魔法も使えなく身体能力も高くない人族だけがレベルという概念がある

栗音

第1話神様の暇つぶし

「んぁ?」


俺は気がつくと全く見覚えのない真っ白な空間の中にいた。


「はぁ?

ここどこだよ?」


『神の世界ですよ』


周りを見渡すが誰もおらず、どこからともなく声が聞こえてくる。

声の高さ的に女かな?


「あ?

てかあんた誰?」


『簡単に言いますとあなたのいた世界とは違う世界の神様です』


は?

こいつ何頭おかしい事言ってんだ?


「で、俺はなんでこんな所にいるんだ?」


『あなたはもっと暴れたいと思いませんか?』


は?

こいつ何言ってんだ?

そもそも質問の答えになってないだろ。

まあいいか答えてやるか。


そう思った俺はニヤリと笑う。


「ああ、暴れ足りないね。

別に罪もない人間を殺したいとかは全く思わんが、漫画とかで出てくる魔物みたいに殺しても何の罪も問われなく、良心も痛まないやつを殺しまくったい。

それに俺より強いやつと血が滾るような戦いがしたい」


『そんなあなたに朗報です』


セールスマンか何かかこいつは。


「なんだ?」


『私が管理している世界に転生させてあげまーす!』


いきなりテンションが上がったな。

もうこいつの考えてることが全くわからん。


「なぜだ?」


『あなたさっきから質問ばっかりですね?

あなたが望んでいるように暴れられる場所を用意してあげるって言ってるんだからもっと嬉しそうにして、この私に感謝しなさいよ』


こいつどんどん口調が荒く、適当になってくるな。


「初めて話したやつの話しをいきなり信じれるわけないだろ?

裏があるのではないかと疑うのが普通だ」


『まあそうね。

じゃあ、私のメリットを教えてあげる』


「そうしてくれ」


『私が暇つぶしできる』


「は?」


暇つぶし?

こいつ今暇つぶしって言ったか?


『最近暇だったのよねー。

だからあなたに暴れてもらってそれをここから観賞することにしたのよ。

あ、最低限のプライバシーは守るから安心してね』


「あーなるほどね。

おーけ理解した」


さてどうするか?

とりあえずもう少し情報が欲しいな。


「俺がもしこの話しを断ったらどうなる?」


『あなたがもといた世界の神様にあなたの魂を返すだけだよ。

その後は私の専門外だからあんまり詳しくないけど天国やら地獄やらに送られるんじゃない?』


「そうか。

俺に対するデメリットって何かあるか?」


『とくにないんじゃない?

あなたが何処までをデメリットと考えるかによると思うけど』


「わかった。

その話し受けよう」


こいつから聞いた限りだと俺にとってはいい話しっぽいし、受けても問題ないだろう。


『よしきた!

じゃあ、さっそく送るね!』


「ちょっと待て!」


『なによ!

もしかしてチートくれとか言うんじゃないでしょうね?!』


「いや、そこまでは言わないがせてめ行く世界のことの説明ぐらいしてくれよ。

それがないとあんたの暇つぶしになるどころかすぐに野垂れ死にする可能性が高いだろ?」


『それもそうね。

でも説明めんどくさいわね。

ちょっと待ってなさい』


それから数分待たされた。


『お待たせっと』


神?がそう言うと俺の目の前に一冊の国語辞典ぐらいの大きさの本と小物入れ程度の大きさの袋が降ってきた。


『その本を読めばこれから行く世界の基礎的なことはわかるわ。

袋はマジックバックっていうマジックアイテムだから。

詳細はどーせ知ってるでしょ?

わからないんだったらその本に載ってるから自分で調べなさい。

それとこれも』


次は一本の刀が降ってきた。


「この刀は?」


俺はそう言って鞘から刀を抜いた。

刀身は真っ黒だが手入れが行き届いているらしくとても綺麗だった。


『さっきあなたが言った通り。

すぐに死なれるのは困るしね。

それあげるよ。

その刀はあなた専用で他の人が柄を触ると電気が流れる仕様になってるよ。

あと折れることはないし斬れ味も抜群の超良い刀だよ。

ちゃんと大切にするんだよ』


刀を振ったり、叩いたりしながら神?の話しを聞く。


この刀は、神?が言っているとおりとても斬れ味がよく強度も凄そうだ。

それに柄の握り心地も刀身の長さも俺にピッタリのものだった。


「おお、確かにいい刀だな。

ありがたく使わせてもらうよ」


『じゃあ、今度こそいい?』


「あのー」


『なに?

まだ何か欲しいものがあるの?』


「お金を少し欲しいなぁーと思いまして」


さすがに一文無しで何も知らないところに行かされるのは流石に怖いと思いお願いしてみる。


『はぁ、仕方ないわね。

これで最後よ』


そうして上から硬貨が降ってきた。


『価値なんかはさっき渡した本に載っているから自分で確認しなさい。

一ヶ月は普通に暮らせるぐらいはあると思うわ』


「ありがとう。

とても助かる」


『よし!

もういいわよね?!

何も無いわよね?!』


「ああ、もう十分だ。

感謝する」


『そう。

わかればいいのよ』


神?がそう言うと俺の前に大きな扉が出現した。


『その扉をくぐれば異世界よ。

せいぜい私を楽しませなさい』


「頑張るよ」


そう言って俺は大きな扉を開けくぐった。

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