真実
峪明博
第1話 彼らは恋人同士と思っている。
小島真は高校2年生。彼女は、中島真実。同じ高校の2年生。
高校1年生の時に同じクラスで、二人は知り合い、付き合った。
3日に1回のペースで、デートしている。
とある休みの日。
「よっ、真実。」
「遅いよ、まこっちゃん。」
「ごめん、ごめん、服選ぶのに手間取っちゃって。」
「女子か!」
と、二人はじゃれ合いながら、買い物に連いて行ったり、ゲーセンに行ったりした。
映画館にも行く。
18:00には、分かれる。
何故かと言うと、彼女は親に18:30には帰ってこいと、言われているらしい。
「じゃあね。また、学校で。」
「おう。」
学校では、2年生は既に文系、理系と分かれており、真は理系。真実は文系である。
真はなぜ理系を選んだかというと、父が小さな工場の社長であり、そこを継ぐためである。
真の父は地元では、比較的有名で、地元新聞にちょくちょく載ったりしている。
真にとって、自慢で、尊敬する人物である。
だから、真と真実はクラスが違い、会えるのは、休み時間と、昼休憩、放課後である。二人は部活に入っておらず、二人の時間を大切にしている。
昼休み。
二人は、外で、ご飯を食べる。
「むしゃむしゃ。」
「美味しい?」
「そりゃあ、母ちゃんが手作りで作っているから、美味しいよ。」
「私のも食べて。」
「むしゃむしゃ。」
「朝に頑張って作ったんだから。」
「美味しいよ。」
「父が。」
「お父さん?」
真実の発言を聞き、真はむせた。
「お父さんが作ってたっけ?」
「今日は父が作ったの。」
「ああ、成る程。」
「あら、口にお米が付いてるわ。」
と言って、真実は真の口に付いているお米を取って、食べた。
真は照れた、というか、たった。
「あら、体は熱いのに、固くなってるわ。」
「お前がいやらしいことするからだ。」
「ふふふ。エッチ。」
「@☆◯。」
「ふふふ。」
「ったく。」
授業中、真は真実のことを考える。
付き合ってくれ、と言ったのは真の方だった。
それは、一年生の冬だった。
春の時は、彼にとって、彼女は可愛い子だなぐらいの認識だった。
それから、夏、学校で彼女の優しい所を見て彼は惚れた。
そして、冬、彼は彼女に告白した。
「付き合って下さい。」
「いいですよ。」
それから、6ヶ月経つ。
今は7月の暑い夏。
梅雨が明けるのが、例年より遅れていた。
「暑いな。」
と、真は言った。
真は真実にLineを送った。
夏休みの夏祭りに行かないか?
少しして、真実から、メッセージが来た。
いいよ、行こう。
「おしっ。」
7月下旬、夏休みに入り、真と真実は遊んだ。
真実は浴衣姿だった。
「親に今日は特別ねっと、言われたから、20:00迄なら良いよ。」
と、真実は言って、
「よし。」
と、真は言った。
二人は初めての夏のデートを過ごした。
「どの屋台行く?」
「そうね、まずは焼きそばね。」
「いきなり、がっつりいくんだ。」
「へい、らっしゃい。おっ、デートかい?」
「まあ。」
「良いね、良いね。お嬢ちゃん可愛いから、サービスしてあげる。」
「わーっ、有難うございます。」
「兄ちゃんが、彼かい?」
「あっ、まあ、はい。」
「付き合っているうちが、花だぜ。結婚すりゃあ、尻に敷かれるのが、オチさ。」
「あはは。」
「ちょっと、あんた。なに、サボってるんだい!ごめんね、あんたたち。結婚したって、仲いいところは仲いいからね。うちのが、馬鹿亭主なだけ。」
「はあ・・・。」
「有難うね、お二人さん。あんた、早くしな!」
「凄い二人ね。」
と、真実は言い、
「確かに。」
と、真は言った。
「次は綿あめ。」
「良いね。」
「綿あめ美味しい。」
「そうだね。やっぱプレーンだな。」
と、真が言うと、
「いや、違う。私の選んだ方が良い。」
と、真実は言った。
「次は金魚すくい。」
「良いね。」
「なかなか取れないわ。」
「僕が取ってあげるよ。」
「わー、有難う。」
「僕のも取ろう。」
「やっぱり貴方は生命をとるのは得意なのね。」
「?うん。」
金魚すくいを終えて、
「有難う、この金魚大切にするね。」
「いやいや。気にしないで」
「命は大切にしないと。これで、金魚は救われるかしら。」
「いちいち、考えるときりないよ。」
「・・・。」
「どうかした?」
「いや、何でもないわ。次行きましょう。」
二人はかき氷の屋台に行った。
「かき氷美味しいね。」
「・・・そうね。」
「どうかした?」
「何でもないわ。」
「次は花火見ようよ。」
「ご免なさい。もう19:00だわ。」
「あっ。もう帰るのかい?」
「親に怒られちゃう。」
「・・・そう。」
「ご免なさい。」
「いや、謝んないで、近くまで送るよ。」
「・・・有難う。」
二人は駅の近くまで行った。
「ここまででいいわ。」
「そう。」
「あら、貴方の金魚が。」
「えっ?あっ。」
真の金魚は死んでいた。
「まら、もう駄目ね。」
「仕方ない。可愛そうだけど、後で、川に捨てよう。」
「捨てちゃうの?」
「だって、死んだら仕方ない。」
「そうね。でも。」
「?」
「貴方は命を奪ってしまったのね。」
「勝手に死んだから、仕方ない。」
「そう。」
と真実は言って、
「じぁあね。」
「えぇ。」
とわかれを言い、二人は別々の道へ行った。
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