第17話 アレルギー① 男女で出掛けるのはデート?
「きっさらーぎさん、デートしーましょ♡」
「やだ」
「即答ですか!? こんな完璧美少女のお誘いを断るなんて暑さで頭
土曜日の休日、小梅が部活に出かけた後に聖梨華からスマホに電話がかかってきたのでなんだろうと思って出ると『今からそちらに行きますので今すぐ着替えて下さい!』と一方的に言い放ってきた。
突然の事で不思議に思うが、まぁ小梅も美雪も今日は部活だと言っていたのでテレビや小説を見ていようと思っていたところ。
ひとまず彼女の言う通りにして準備を完了したらチャイムが鳴ったので玄関のドアを開けたら最初の第一声である。
思わず即答してしまったのは反射的なので許して欲しい。
「まぁそれよりも、この格好を見て何か言うことがあるんじゃないですかぁ?」
よよよ、と形だけ泣き崩れていた彼女だが、すぐさま立ち直るとその場でくるりと回転する。ふんわりと髪が揺れると軽く香水を吹きかけているのだろうか、仄かに甘い良い香りがこちらに届いた。
彼女の服装を見る限り余所行きの為の格好をしていることが分かる。
白いレース生地のオフショルダーに濃紺色のスカート、黒のパンプスを履いていて、肩には小さなバックが掛けられていた。
豊満な胸が煽情的に強調されているのだけど、同時に彼女の清楚さを前面に引き出しているとても綺麗で可愛いファッションだ。
僅かに上目遣いをしながらこちらを見ている彼女にドキッとするが、なんとか悟られない様に頬を搔きながら答えた。
「あーうん、水色の髪に映えてるし、すっごく可愛いと思うよ」
「………ふふっ、まぁ今回はそれで良しとしましょう!」
彼女そう言ってはにかんだ笑みを浮かべていたが、僅かに頬が赤く染まっていた。なんとなく気まずい雰囲気が漂うも、一体何の用事なのか改めて聞くことにする。
「あ、あー………そういえばいきなり電話してきたけどどうしたの? どこかに出かけるの?」
「もう、さっきも言った通りデートですよデート! 私調べましたよ、男女で出かける事をデートって言うらしいですね! なんか隣町の駅前通りのお店でパンケーキやタピオカミルクティーが美味しいお店があるらしいので一緒に行きましょう!」
確かにこの前テレビでパンケーキとタピオカの専門店としてインタビューされていたと思う。若い女性客ばかりを映していて、メニューの味は良く取り上げていなかったが、SNS上で見た目が『
この前美雪が話していたが、今爆発的に人気で、行列が出来ているほどらしい。彼女の言うデートと通常のデートとは少し違うだろうが、丁度家に居ても暇なので付き合っても良いだろう。
「わかった。じゃあ行こうか」
「はい、レッツゴー!」
早速二人は電車に乗って移動し、隣町の駅に着いた。そこから階段を昇ったり下りたりした後に駅前すぐ近くにあるという店の周辺を見渡すと、なんだか人だかりが多く出来ている。隣に立っている聖梨華も気が付いたのか、声を上げた。
「ん、あそこってお店がある辺りじゃないですか? なんですかねぇ?」
「なんか声が聞こえたりしてピリピリしてるけどいったいどうしたんだろ」
周囲に囲まれてよく見えないが、男性の怒号のようなものが聞こえた。周りを良く見ると、スマホのカメラを構えている人もいる。カシャカシャッという音を聞きつつ近くにいた男女カップルの内、男性へ声を掛けてみる。
「すみません、これって何の騒ぎなんですか?」
「え、あぁ………元々は行列が出来てたんだけど、マナーのなっていないチャラそうなカップルが割り込みをしてきたんだ。それを近くにいた人が注意したけど、相手は逆上して運悪く近くにあったスタンド看板を振り回して怪我をしてしまった人がでてね。ちょうど有名マッスル責任者が出てきたところさ」
なんか面白そうな単語が出てきたが、その人に感謝を伝えると、人だかりから離れていた聖梨華へ先程の男性から聞いた内容を話した。彼女はさほど残念そうな様子も無く、少しだけ思案すると口を開いた。
「う~ん………こんな騒ぎですし、しばらく店の中に入れそうにありませんねぇ。違うお店に行きましょっか!」
「え、良いの? 聖梨華さんがどうしても行きたかったんじゃないの?」
「別に問題ナッシングですよ! まぁカップルメニューの『生クリームのせ抹茶っ茶♡パンケーキ』が食べられないのは遺憾ですが………この際、別のお店を開拓しましょー!!」
元気よく拳を天に振りかざすや否や聖梨華はその人だかりとは別の方向へとずんずんと歩いて行った。その背中を目で追うと、暮人は溜息を吐きながらも追いかける。
そうして二人が辿り着いた場所は―――、
「あ、あー、ここが良いんじゃないですか?」
「えーと、………『
様々な猫のイラストがあって可愛らしいが、どういうコンセプトの店なのだろうかと考える。幼い頃からアレルギー持ちなので実際にリアル猫が居たらどうしようかと思うもの、ある事に気が付く。
(そういえば、頭がキーンとなっていないということは、危険じゃない………?)
「さ、如月さん! なんだか良い料理を出してくれるセンサーがビンビン来てますよっ! 早速中に行きましょー!」
「………っと!」
そう聖梨華は言うと、彼女に手を引かれながら入店した。
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