檸檬

初めて食べた檸檬は酸っぱかった。

酸っぱくて口に含んで吐き出した。

まるで檸檬に拒否されたみたいだった。


次に食べたときは檸檬ですらなかった。

中身は林檎だった。

林檎が嫌いなわけじゃないが。


次の檸檬は毒だった。

じわじわ体を蝕んだ。

終いには周りのものまで毒にした。


今の檸檬は甘い。

舌の錯覚かもしれない。

でも今はこの甘さに甘えたいんだ。

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