俺はお前の幻と共鳴する

菊地和俊

intoro

#1

音が一切聞こえない部屋で自分を見てる

正確にはベットに寝てる自分を眺めている

ここまで無音だと耳が疼くかと思ったが

いくら耳を澄ましても疼く気配がない


何処でいつどうやってこうなったのか思い出せない、だけど不安な気持ちはではない

不思議な事に、むしろ心地いい気分だ


酸素マスクに心電図 顔にはかすり傷

事故にでもあったか戦地にでも行って負傷した兵士のようなざまだ

そんな自分を見てるって事は俺は魂だけになっている、いわゆる幽体離脱してるのか


窓には光が射してるけど日光の心地良さは無い

記憶にある日差しの感覚を思い出してみるが

呼び起こしたはずの感覚は味気なくてやめた



生きる事は自然を感じれる素晴らしさがあるって事を初めて思い知らされた

眠った自分を見ながら自然を感じられないもどかしさに直面するなんて皮肉なもんだ

明日もこのままなのだろうか

もしこのままなら終わりが近いと思うのが妥当だろう


もしこのまま死ぬのであれば迎えは来るのだろうか

死神は黒いスーツの紳士なんてのがフィクションでは定番だけど

死ぬ間際の人間の近くには黒い靄を見たとか

死ぬ寸前の人は黒い人型を見たなんて話も聞く


周りを見渡してみても白ばかり目立って黒いのは日に照らされる事によってできた影とベットの脚についているラバーのみだ

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