無言、或いは事故

何を言いたいのか忘れた

というか言うべきことが多分ある

こういう時なんて言うんだっけ……

ああ「台詞が飛んだ」なんて言うわけだ

こんなことを考えていたって誤魔化せないし

時間は刻々と過ぎていくし

みんなから見られている

そういえば僕は見る側にいたはずでは?

いつのまにやら舞台側

最前列の特等席

なんて

そうこうしているうちに気づく

これは物語の始まりだ

まだ始まったばかりだ

言うべきことなどありはしない

始まりはここなんだ

大丈夫

ここに立つのは僕だけじゃない

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