No.44 ポロリ?

さっちゃんコスプレのゾフィーに会った次の日。

アメリアは1人で教室に向かっていた。


いつもなら、ルイが隣にいるのだがな。


昨日実家に帰ったルイの姿は今日の朝はなかった。

ティナから聞くには婚約の話がルイに来たとか。


なるほど、それで親からの招集がかかったのか。





アメリアは教室に入るなり、彼女と目が合った。


なんで、アイツあの格好のままなんだ。


アイツとはわかるだろ?

さっちゃんコスプレのやつだよ。


教室で一番目立っているであろうゾフィーは昨日の格好のままだった。

そんなゾフィーは目が合うなりうちのところにやってくる。





あるじ授業に出てきましたよ。さぁ、仕事を」


「お前はバカか」


「いてっ」





アメリアはポコッとゾフィーの頭を叩く。





「その格好で出てくるって正気か?」


「あ、やっぱ変でしたか?朝からかなりの人に見られてる気がしましたの」





そりゃ、そうだ。

前世でその格好やっても目立つのに。

あほか!





「はぁ……、いいからいつもの服に着替えてこい」


「了解しました、あるじ





うちがそう指示するとゾフィーは教室を出ていった。


さてと、1時間目は確か魔法基礎論だったけな?


うちがもってきたバックから教科書を取り出していると、メインキャラたちがやってきた。





「アメリア様、おはようございます!」


「ああ」


「アメリア、今日の放課後はバット?というやつを作っていくの?」


「ああ」





うちの隣にいつも座ってくるフレイは体をこちらに向け話しかけてくる。


ちーとは気づけ、うちが教科書を読みたいことを。


そう思いつつうちは教科書を適当なページを開く。




「何見てんの?アメリア?」





フレイはうちが開いているページを見ようと覗き込む。





「……主魔法について」





うちの主魔法はご存じのとおりバリア魔法。

魔法は自然魔法と特殊魔法に分けられるのだが、うちのバリア魔法は特殊魔法に分類される。

エリカの光魔法、フレイの氷魔法は自然魔法であり、主魔法を持つ者のほとんどが自然魔法である。





「ん?」


「どうしたんですか?」





授業の準備を終えたエリカはうちの机の近くにやってきていた。





「あ、この無効化魔法ってなんだ?」


「あー、サイネリア出身の有名な方の主魔法ですよ」


「えっ!アゼリアっ!」





アメリアは驚きのあまり椅子を後ろに倒しそうになる。





「私がどうしたのですの?あ、フレイ様おはようございます!今日の放課後私とお茶しませんか?」


「え…、今日僕はアメリアと放課後……」


「王女さん、今日そいつフリーですよ」


「アメリアっ!!」





厄介ものが消えるんだ、いいだろ?


どこから湧き出てきたのかしらんがアゼリアはフレイに笑顔を見せまくる。




あー、きっも。

ほっとこう。





「で、変人王女の主魔法がその無効化魔法なのか?」


「アメリア様、聞こえてしまいますよ……。えーと、アゼリア様ではなく、サイネリア出身アイドルをしている方です」





はぁ?アイドル?

この世界でもそんなやついるのか?


うちが首を傾げていると、エリカは察して説明してくれた。





「その方はナイル・ディレクションとお名前の方で」




ん?

〇ンダイレクション?

文字ってんのか?






「アメリア様、本当に聞いたことがございませんか?」


「と言われてもな……。ん?」





ナイル・ディレクション。

ナイル……。





「ナイくんか……?」


「知ってるじゃないですかー!!」





いや、知ってるも何もそいつも確か隠しルートでしか出てこない人物じゃないか……。


ナイルはフレイと婚約し有名になったエリカに近づいてくるタラシ野郎ではないか。

プレイヤーでは有名なナイくんじゃないか。

公式はあの有名な〇ンダイレクションを文字ったことで批判を若干くらったらしいが。


前世の記憶を思い出しつつ、うちが冷や汗をかいていると、エリカはニコニコしながらポケットから何かを取り出す。





「これ見てください!!偶然、手に入れることができたんですよっ!!」





エリカが見せてきたのはナイルの写真だった。





この顔……。うん、ビンゴ。ナイ君だ。





「てか、なんでこんなもん、お前持ってんだよ?」


「えーと」





うちがそう聞くとエリカは頬を赤らめる。





「私、ナイル様のファンでして……」


「ファンっ!!」






主人公どうしたっ!!

フレイルートに進んでいたじゃないか?

た・ぶ・ん!!





「お、お前、フレイのこと好きじゃないのかっ!?」





衝撃のあまりアメリアは思い切って尋ねる。

すると、エリカの顔は徐々に険しくなる。





「誰があんな男好きになりますか……」





え?





エリカはボソッと言ったが、彼には聞こえていたようだった。





「エリカさん、聞こえているよ」





アゼリアの相手をしていたフレイは笑っているが、目が笑っていなかった。


















「ええ、聞こえるように言ったんですよ」





なんだとっ!!





エリカとフレイは2人とも笑顔だが、間にはバチバチっと稲光が見える。




どうなってんだっ!?

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