第66話 英雄の殻
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村で過ごす少年の物語
少年は元英雄と住んでいた
英雄は引退後、少年と共に住み、彼を育てていた
男は少年に、英雄であったことを告げていなかった
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少年は村で生活をし、だんだん大きくなっていった
男は、なにかの出来事が起こると、村から出かけていった
留守番をする少年
世界はぎくしゃくとしていて、
元英雄はまだ世界に必要とされていた
なぜ置いてきぼりなんだろう?
幾度も留守番をする少年は、不思議に思うようになった
読み進める
少年は英雄の物語に出会う
物語に夢中になって、冒険に憧れる
少年は、出かける元英雄の男に、一緒に行きたいと願い、
一度は待つようにと諭されて断られる
けれども少年は、
男のあとを追いかけて、迷い、傷ついて、男に救われる
少年の強情な様子を見て、
元英雄の男は折れて、少年の旅への同行を許した
男は少年の瞳のなかに、かつての、冒険に憧れた自分の姿を見たのだ
胸おどる旅先での出来事と、素晴らしい初めて見る景色
少年は男と共に旅を楽しんでゆく
そして楽しいばかりではないことも知る
傷ついている世界と、喘ぎながらそこに住む人たち
元英雄が出かけることになった事件
やり場のない悲しさや苦しさや怒りと、
その奥に隠された優しさ、想い
そうした出来事の中から、
男の昔を知るものに、少年が憧れた英雄が彼だと知ってしまう
読み続ける
元英雄の村での姿を嘘だと思い、ふかく傷つく少年
縮こまる心、うずくまる気持ち
少年の傷ついた様子に気づき、
英雄だった男は少年に優しく語りかける
少年の生い立ちと、英雄であった自分との関わりを
そして少年へと話す
村の男の姿は自分のほんとうの姿だと
人には役割があって、
自分では選べなかった役割がその英雄だったと
男は少年に語る
人はできることをするのだと
事件が起きて、男にしか解決出来ない事をしに行くのだと
英雄の殻をかぶり、出かけてゆくのだと
男の真剣な瞳から、少年は何かを感じ取った
少年はそれからも、何度か元英雄の旅へと付き添った
物語を追う
ある時、大きな事件が起こり、
元英雄はひとりで出かけてゆくことになった
長い旅となる
少年は一緒に出かけることを許されなかった
今回は少年の身が危ないからと
元英雄と少年は長いこといろいろなことを話しあって、
男は少年とある約束をして出かけていった
その事件は終わったけれども、
男は約束した日には戻らなかった
幾つもの季節が過ぎた
少年は大きくなり、
もう、少年とは言えなくなる頃に、彼はひとつの決心をする
元英雄の噂が、少年の耳に届くころ、
少年はひとり村を出る
元英雄である男の影を追って
ページをめくる
物語を読み続けてゆく
-つぶやき-
少年は元英雄のあとを追いかけながら、英雄をめざしてゆくのでしょうか。
それとも、
元英雄のほんとうを知る少年は、英雄の真実を語る吟遊詩人になるのでしょうか。
書きながらそんなことを思いました。
まだ答えは出ていません。
-あとがき-
ベルガリアード物語、リフトウォー・サーガを読みながら、
胸から沸き上がる気持ちを核にして書いた感じです。
子どもが成長する物語、冒頭とする物語はいろいろと見てきました。←ジャンルやメディア関係なく思いつくまま書くと、いくらでもタイトルが出てきそうです♪
物語を読むこと、堪えられない楽しみです♪
物語を読みながら、自分もその世界や主人公の殻を被っているのかもしれません(笑)
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