この世はいつも不条理なり 転生魔姫の復讐譚

名も無き語り部

プロローグ

「おいアキ、また読んでいるのかよ。その本」

と、バスの席の後ろから同級生の横風毅よこ かぜ つよしが言ってくる。

(あぁ、めんどくさい何回読んでも君には関係ないだろ) 

と思いつつ読んでいた本を閉じる。その瞬間それを毅が奪う。

「何でこんな本を読むんだろうな」とむかつく事を言う。

読んだこともないくせにそんなことを言うなと思ったが低めな声で

「I do not want to get involved with you because it is troublesome」と言う

「何帰国子女みたいに言ってんのアキ」と言い返してくる。

(あぁこれだからめんどくさいそもそも自分の名前は秋太しゅう ただし。クラスのみんなもいじめてくるし。ハァ…いっその事みんな死ねばいいのに。)

そう思いながら前を見ると運転士が急にうずくまり痙攣しながらそのままハンドルにもたれかかりそして動かなくなったが修学旅行への楽しみからか誰もそのことに気付かない。そしてバスのスピードはどんどんと上り崖のあるカーブ道に向かっていく。

(あれこれって崖に堕ちる予感が…………まぁいいや願い叶ったし。)と思っているとガードレールに衝突し強い衝撃を受ける。

「キャー」や「何が起きた」などと言っている間に落下が始まる。

(死ぬのか…まぁこんな人生だったから。けど………だけど………せめていじめたやつらにしたかったな………)とため息交じりで笑った。それが自分、秋空あきぞら 秋太しゅうたの最後の表情だった。

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