ワンサイド・ガール&メランコリー・ボーイ

儚夏arfy

プロローグ(読んでなくてもあんまり影響なし)

ワンサイド・ガール プロローグ

ソレ、は保健室で突然覚醒した。

…私の好きな人に向かって、暴言を吐きながら。


『単刀直入に言うけど…四季ちゃんより、スマホやパソコンの中の彼女の方が好きなんでしょー?』

「そんなことっ…、お前は誰だ!」

『さては図星なんでしょー? ま、四季ちゃんは君のこと好きでも嫌いでもないから』


な、なんてこというの!? 私、こんなこと思ってないよ…。


「違う! つーか、質問に答えろ!」


大好きな彼は空中に浮くソレに言い放った。 ソレはふふふと笑いながら、


『僕の名前はジャック・オ・レンタン。今は契約してないから、力が不安定だけど、四季ちゃんの身に宿った、れっきとした悪魔だよ? よろしくね★』


契約?悪魔?…誰? 空中のソレは、いや、悪魔はよくわからないことを言った。


「何が悪魔だ! ふざけてんじゃねーぞ!」


珍しく好きな彼が怒る。正体不明の悪魔に向かって。


『ふざけてないよっ! 僕は至って真面目だよ?』

「どこが真面目なんだよ! ったく、調子狂うんだけど…」


悪魔に翻弄されっぱなしの彼。 ここで悪魔が流れを変えた。


『じゃー、僕からしつもーん! 君はどうして四季ちゃんのことを心配するのかな?』


えっ…。 そんなの、彼の核心を突く質問じゃない! こんなのってないよ…!


「ばっ…、それは…」

『え~? 答えられないの~? もしかしてぇ、やましいことがあるんじゃないの~?』

「うっせぇ! お前にそんなこと言われる筋合いはねーから!」


彼の逆鱗に触れるか触れないかのギリギリを悪魔は楽しみながら逆なでする。


『それとぉ、お前じゃなくってレンタンって呼んでほしいなぁ』

「お前本当いい加減にしろよ! そんなところにいなければとっくにっ…」

『あ~、これだから若いってやだね~、短気は損気って知らない? カルシウム採った方がいいよ?』


話が平行線だ。 けんか腰の彼に、その彼をおちょくる謎の悪魔、レンタン。


『そ・れ・で! なーんで四季ちゃんのことを心配すーるーのー?』

「あのなぁ…、そんなの、見ず知らずのお前に話せると思うか?」

『でも、僕の下のベッドにはー、四季ちゃんが眠ってるわけでぇー…、聞いちゃってるんだなーこれが』

「!!!」


彼が分かりやすく動揺した。


『あっ! 今、動揺したよね?ね?』

「うるせー! だから何なんだよ!」

『あーもう、じれったいなぁ…。 四季ちゃんに対する本音を言えよ! 少年!!!』


悪魔は、レンタンは、しびれを切らしたように、彼に問いかけた。彼はレンタンが怒ると予想していなかったらしく、一瞬目を見開いてこう答えた。


「俺は…俺は四季のことがっ…!」


私の意識はここで途絶えた。

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