登場人物紹介(5章)


 5章までの登場人物紹介です。


 前回にも出てきたキャラクターは、追加要素の記述となります。

 それでは、お楽しみください。


 あてんしょん。

※作中で判明していない部分は伏字になっています。ご了承下さい。

※プロフィール内容に5章までのネタバレを含みます。




<登場人物紹介:5章>


①ラエル・イゥルポテー(いみな不明):「強欲」補佐係、黒魔術士。

 ラエル。人族の女性、16歳。うねる黒髪に紫の目をした本作の主人公。感情欠損ハートロス・恐怖。

 前章の終わり、竜骨の像の真意を知って卒倒してしまったが元気。骨守に対する感情は理解が半分、疑心が半分。少なくとも「骨守を恨んでは」いない。

 バクハイムでツァツリーに叩き直された性根はあくまでも理性がある時に発揮されるものなので、理性が吹っ飛んだ極限の状況下では使い物にならなかった。お腹は痛いし、自分がしでかしたことに対する反省はしている。


②ハーミット・■■・ヘッジホッグ:魔導王国四天王「強欲」、鼠の巣の管理者。

 ハーミット。鼠顔に針頭の被り物をした人族の男性、24歳。

 章を通して休む気配が無かったワーカーホリックの権化。蚤の市の事後処理、商人に話し合いの場を用意し、ラエルの両親について情報収集と交渉、後輩の管理ミスのフォロー、バクハイムでの交渉に調査に剪定……復帰直後だが、全く休めていない。

 酒は飲めるが、無魔法の影響もあってザルである。つまり今回も彼は嘘つきだった。そして、あと一歩が届かなかった。


③ニュイ=ノワール:伝書蝙蝠。

 ノワール。魔導王国資料室所属の伝書蝙蝠。

 ストレンに連行されたラエルの見守りや、町に広まった噂について監視と報告を行っていたが、これらは美味しいアプルの為。ラエルとハーミットを二人きりにしたのは賄賂が理由ではなく、単純に心配だったからである。

 本村への道のりでは斥候役を買って出るなど大活躍だったが、今は全力で針鼠の伝言を伝える為に羽ばたいている。間に合うだろうか。


④グリッタ(いみな不明):カフス売りの商人。

 グリッタ。第二大陸を拠点とする旅商人で、人族の男性。年齢不詳。

 第二大陸で看取った友人の遺言を家族の元へ届けたが、その家族から断罪ではなく許しを与えられそうになったので全力で拒んだ。償いの機会を奪わないでほしい。

 本来ならサンドクォーツクへ出頭する予定で行動していたが、キーナに見つかりバクハイムへ。本村へ赴くラエルらの後を追うために、何やら某絵描きと取引染みたことをしたようだが……。


⑤エヴァン(いみな不明):サンドクォーツク衛兵。

 エヴァン。サンドクォーツクに勤める人族の男性。ラエルはサンドクォーツクの門で一度だけ顔を合わせている。

 イシクブールのスカリィ、バクハイムに居た絵描きの証言から、どうやら「本村」へ向かった後に消息不明になっていることが判明した。ボロボロになった制服に留められていたカフスは、彼の就職祝にハーミットが贈ったものだったりする。




 イシクブールの人々


⑥キニーネ・スカルペッロ=ラールギロス:スカルペッロ家継承候補。骨守。

 キーナ。ダブル (人族と白き者エルフ)の男性、15歳。

 蚤の市騒動を通して仲良くなったラエルに「骨守」の話をしたらぶっ倒れられてしまった。あの場で一番焦った人。ハーミットに解術されたことで「勇者」に対する執着は薄れつつあったが、ラエルの動機を知ったことで再燃した。

 「勇者を探す理由」を自分の中に作ってまで二人と一匹の後を追いかけて力になりたいと動くことを決めた、行動力の塊。その力が彼らの助けに足るかは、今後の頑張り次第である。 


⑦ペンタス・マーコール:彫刻士見習い。

 ペタ。獣人の男性、30代。有角偶蹄。

 祖母の葬儀から時間はあまり経っていないが、蚤の市騒動で思うことがあったらしく第二大陸へ里帰りすることに決めたらしい。キーナとは割と長い付き合いだが、記憶封じの件もあって六年より前のことはあまり言及してこなかった。

 精神年齢は青年程度なので、キーナに振り回されながら行動するのも割と気に入っていた。父親と分かり合えなくても、人生は長い。彫刻士を目指すのか、他の何かを見つけるのか。彼の人生は折り返してすらいないのだ。


⑧フォ・サイシ・アイベック=マーコール:彫刻士。

 アイベック。獣人の男性、70代。有角偶蹄。

 終戦後からスランプで作品を創れなくなっていたが、今回の蚤の市で出した「てのひら骨竜」の形を元に新しい物を作ろうと必死に鑿と鎚を振っている。いずれは鼠顔で棘棘した生物が彫りたいらしい。

 朝はパンの仕込みをし、昼は喫茶バシーノの芋洗いを手伝い、それ以外は石を彫っている。シグニスとの距離感は未だに掴みかねているようだ。


⑨エイストレーグ・スカルペッロ=スキャポライト=ラールギロス:スカルペッロ家次期当主。骨守。

 アステル。スカルペッロ家次女であり、キーナの母親。キーナの化粧箱に仕掛けをした。

 前章で受け取った手紙の内容を受け、ネオンと起きたばかりのシグニス共々家族会議を開いた。最終的に彼女がスカルペッロ家の次当主の責任を負うという条件で全員を黙らせた。今はキーナが無事に帰宅することを祈っている。

 ハーミットについては深入りするのは危険だと判断して引き下がった。それはそれとして薬は欲しかったし、彼を家族として引き入れるというのもやぶさかではないと思っているのは本当。口にしないのは、周囲の人間が動くことを防ぐため。


⑩ヴェルニー・スカルペッロ=オッソ:スカルペッロ家当主、イシクブール町長。骨守。

 スカリィ。人族の女性。先代イシクブール町長の娘で、現町長。

 蚤の市騒動という大きな事件を始めとした諸々の対応を最前線で行いつつも、前々から危惧していた事態について隣村へ探りを入れる為に「サンドクォーツクの骨守」を送り込んでいた。

 異様な牧草の成長、年中実をつける果樹、バクハイムから運ばれてくる麦粉を使ったパンの味が良くなったこと――どれも喜ばしい変化だったが、麦が変色した旨を耳にして人員の派遣を決めた。旦那が動かずとも、ラエルらに協力を仰ぐつもりで準備していたようだ。


⑪レーテ・オッソ=スカルペッロ:草刈りおじさん。骨守。

 レーテ。魔族の男性。スカルペッロ家現当主の旦那さま。

 敬虔な骨守信仰者の親を持つ。「教え」に関しては考え方がスカリィよりやや硬い所があり、バクハイムへラエルたちを送り込む際に同行を名乗り出たのもバクハイムや本村で万が一が起きてはいけない、という責任感からのものだった。

 急に馬車に詰められて送還されたときは面食らったが、村に戻って鼠顔の少年の声を聞いてみると途端に追及する気がなくなってしまった。疲れが祟ったのか、現在はすやすやと眠っている。


⑫シグニシア・スカルペッロ:蔦囲いの宿受付係、パン屋、遊撃衛兵。

 シグニス。スカルペッロ家三女。イシクブールの遊撃衛兵であり、パン屋を志す。

 心停止から息を吹き返し、恋の相手に看病されている状況が嬉しすぎて再び意識を飛ばしてしまった。その後アステルに連行されて家族会議の場で目覚め、絶句するまでが一連の流れである。

 キーナのバクハイム行きに協力したのは、グリッタの様子が思ったよりも「大人」だったからである。見た目通りの駄目人間であれば、はっ倒して代わりに自分が着いて行くつもりだった。因みに、キーナとの仲はあまり良くない。


⑬ウェルネル・ネオン・スキャポライト:使用人。

 ネオン。白き者エルフの男性。スカルペッロ家の使用人であり、アステルにとっては一人目の旦那さま。

 蚤の市騒動での過失も、シンの死も、アステルとの結婚も、キーナとの会話も、彼の精神状態に大きく揺さぶりをかけていた。晶化という「死」に対する漠然とした恐怖は消えないが、嫁が死ぬなというので、できるだけ長生きするつもり。

 この度義理の息子にあたるキーナを送り出す役目を担ったが、これはアステルと話し合って決めたことである。――キーナには、せめて後悔することのない生き方をして欲しい。親として二人が出した結論は、そういうものだった。





 盗賊同盟渥地あつしち酸土テラロッサ・構成員


⑭クレマスマーグ・サンゲイザー:幹部。錬成術師。

 サンゲイザー。獣人の男性、爪牙有鱗。毒牙を利用した絡め手と槍術が得意。

 目的の為に組織に居続けていただけはあって、本章でも器用に立ち回っている。認めた相手の指示を聞き、刹那主義なので危険を顧みず行動を起こす……が、その蜥蜴から見ても針鼠は放っておけない類の人間らしい。

 ツァツリーと一蓮托生の身でバクハイムにやってきたが、今のところ不審な動きはない。ただ、時折剥がれかけた鱗をさすりつつ署名サインがどうだとかぼやく姿が目撃されている。


⑮ベイツ・バレルボルト (いみな不明):幹部。黒魔術師。

 ベイツ。人族の男性。転がった魔法瓶の内側で自らの分身メガネを破壊してしまった。現在は昼夜問わず眠くて眠くてしょうがない。サンゲイザーが連れていかれた気がするが、何となくしか話の文脈を覚えていない。


⑯アントィー・タマン:幹部。通称「小人」。

 アンティ。獣人の男性。美味しいものと正直者が好きな小人。聴取を通し、嫌いな人物が一人増えた。たまに差し入れされるパンが美味しいので暴れずに我慢できている。脱走計画に賛同して飛び出したが、その直後にベイツが外に出ていないことに気がつき、迫る弓矢の猛攻に全てを悟った。


⑰ドルー・ブルダレ・スキンコモル:五代目首領。

 スキンコモル。人族と獣人のダブルの女性。爪牙有鱗。今回は魔法瓶から飛び出してまで、ジンクスを裏切らない我の強さを発揮した。脱走計画に賛同して飛び出したものの目の前に居た他構成員もろとも吹き飛ばされて舌先を噛んだ。


⑱エドガー (いみな不明):幹部。魔術剣士。

 エドガー。魔族の男性。若くして幹部にまで上り詰めた実力者だが、蚤の市騒動で対峙した商人と針鼠に捕縛された。後者は軽いトラウマだが、いつかリベンジしたいと意気込んでいる。脱走計画に賛同して飛び出してみたら詠唱直前に蹴り飛ばされた。


⑲フィルムアゥド (いみな不明):幹部。黒魔術師。

 フィルムアゥド。人族の女性。禁術を駆使して美貌を保っている年齢不詳。東市場バザール火災で幻術式を担当していた。脱走計画に賛同して飛び出してみたら長棍の重い一撃を真正面から食らって吹き飛んだ。





 バクハイム


⑳エイブソル・セット・ジーン:バクハイム村長。セット家当主。

 エイブソル。バクハイムの最高責任者で、食い意地が張っているおじいさん。髭が長いのは代々の当主が伸ばしていたという記録があるかららしい。セット家直径の跡継ぎはおらず、次代をオッソ家へと引き継ぐつもりでいた。


㉑謎の絵描き・シグ (いみな不明):何を隠そう指名手配犯である。

 スターリング・パーカー。謎も何もないが、バクハイムに居ついて馴染んでしまった絵描き。なぜカマイユを描いていたのかというと、めぼしい画材が手元になかったからである。草木を煮詰めた色水で描く麦畑には、どこか勢いが足りなかった。

 ラエルたちに村の問題を暴かせたり、進言や忠告を繰り返していたが、「なんだ、足止めにすらならなかったか」と眉根を寄せている。バクハイムから出られない理由があるようだが……。


㉒絵描きの弟・カール (いみな不明):何を隠そう指名手配犯である。

 カーリー・パーカー。スターリング・パーカーが魔導王国浮島から脱獄させて連れ出した戦犯者。紫の目を持つ感情欠損ハートロス。バクハイムにやってきてからは食事も最低限しか口にせず、ひたすら暗い部屋の中で引きこもって過ごしているらしい。

 何を考えているのか、何を思ってあの言葉を口にしたのか。それは本人にしか分からない。





 魔導王国・浮島駐屯地所属者


㉓ベリシード・フランベル:マツカサ工房責任者、魔法具技師。

 ベリシード。魔族の女性。魔導王国浮島にある魔法具研究室、マツカサ工房の魔法具技師。

 本章でも安定して「可愛い女の子大好き」を貫いた魔法具技師。実は、ケープやコートや魔法手袋の血抜きをしたり、靴の修理をしたり魔術陣の組み直しをするなどかなりのハードワークを行っていた。短期間でさばく仕事の量じゃない。


㉔■■■・フランベル:マツカサ工房所属、魔法具技師。

 フラン。魔族の少年。魔法具研究室、マツカサ工房の魔法具技師。

 忙殺される母親を手伝いながら取引相手の話を聞いていたらとんでもない案件の片棒を担がされてしまった。事故の起きない魔術式構成を考えるのが彼の主な仕事だが、最近心境に変化があったのか、長かった前髪が少しだけ短くなった。


㉕シュガー・カルツェ:白魔導士。

 カルツェ。魔族の少年……だと、ラエルは思っている。魔導王国の白魔導士として、白魔術隊に所属する形で第三大陸にやってきた。

 凹みながらも着実に成長を重ねる若き才人。だが、社蓄気質はそう簡単に拭えるものではないらしく、反省した次の日には休暇中の部下に仕事を与えるという暴挙に出た。大体針鼠のせいである。


㉖ストリング・レイシー:赤魔術士。

 ストレン。魔族と人族のダブルの女性。赤魔術士に転職した元白魔術士。白魔術隊に所属する形で第三大陸にやってきた。

 白魔術士ではなくなったはずなのに、本章では誰よりも治療者として動いていた気がしてならない。ラエルたちが出発して後に何となく嫌な予感がしたのか「連れ戻したい」と提案したのは彼女である。


㉗ガルバ・ツァツリー (いみな不明):白魔術士。

 ツァツリー。センチュアリッジ作戦で保護された白き者エルフ。どうやら「幸せ」になりたいらしい。私の観光地探索が遠のいていく……。を、「ツァツリー」としてはとても口に出せないので苦慮している。人売りに捕まる前から貧乏くじばかり引いている気がするのでそろそろ良い風を掴みたい。

 ところで派遣先の新しい上司 (四天王強欲)がかなりの曲者な上に、彼と共に目的を果たさんとするラエルの発言が何となく気になるので、白魔術隊の先輩方には悪いが予定を変更して着いて行くことにした。任された犯罪者を野放しにもできないですし、ね。







 次話から物語は6章、ラエルの両親探しも佳境に入ります。


 バクハイムの高魔力地帯化対策を終え、竜の尾骨ドラゴン・コックスを越えて辿り着いた骨守の本村。ラエルは蟲の攻撃を受けて大怪我を負ってしまった。

 村から撤退しようにも退路を断たれた一行は、人気のない本村を逃げ回る途中、意外な人物と出会うことになる。


 骨守は何故、蟲を信仰するようになったのか。

 例の信者たちは何故、白砂漠の家族を狙ったのか。


 空白の期間に起きた事件と真相は、一行の想像を遥かに超える。


 暴かれた正体と現実を前に、ラエル・イゥルポテーが下す決断は。



 6章 黒魔術士は科を織る



 今回は制作に集中する為、更新までお時間をいただきます。

 しばしお待ちいただけると幸いです。







【おしらせ】


 Planet_Ranaです。

 強欲なる勇者の書をお読みいただき、ありがとうございます。


 2022年6月から9月にかけて、1章~5章の改稿作業を行いました。


 今回の改稿では本編のみならず、説明回や登場人物紹介にも加筆・添削の手を入れています。一稿目より、深く作品を楽しめるようになるよう尽力した次第です。


 本編の内容に大きな影響はありませんが、もしよければ秋の読書にでも解像度が上がった「強欲なる勇者の書」を、飲み物を片手に読み直していただくなどして、一週目との違いを楽しんでいただけると幸いです(再開8月に間に合わず本当にもうしわけないです)。


 6章、全力で執筆してきます。春までには……戻りたいです(弱気)。


 引き続き、作業進捗や再開時期のお知らせは活動報告にて行います。

 前回シロップをかけていただいたかき氷は溶けてしまいましたが、焼き芋や栗や紅葉饅頭など食べながら、彼らの物語をお待ちいただけたなら感謝で地面がほげます……。


 できるだけ健康に、元気に頑張ります。応援していただけると嬉しいです。



 2022/09/11




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