第33話 バグとの集団戦闘

 二年生たちとの挨拶が済み、練習試合をしようとしたところで……いきなりスマートフォンから、警告音が流れ出した。





「また緊急バグ警報かよ! 最近多いな!」


 みのるが、吐き捨てるように声を出した。





「この近くみたいだよ! ボクたちの出番だね!」


 ミーシャは逆に、やる気満々のようだ。





「確認した。中型のコロニーが二つ発生しているようだ……一年生と二年生が、それぞれに対処してほしい」


 まもる先生が指示を出す。





「ああ、ついでにお互いの戦闘を、後で確認しておくといい。タクティカルフレームには、レコーダー(通称タクレコ)がついているからな」





 お互いにどんな戦いをするのか、練習試合をするよりも分かりやすいかもしれない。


 そう考えるとあながち今回のバグの発生は、悪いことばかりではなさそうだ。





「それでは『メギドファイア』、出撃します!」


 二年生がフェイズシフトして、学校から出ていく。





「『ピースメーカー』も、出撃します!」


 今度は僕たちの番だ。





「くれぐれも、無茶だけはするなよ!」


 守先生が激励を飛ばす。





 進んでいくと……今回発生したバグは、『ローカスト』と呼ばれるタイプが6体、『ワスプ』と呼ばれるタイプが6体のようだ。





 ローカストはイナゴのような形状をしたバグで、ワスプは蜂のような形状をしている。


 ローカスト、ワスプともに飛行可能なのが、厄介なところだ。





「まずは私からいこう……対バグ用の捕獲ネットだ!」





 久朗くろうのレイヴンから、丸い物体が射出される。


 それは空中で大きく広がり、ワスプ4体とローカスト2体を巻き込んで地上に落ちた。





「残りは遠距離攻撃で対処してくれ。結城ゆうきあきらは、ネットで捕らえられたバグを頼む」


「「了解!!」」





 飛んでいるからこそ厄介なのであって、こうなってしまってはもはや敵ではない。


 僕の『五月雨さみだれ二式にしき』と、晶の『ガトリング・ブロー』が相手に突き刺さる。


 連続攻撃を受けて、まずはネットに絡み取られたバグが粒子と化した。





「た~まや~!」





 みかんがガトリング・ビットで相手の動きを封じ、その後バズーカ砲から放たれた攻撃が残り2体のワスプと1体のローカストを巻き込み、爆発を起こした。





「いい感じ。今回のボーナスでは、何を食べようかな……?」


 既にみかんの頭は、食べ物の方に向かっているようである。





「まだローカストが3体残っていますよ。油断しないでください」


 れんが腕につけられた武装から、スプレーのようなものを発射した。





「対バグ用の、強力な殺虫剤のようなものです……これは効くと思いますよ」


 残ったローカストが、苦しみにのたうち回る。





「じゃあ、結城と晶、久朗でとどめだな! やろうぜ!」


「おう!」





 まずは僕からだ!





「必殺、『疾風迅雷しっぷうじんらい』!」





 一気にローカストとの距離を詰め、強烈な一撃を叩き込む。


 喰らったローカストは真っ二つになり、粒子になって消えていく。





「行くぜ! 『ダイナマイト・インパクト』!」





 晶が少しためを行ってから、相手に強烈な一撃を叩き込んだ。


 爆発するような形で、こちらもあっさりと消滅する。





「最後は私だな……行くぞ、『デス・ロック』!」





 って、あの必殺技を使うの!?


 慌てて僕は、距離を取る。


 今回は無事にバグだけが、ワイヤーに絡み取られたようだ。





「響け、地獄のロックンロール!」





 こうして見ているだけならば、わりとカッコいい必殺技なんだけれども……。





「アーメン……今回は楽勝だったな」


「それだけ僕たちも、成長しているという事だと思うよ」





 ARゴーグルで確認すると、二年生の方のバグも全滅したようだ。





「僕たちの戦い方も、タクレコで分かるんだよね……どんな評価がされるんだろう?」


「こちらはノーダメージだからな。高評価なのは間違いないと思うぞ」





 僕たちは談笑しながら、学校に戻ることにした。

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