第7話 新人冒険者
冒険者ギルドの宣伝もあって、ポツンポツンとお客様のご来店があるようになってきました。
まだまだ大繁盛!ってのには程遠いです。
アマゾンの店舗拡張のおかげで定価のつけられないビンテージワインやブランデーも入手できるようになったのと、
購入割引のおかげでいい感じに利益が出てます。
勇者の食事も楽になりました。
総菜コーナーの充実がうれしいですね、例え手抜きと言われようと・・・
たまには手料理を!って言われてますが・・・料理スキルもかなり上がってるんで・・・
今の客入りなら楽々1人で回せますので・・・それしか来店が無いのも悲しいですが・・・
そんな中一組4人のお客様にご来店いただきました
「いらっしゃいませ、お好きな席にどうぞ」
カウンターの方に並んで座る4人
ブロードソードに皮鎧の青年っていうより少年って感じの男性、黒いシンプルなローブに木の杖の女の子、
短弓に皮鎧の背の高い青年、白いローブに錫杖の女の子
どこからどう見ても駆け出し冒険者って感じだな・・・
ライトファイター、魔法使い、スカウト、プリーストって構成か・・・
バランスいいな・・・
男性陣は麦酒を、女性陣は甘いお酒、お任せでって事で軽く好みを聞く
つまみはナッツをセレクトされました
魔法使いの子は「果物が好き!」との事なので、白桃のベリーニを、
プリーストの子はコーヒーがお好みとの事なのでカルーアミルクをお出ししよう
まずは白桃1/4をフードプロセッサーにかけシェイカーへ
レモンジュース 、シュガーシロップ、グレナデンシロップを各小さじ一杯
氷を入れてシェイクしグラスに注ぐ
シャンパンを適量グラスに注いで軽くステア(混ぜる)
カルーアミルクは簡単です
カルーア コーヒー リキュール1/4
牛乳3/4を氷を入れたロック・グラスに注ぎ、軽くステアするだけです。
俺は見た目に拘って、下はカルーア、上に牛乳と2階層になるように注いで
マドラーを入れて自分で混ぜるようにお出しします。
エビスビールをグラスに注ぎそれぞれのお客様へ
「お待たせしました、こちらがビール、白桃のベリーニ、カルーアミルクになります。カルーアは軽く混ぜてお飲みください」
目を輝かせる女性陣
「凄い!飲むのがもったいないくらい奇麗だよ!」
「奇麗に分かれてるのに混ぜるのもったいない気がする・・・」
「上だけ飲んだらただの牛乳じゃん」
「そんでやたら濃い酒が残るんだね・・・」
ちなみに、軽く混ぜるのをお勧めする理由は、味が均一化するより強弱があった方が舌の上でうま味を感じやすいからってのが自論です。
「やばっ!この麦酒も冷えてて美味いぜ!」
初心者冒険者が1杯2000円じゃなくて銅貨2枚ってのは結構高いはず
ボッタクリ?いえいえ高級店ですから・・・
チビチビと味わいながらゆっくりと飲んでいる。
「実は、先週村を出て冒険者になったんだけどギルドに行ったらここでアドバイス貰うよう言われて・・・」
「受付のお姉さんが、とにかくここに行って話を聞けって」
「初心者講習の一環らしいです、よろしくお願いします!」
なるほど、集客のご協力感謝ですわ
「ギルドの方からも相談に乗ってくれって言われてるので大丈夫ですよ、どんなことが聞きたいのですか?」
「本当に駆け出しなんだけどどんな風に活動したら強くなって稼げるようになると思います?」
「Fランクだと討伐依頼もほとんど無いから強くもなれないし・・・」
ほんと~に知識も無い駆け出しなんだなぁ・・・と自分も通った道を思い出す。
「私も最初の頃に経験があるお話ですね・・・」
ちなみに接客時は基本的に『私』、慣れたお客様や勇者相手だと『俺』って出ちゃいます。
「マスターさんもですか・・・」
「誰しも一度は通る道じゃないでしょうか?最初から強いのは勇者くらいですよ」
真剣な眼差しで聞いている、うんうん初々しいね・・・
では少し語りますか・・・
「最初は生活する為のお金を稼ぐ事、これが何より先ですね、
Fランクだと薬草採集とかでなんとか食い繋ぐ事になると思います。
それをこなせば宿代と最低2食は食べられると思います。
薬草はポーションの素材になるので常時依頼になってますから・・・
そして、それで1日を終わりにしないで常時討伐の狩りをする事です。
レベル上げスキル上げは毎日コツコツやらないと駄目ですよ、
角ウサギがおススメかな
最初は狩れない日も続くと思います、逃げられることも多いでしょう。
角ウサギの生態をよく調べて毎日狩ります。
色々調べて試行錯誤して・・・工夫と感覚を鍛えましょう!そして、とにかく狩ります。
例えウサギスレイヤーとか馬鹿にされても続ける事です。
1日に狩れる数も増えて行くと思うので、素材を売ったお金もそこそこ入るようになりますから・・・
薬草の方もそうです、やってるうちにどこに生えるのか、どの薬草が売れるのかという事が知識として貯まっていきます。
採集の時間もどんどん短くなります。
薬草採集が生活費、狩りの分を貯金して装備を整えるのがいいでしょう
全員、鎖帷子や複合皮鎧クラスを装備できるようになればその頃にはランクも上がってるでしょう
魔法使いは対刃あたりがついてるマジックローブ目指してもいいと思います。
武器にそれほどお金かかりませんからね。
魔法の杖は初心者用から次は、値段の差がありすぎるのも苦しい所なので・・・
やはり防具を揃えた方がいいと思います。
皆さんそうですが、個人的に言うと、武器なんてその気になったらそこら辺の木の棒でも戦えるんです。
射撃のスキルがあれば投石だっていいんです。
自分の命を守ってくれるのは、やはり防具だと思いますよ・・・って
長々お話ししましたがこんな所でいかがでしょうか?」
目を真ん丸にして聞き入ってる初心者達
長話のうちにグラスもつまみも空になっていた・・・
「そしてきっちり稼げるようになったらこのお店で依頼完了祝いとかやってくれたら嬉しいです・・・ははは」
「はい!ためになるお話ありがとうございました!!」
「頑張ってガンガン注文できるようになりますね!」
「私たちスペルユーザーの事まで教えていただき最初の目標ができました」
「また来たときは相談に乗ってくださいね」
「はい、皆さんの活躍に期待してますね」
お会計を済ませ扉をくぐる前に4人がこちらを向き
「「「「ありがとうございました!!」」」」
大きな声でそう言って出て行きました
「先輩顔して語りすぎたでしょうかね・・・」
と呟きながらグラスを下げる俺でした・・・
彼らの前途が明るいものになりますように・・・
そう思わずにはいられない気持ちのいい少年たちでした
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