#5

雲の切れまから射し込む光が街を照らす

切に願った天気回復、この時を待っていた

本当は強風が止めば御の字だったのに太陽が顔を出すなんて

片手を塞ぐ傘が必要なくなり気持ちも晴れやかになった


雨上がりのアスファルトを軽快に踏み鳴らして

目指すわ異様なのに心地いい空間

待ち行く人はところどころ笑顔で空を見上げいる

綺麗だとかラッキーなんて言葉が飛び交う土曜日

お店のドアを開けると真鍮のドアベルがスウィングして

煌びやかで暖かみのある高音を奏でた


店内にはスパイスの香りが漂っている

席に着いてマスターと目が合うと開口一番

「来るの早すぎだよ、まだOPENしてないから」

時計を見ると時刻は11時25分

「フライングは5分だけでしょ熱烈なファンなんだから大事にしてよ」

「次来るときはドアのプレートを確認してから入ってね」

注文していないのに瓶ビールが目の前に置かれた

これでも飲んでカレーができるまで待ってろと

マスターから無言のメッセージを受け取る


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