第10話 城下町

 リハルドが最鋭レイウスによりやられたという事態はどちらの軍にも瞬く間に知れ渡りました。これによりレジスタンス軍はレイウスなど最鋭クラスの対策を、逆に王国軍はレジスタンス残滅の計画を秘密裏に進めていました。

 また、この戦場には強大な魔力を保有する魔法使い、そして龍族の力を持った剣士がいるという事実にさらに尾びれがついて、徐々に広がっていっているのでした。


 二日間以上歩いただろうか。

 僕達はセスナを追ってほとんど戦争の影響を感じさせない森の中の道を歩いている。

「間違いなく王国に向かっていっているだろうね。この道は、精霊族が王国城下町まで行くための通路なんだ。けどあまり人が通らないところにあるから安全ではあるかな」

 ケミンズはその説明を聞きながら周りを見渡している。至って普通で、戦争の気配を感じることすらない。木々には沢山の木の実がついているし、要所要所に川があったりと豊かな自然の道がずうっと進んでいる。

「それにしても結構距離があるな。セスナは魔力もとてつもないらしいし、正直戦争のど真ん中を堂々と歩いていてもやられることはなさそうだが?」

「流石にそんな派手なことやらないでしょ……、近道ではあるかもしれないけどさ」

「まあ、わざわざこんな精霊族が作った道を通ってるくらいだ。だいぶ慎重になっているんだろうな」

やけに慎重すぎる気がしなくもないが?とはいえ、ここまでほとんど誰にも会わずに王国城下町まで来ることができたのだ。結果オーライというやつだろう。

「さて、このめちゃめちゃ広い王国城下町からどうやってセスナを探せばいいか?」

人を探すのなら、間違いなく大変な場所だろう。しかし、僕には一つ秘策がある。

「人を探すのが困難なら、精霊を探せばいいんです。セスナには付き人妖精がついてますから」

「なるほど、確かに精霊なら見つけられそうだがどんな特徴があるんだ?」

「そうですね、耳の形とか体格とかを見てもらってもいいのですが……。一番は歩いてないところですね。付き人妖精は精霊以外には見えないので付き人の近くで浮いています」

「けどそれ、私じゃ見えなくないか?」

「あ……そうでした。どうしましょう?」

「いやいや、私はこの街を少し見て回ることにするよ。見つけたら噴水の前で待っていてくれ」

「わかった。あと、羽は隠しておいてくださいね?」

「キミの耳も気付かれないようにな」

二人は軽く言いあうと、それぞれ別の方向へ進んでいった。

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