冒険者を引退してバーのマスターになりました

ぜーたまっくす

第1話 冒険者になりました

この世界に呼び出されました。


ものの見事にファンタズィーな、中二病なら一度はあこがれるRPG風な世界に


呼び出したのはこの国の領主らしい


俺と同時に呼び出されたのは他3名


なんでも魔族の侵攻があるとやらで勇者召喚とやらをしたらしい・・・


どんなオヤクソクだよ・・・


そんでもって、テンプレなら全員『俺TUEEE』できそうなもんじゃない?


残念ながら、俺だけは戦闘技能がありませんでした。


他の3人は剣聖だの賢者だの勇者だのと最近流行りの異世界小説の定番をお持ちなのに・・・


俺に与えられた祝福は・・・


『アマゾンLV1』


もう、意味ワカンネ・・・


世界レベルで有名な通販サイトである


お金を対価に商品が手元に届くってやつです。


はい、ここで賢明な諸兄なら転売してウハウハやんって思ったでしょう。


俺もそれは考えました・・・


・・・が、残念ながら値段がヤバすぎる・・・


ってか送料がヤバい!時空を超えるせいなのか、転売できる金額じゃない!


最初の一つを買える気がしない!!


武器も売ってますよ、コスプレ用の刃の無い日本刀や形だけの剣、サバイバルゲーム用のモデルガン


リアルに魔物がいる世界でこんなもん使えねー


使えたとしても高くて買えねー


んで元の世界にも帰れない・・・



俺は思ったね・・・



・・・・こりゃ詰んだわ・・・・



そんでもって、鑑定スキルとやらで祝福まで見られ、役に立たないと判別された次第です。


勝手に呼び出してそれはないんじゃないの?って話と


同時に呼び出された勇者御一行の口添えもあって一年分の生活費になった後放逐されました。


今更だが、音声言語が一致してたのが唯一の救いか・・・これも祝福か?召喚特典か?



勇者御一行には元の世界のものがどうしても欲しくなったらかなり高額になるけど用意するから・・・と伝えて城下に放り出されたわけであります。



さぁ!住む所も職も知識もない世界!


一体俺にどうしろと・・・



気の毒そうに俺を見る衛兵さんに軽く人生相談


「かくかくしかじかでこんな状況なんですが、自分だったらどうしますか?」


って話を振ってみたら


「俺なら、とりあえず冒険者ギルドに登録して相談するかな」


ふむふむ、あるのか、困った時の冒険者ギルド


「後は教会に行って話だけでも聞いてもらうか・・・まぁ、たいして解決にならないだろうが」


教会ねぇ・・・最低限の知識くらいは教えてもらえそうだな


「地理すらわかんないのですが、場所はどの辺りで?」


「そこから見えるとんがり屋根の建物が教会で、その辺りで聞けばギルドの場所も聞けるんじゃないかな?近くだし」


ふむふむ、なるほど、とりあえず行くしかないな・・・



ってなわけで教会へ



可愛いシスターと懇意に・・・なんて思った諸兄、残念だったな(--;


おばちゃんシスターがいらっしゃいました。


残念なのは俺ですか・・・そうですか・・・




「かくかくしかじかでこの世界に来たのですが、行く当てもないのでアドバイスを頂きたいのですが・・・」


って、ほんと何言ってんだろ俺・・・


「それは難儀な事でしょう。では供に祈りましょう・・・神はきっと心の支えになってくれるでしょう・・・」


・・・マジか・・・具体的な話は無いんだな・・・


でも、反感買うのも面倒なので一緒に祈る・・・




はい、何もおきませんでした。


世の中そんなに甘くないってことです。


衛兵さんに言われた通り、何の解決にもなりませんでした。


ここにいても仕方がないので、シスターに冒険者ギルドの場所を聞き向かう事にしました。




ってなわけで冒険者ギルドなうです・・・


若い受付のお姉さんがいました。



「本日はどんな御用でいらっしゃいましたか?」


「かくかくしかじかでこの世界に来たのですが、行く当てもないのでアドバイスを頂きたいのですが・・・」


受付嬢さんは俺の事を上から下まで眺めた後、


「なるほど、でしたらまず、当ギルドに登録していただいて、ギルド提携の宿屋を当面の拠点にする事をお勧めいたします。」


おっ!具体的なアドバイスキタコレ!!


「ギルド発行の簡単な依頼をこなしていけば最低限の生活は可能ではないでしょうか?」


「簡単な依頼といいますと?」


「薬草採集や荷物運びでしょうか、簡単な分単価はかなり低いですが」


なるほど、つまり日雇い労働者なわけだな


「それなら俺にもできそうですね、いい助言ありがとうございます。では、登録をお願いします。」


残念な事に文字は読めませんでした・・・


頑張って覚えるしかないかな・・・


音声言語が一致してるから50音を覚えればある程度いけるだろ・・・



契約書に血印押したりして頂いたのがギルドカード


俺はFランクらしい・・・


説明によるとF~SSSまでランクがあって、依頼をこなした量や内容によってギルドポイント?ってのが貯まってランクが上がるらしい。


ランクが上がると高ランクの依頼を受けられたりギルド提携店で割引を受けられたり買取査定で割り増ししたりするそうです。


そしてギルドカードの凄い所は、自分の能力を数値化して見れる点!


RPGにおけるステータス画面である。


更に!キャッシュカードとしても使え、10メートル以上離れると手元に戻ってくる素敵仕様!


万一があっても本人しか使えないセキュリティーの高さ!


さすがファンタズィー!ご都合主義ここに極まれり!!



そして色々なことを教えてもらいました。



貨幣について、この町周辺の簡単な見取り図、


この町の提携商店の案内図、


買取カウンターの使い方なんかである。


文字とかは商業ギルドでお金を払えば教えてもらえるって情報もいただきました!


商業ギルドも提携してるんだとか・・・



早速提携の宿屋で手続き


なんと便利な魔法錠!ギルドカードで契約した部屋の鍵が開くらしい!


ちなみに一泊は食事無しで銅貨3枚


鉄貨→銅貨→銀貨→金貨→白金貨→王金貨で10枚単位での繰上り


鉄貨で買えるのが果物の飲み物一杯と考えると


鉄貨は100円くらいの感覚で大丈夫そうだ


つまり一泊3000円!


収入を考えなきゃいけないけど、安い!って思ってしまう日本人の俺です。


ちなみに、領主様に貰ったお金が金貨で50枚


おおよそ500万円


節約しながらお金を稼いで、なんとか生活基盤を作らないと・・・


・・・と考えてるうちに心労と移動疲れで爆眠しました・・・

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