い外国にしかないのならば、啓次は喜んで彼女を送り出そう。
ずっと一緒にいたい……それは偽りなく愛だ。
僕もついていく……それは紛うことなくワガママだ。
ずっと待っている……それは心からの本心だ。
そんなに待つのは辛い……それも心からの本音だ。
「わかんないんだ……」
そう、啓次はわからない。
「二年……そんなに長く、僕たちが離れ離れになったことこれまでの人生で一度もなかったから、サキ姉がいない生活がどんなものか、僕にはわからない」
沙希のいない人生がどんなものか、啓次には想像もできない。
「うん、私も。私の方が四歳も年上だけれど、実際、物心ついた時には啓次は当たり前に傍にいたしね」
「この一か月、会えなかったのは辛かった」
「うん、苦しかった」
「ずっとずっと……サキ姉のことしか考えなかった」
「うん、ずっとずっとずっと……啓次のことしか考えられなかった」
「これが二年」
「うん、二年」
「長いなぁ……やっぱり」
「長いわよねぇ……やっぱり」
「……不安だよ」
「またワルガキ共にオモチャを取られるのが?」
「今のサキ姉を一人にするのが」
「私がどっかのヘタレ弟のことなんて忘れて、青い目のサムライとイチャコチャするのが?」
「家族とも友達とも僕とも離れた遠い場所で、サキ姉が寂しくて泣いちゃうんじゃないかってことが」
「生意気なこと言うじゃない」
「……そして、苛立ってるのかな、僕は」
「……何に対して?」
「色んなこと」
「たとえば?」
「心配するばかりで何もできない自分への不甲斐なさ」
「あとは?」
「サキ姉の気持ちも知らないで身勝手に恋愛相談して傷つけた自分の愚かさ」
「他には?」
「サキ姉への想いにも気が付かないで他の人を好きになってしまった自分の鈍感さ」
「それで?」
「……それでもまだ……ちゃんとサキ姉だけを見ることができない、自分の優柔不断さ……」
立ち止まり、啓次はうつむいた。
噛みしめられた唇は固く結ばれて今にも血が噴き出しそうであったし、
ギリギリと握られた拳にはもはや色味が引いていた。
それらには、自戒を越えた自罰のような切実な痛々しさがこめられていた。
「そんな色んなものにイライラする……そんな自分がサキ姉の傍にいるのは相応しくないと思えば悔しくて悔しくて……本当に本当に……本当にこんな情けない自分が……」
「『大嫌いだ』。……とは言わせないよ、啓次」
「……サキ……姉?」
立ち止まった啓次の数歩先。
人影もまばらなら民家も街灯も乏しい道の上。
また厚い雲に隠された月などよりも煌々と照る自動販売機の灯りを受けた沙希は、真っすぐに彼を見ながら微笑んだ。
啓次が慣れ親しんだ、呆れたような諦めたような……それでいてどこまでも慈しんだような温かな微笑みを。
「ねぇ、啓次。私のこと、好き?」
散々、互いに確かめ合った気持ちを、改めて沙希は問いかけた。
「え?あ、うん……」
「……ヘタレ」
「さ、サキ姉のことが大好きです!!」
「うん、私も啓次のことが大好きです」
「……サキ姉?」
「それじゃ、今から付き合おっか?私たち?」
「え?」
「そして別れよう。きれいさっぱり」
「……え?」
沙希の言葉に処理が追い付かずうろたえるばかりの啓次にゆっくりと近づいてきた沙希は、すっと自分の左手を彼の前に差し出した。
「ここから家に着くまで、私たちは恋人。どんな時代のどんな世界にいるどんな恋人たちよりもラブラブで幸せな、そんな恋人同士になるの」
「恋……人……??」
「そう、恋人。アンタの初恋にはなれなかったけれど、アンタに初めてできたカノジョは結城沙希なんだぞっていう事実を世界の記録に刻みこんでやりましょう」
「だ、だけど……」
「そう、だけど別れるの。家に着いたら別れるの。それからしばらく……具体的には私があっちに行ってる間、お互い一切、電話もメールも手紙のやり取りもしないで過ごそう」
「そんな……」
「その間に、私はキチンと『お姉ちゃん』を取り戻す。アンタはその『お義姉さん』と『サキ姉』との間で揺れる恋心に決着をつける。……そして、啓次?二年経って、私たちがまた出会えた時……その時にもう一度、お互いの気持ちを改めて確認しあいましょう?」
「…………」
「私が私に戻れるか、アンタがお義姉さんか私かのどちらかを選ぶのか……何かが変わってしまうのか、何も変わらないのかはわからない。思ったよりも時間がかかって五年、十年先になってしまうのか、やっぱりどちらかが寂しさに耐えかねて一年もしないうちに会いにきてしまうのかもわからない……だけどね、啓次?これだけはわかるの……このまま何もしないままじゃダメなんだよ、アンタも私も」
「……サキ姉」
「前にも後ろにも進めない、こんな現状のままじゃ……きっと二人とも壊れちゃう」
「…………」
「これが今の私が精いっぱい振り絞ることができた『お姉ちゃん』。もがいて悩んで苦しんでいる弟分に辛うじて指し示すことができた導き。……こんな弱い私をまだ『お姉ちゃん』だと呼んでくれるなら、それでもまだ頼ってくれるなら、どうかこの手を取って、啓次?」
「…………」
啓次は伸ばされた沙希の手をジッと見つめた。
この手を取れば何かがはじまる。
たとえ家までの残り数百メートルという短い間でも、啓次と沙希、二人の噛み合い過ぎて決して交われなかった幼馴染の男女が晴れて恋人という関係になれる。
しかし、同時にこの手を取れば何かが終わる。
沙希が遠くに行ってしまう。
二年だか五年だか十年だかと期間は判然としないが、それでも結城沙希という尊敬するべき姉貴分であり、人生の大半に鮮やかな彩りを添えてくれていた愛おしい存在が失われる。
手なんて取りたくない。
そんな導きなんていらない。
恋人になんてならなくていい。
別れることなんてしなくていい。
ただ今まで通り、不甲斐ない自分の尻を叩き、叱咤し、その慈愛のこもったハスキーな声で『啓次』と名前を呼んでくれればそれでいい。
何も変わらなくていい。
いつまでも変わらなくていい。
たとえ、この先……どちらかが壊れてしまうのがわかっていたとしても、それでも沙希にはずっと傍にいてほしい。
だから。
……だから。
…………だけど。
「……(キュ)」
啓次は沙希の左手を握る。
「……ありがと、啓次」
「……うん」
啓次は沙希の左手を握ってしまう。
「……偉い。偉いよ、啓次」
「うん……うん……」
啓次は自ら初めての恋人の手を掴んでしまう。
姉のような女性が最後に示した別れの道に、導かれてしまう。
「ごめん……ごめんね、啓次。勝手なお姉ちゃんで、ごめん」
「うん、うん……うん……」
「でも、やっぱりありがとう。こんなガサツな私の初めての恋、初めてのキスを奪ってくれてありがとう。……結城沙希というバカ女の初めての恋人になってくれて、ホント、ありがとうね、啓次……」
「うん……う……ん……うう……サキ姉……サキ姉……」
「……ほら、泣くな、彼氏くん」
そう言って啓次を正面から抱きしめる沙希。
昔から、ビービーと泣いてはこうやって姉に抱かれていた小さな男の子。
彼女は改めて思う。
―― ああ、なんて愛おしいんだろう。
どれだけ背が伸びても声が低くなっても、
やっぱりコイツは私の可愛い可愛い弟分。
情けなくて優しくて、時々男らしくて、でも結局ヘタレ男で……。
そんなコイツのことが私は好き、大好き。
どんなに人として素晴らしくても、金髪で碧眼のイケメンでも。
こんなに私の心を震わせられる男は絶対にいない。
……どうしよう、コイツの泣き顔見てたらなんだかムラムラしてきた。
ああ、ホントに私、お姉ちゃんをこじらせた変態女ね。
……ねぇ、啓次?
待ってて、なんて言わない。
そんなこと、私が言える筋合いはない。
お義姉さん……もそうだけれど、他にも優しいアンタに惹かれてしまう女の子はこれからいっぱい出てくると思う。
気弱な殻に隠されたアンタの魅力に気付いてくれる人がたくさん出てくると思う。
だから、待ってて、なんて言わない。
他に素敵な人が現れたら、どうぞ遠慮なく恋してほしい。
……だけどさ、啓次……もし、もしもだよ?
次に会った時、私の想いも啓次の心も重なり合うことができたなら。
また、絶対に恋しよう?
こんな数百メートル限定じゃなく、永遠の恋人になって。
あんなキスや体を触り合うだけじゃなく、貪るようにセックスもして。
そして、私が思い描いていた、ペラペラだけど甘々なあの未来を。
どうか、叶えてね?
啓次ぃ…… ――
そして、二人は別れた。
恋人としての数百メートルをなるべくゆっくりとした足取りで、
今まで十数年間にわたって交わしてきた何の実にもならない話をしながら、
笑い、微笑み、手を繋ぎ、時折立ち止まってキスをして歩き、
沙希の家の前まで辿り着いたところで、二人は別れた。
『おやすみ』、
『うん、おやすみ』。
最後の言葉とは思えないほど、いつも通りの二人。
特別な言葉はなかった。
特別なことはなにもしなかった。
また朝になれば会うんだと、
またいつだって会えるんだと、
そんな調子で、二人の手は離された。
「…………」
しかし、やはりいつも通りではなかったようだ。
タイミングを見計らったように、ぐずついていた空から再び雨が降り始めた。
髪の毛や、せっかく乾いた服や靴が濡れるのも構わず、啓次は沙希の家の前に立っていた。
別段、感傷に浸っていたわけではない。
雨に打たれることで、何かを洗い流せると思っていたわけでもない。
「…………」
ただ、啓次は二階にある沙希の部屋の窓を見上げていた。
その何度となく通った沙希の部屋。
和室ということを加味しても、あまり女の子らしさのない地味な部屋。
なんとなく、そんな部屋に灯りがともるのを見届けてから、啓次は去ろうと思った。
あわよくば、いつものようにヒョッコリと沙希がそこから顔を出し、もう一度笑ってくれるのではないかと思った。
そう、もう一度。
たった、一度。
これが最後と、啓次は沙希の顔をもう一度だけ見たかった。
……しかし、部屋の電灯はともらない。
そのままシャワーでも浴びにいったのか、台所の冷蔵庫でも漁っているのか。
とにかく、見上げる沙希の部屋はいつまでも暗いままだった。
……どれくらいそこにいたのか?
……一体、どうやって帰って来たのか?
翌日になってかなりの高熱にうなされた啓次は、気が付くと自分の部屋のベッドに横になっており、前後の記憶がひどく曖昧になっていた。
ボンヤリとした頭はまともに回ってくれはしなかったが、それでも啓次は懸命に幾つかのことを考えた。
どれだけ記憶をたどっても、結局、沙希の部屋の灯りは点かなかったこと。
看病に訪れた母から聞かされた、沙希はもうアメリカに行ってしまったこと。
今までのこと。
これからのこと。
沙希のこと。
巡莉のこと。
自分のこと。
すべてが綯い交ぜになり、取り留めすらもなくバラけた思考を巡らせているうちに薬が効いてきたのか、啓次は再び眠る。
もう、二度と戻ってはこれないのではないかというくらいに深く、
手を伸ばしても周りを見渡しても、何も見えないし触れられないほどに暗い、
そんな、眠りへと真っ逆さまに落ちていったのだった。
☆★☆★☆
そして、二年と数か月後。
結城沙希は、結城沙希たる強さをより研ぎ澄まし、
塚原啓次は、塚原啓次たるヘタレ具合を磨いて、
二人は恋物語の続き、あるいは第二幕を紡いでいく。
……そこに、もう一人の彼女が執拗に絡みつくことで随分と複雑さを増し、二人の予想を遥かに上回る結末が待ち受けていることなど、知る由もなく。
≪第二章・サキ ~初めてになれなかった恋~≫・了
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