終章【それは新たに語り継がれる物語】
むかしむかし、魔法が使えるお姫様がおりました。
お転婆なお姫様はこっそり町にお出かけして、そこで羊飼いの少年に恋をします。
ですが、身分違いの恋を許されていないお姫様は、自分のお父さんである王様に、少年に対する恋心を示す為にお城を飛び出しました。そして、自分の魔法を使って、王様に戦争を仕掛けます。
お姫様がそんなことをするはずないと、王様は自分の部下にお姫様を連れ戻すように言いました。王様の部下たちはお姫様の騎士たちと戦いましたが、無尽蔵な体力を持つお姫様の騎士たちを前に劣勢を強いられます。
そこで登場したのが、勇者でした。
勇者は異世界からやってきた七人の男女で、それぞれとても強い力を持っていました。
一人目は、とても遠くから攻撃できるけれど、戦えば戦うほど眠くなってしまう狙撃手。
二人目は、金銭を代償に願いを叶える悪魔を従え、しかしそのおかげで金目のものに目がない空賊。
三人目は、傲岸不遜でとても偉そうで、だけど雷の魔法を使うことが得意なお嬢様。
四人目は、飄々としてどうしようもない性格をしているけれど、とても相手を速く斬れる兵士。
五人目は、ひどく臆病で争いごとを嫌うけれど、強い魔法を使うことができる魔法使い。
六人目は、捻くれた性格をしているけれど、血液を操る魔法に長けた吸血鬼。
七人目は、命令に忠実で決して逆らわず、そして他人の真似事に長けた白い
お姫様は彼らに負けてしまいましたが、お姫様の訴えによって七人の勇者はお姫様の恋愛を成就させる為に協力しました。
そして、お姫様を助ける為に勇者へと名乗り出た羊飼いの少年を拉致して、七人の勇者は王様が派遣した追っ手を振り切って、世界の果てへと逃げました。
ひとえに、それはお姫様と羊飼いの少年に幸せになって欲しいからでした。
七人の勇者はそれぞれの世界に帰ってしまいましたが、お姫様と羊飼いの少年は世界の果てで幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
「戦えば戦うほど眠くなるってことは否定しないけどさぁ、もう少し言い方あったんじゃないの?」
「アタシの印象が台無しじゃないかい」
「うむ!! なにが傲岸不遜で偉そうだ。実際、我輩はとても偉いのだぞ!!」
「どうしようもない性格って……否定できない自分が憎いぜ、おい」
「臆病じゃありません、平和主義者って言ってください!!」
「捻くれた性格は関係ねーだろうがよ、誰だこれを書いた奴」
「【疑問】機械人形は命令に逆らわないよう設計されているのだが、命令に逆らわなければならなかったのだろうか?」
――文句が聞こえるけれど、めでたしめでたし。
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