As

 ごろり、と音がした。

 どうやら心から何かが転げ落ちてしまったらしい。取りに行こうとするのに、ころころとそれは転がり続ける。追いつけないかもな、置いていかないで。必死に追いかけるけど、どうにもこうにも間があいてる。どうやら僕の心はそいつを取り戻したくないらしい。必要ないんだとは思う。要らないものだと。あっても苦しいだけ。なのに僕自身は必要としてるのだ。

 手が届く。つかむ。元に戻す。不安は僕の心に戻る。これがないと生きているのに不安で仕方ないんだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る