第40話 縋る(すがる) -そして渡す-


立ち止まり、疲れた時、

ふと寄りかかるところが欲しくなる



倒れ傷つき、立ち上がりたい時、

縋る杖が欲しくなる



涙を忘れたい


痛みから逃げたい


悲しみや苦しさを、

わずかでも和らげ助けるものが欲しい



それは普通のこと



好きな人、好きな物語

そっと、心のささえにしたい


疲れたり傷ついたりしている時は、


慰めを、

安らぎを、


そんなわずかな温もりを糧にして、

じっと耐えしのいでゆく




いつかまた


立ち上がり


歩き出す




そして、



誰かがいつか見るかも知れない物語を綴る



疲れ傷ついた誰かのための物語を紡ぐ



優しくて、涙が出るような悲しさと嬉しさを込めた物語を



疲れ傷ついていても、

また立ち上がり歩き出すことのできる、そんな力を与えられる物語を




次の誰かのために

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